「昨年はここでのレースウイークエンドがあまりよくなかった。そうなってしまった理由についてはいくつか考えがあって、金曜日のフリー走行でいろいろと試してみる」

 F1第21戦サンパウロGPが始まる前、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はそう語っていた。フェルスタッペンが言うように、昨年のサンパウロGPで、フェルスタッペンは金曜日にポールポジションを逃し、土曜日のスプリントでも4位に終わり、日曜日のレースでは6位と、走るたびに後退していく、チャンピオンとしてあるまじきパフォーマンスをさらけ出してしまった。

 あれから1年。金曜日の予選でフェルスタッペンはポールポジションを獲得。土曜日のスプリント・シュートアウトでは2番手に終わったが、24周で行われたスプリントではスタート直後にトップに立つと、その後は後続に影をも踏ませぬ走りで、トップでチェッカーフラッグを受けた。

 この日、フェルスタッペンがスプリントを制することができた要因として考えられるのが、タイヤ戦略だ。昨年のサンパウロGPではフェルスタッペンは2番手からスタートして、ポールポジションのケビン・マグヌッセン(ハース)を抜いて、一度はトップに立つことに成功したものの、ミディアムタイヤを装着していたことが裏目に出て、ソフトタイヤを履くライバル勢にオーバーテイクを許して、予想外の4位に終わった。

 今年のサンパウロGPに持ち込まれたピレリのタイヤは昨年と同じC2(ハード)、C3(ミディアム)、C4(ソフト)。このうち、スプリントでフェルスタッペンとレッドブルが選択したのは、昨年スプリントで履いたミディアムではなく、ソフトだった。そのため、フェルスタッペンにとっては手探りのレースとなった。

「1コーナーでトップに立てたのはよかったけど、その後、タイヤをどのようにコントロールするのかがポイントだった。ここはデグラデーションが大きいので、タイヤマネジメントがとても難しく、僕たちが選択したソフトタイヤで24周を走り切るのは、簡単なことではない」

 これはフェルスタッペンだけでなく、レッドブルのエンジニアにとっても同様だった。2番手以下に大きな差を築けなかったのは、昨年ソフトタイヤでレースを走って、デグラデーション(劣化)が大きいことを知っていたからだった。

「2番手を走行していたランド(・ノリス)もレース中、僕に非常に接近していたが、僕はタイヤをマネージメントしていた」(フェルスタッペン)

 フェルスタッペンにとって、1年前のリベンジを果たす土曜日のスプリントでの勝利。この勝利は、日曜日の決勝レースでのタイヤ戦略に大きく影響を与えるだけでなく、24年のサンパウロGPに向けて、大きな財産になることは言うまでもない。