シャルル・ルクレール(フェラーリ)のフォーメーションラップでのクラッシュを皮切りに、F1第21戦サンパウロGP(ブラジルGP)決勝レースは最後まで波乱の展開だった。スタートで首位を奪って独走を続けたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を別にすれば、各ドライバーの順位の変動も激しかった。

 序盤に大きく順位を上げ、その後も安定したペースで入賞を果たしたピエール・ガスリー(アルピーヌ)や角田裕毅(アルファタウリ)。逆にメルセデスのふたりはタイヤの性能劣化、オーバーヒートに苦しみ、不本意な結果に終わった(ルイス・ハミルトンは8位、ジョージ・ラッセルは冷却系トラブルでリタイア)。

 そんななか、2台揃って目覚ましい速さを披露し続けたのがアストンマーティンだった。すでに初日予選で彼らは、ランス・ストロール3番手、フェルナンド・アロンソ4番手と2列目グリッドを独占した。とはいえ大嵐によってQ3でのアタックが1回しかできなかったこともあり、多分に運に恵まれた部分もあった。

 実際、翌土曜日のスプリント・シュートアウトでは、アロンソはエステバン・オコン(アルピーヌ)に接触されたことも大きかったがSQ2止まり、ストロールは17番手でSQ1敗退だった。ところがスプリントではともにコース上で次々にライバルたちを抜いて行き、11、12位まで順位を挽回していた。

 シーズン中盤以降、相対的な不振が続いていたときも、レースペースは決して遅くはなかった。なのでスプリントに続いて決勝レースでも、アストンマーティンが速さを発揮できるのかが、注目ポイントのひとつといえた。

 2台とも他の多くのドライバー同様、ソフトタイヤ→ミディアムタイヤ→ソフトタイヤと繋いだ2ストップ作戦。6番グリッドから2番手にジャンプアップしたランド・ノリス(マクラーレン)には先行されたものの、アロンソは3番手で周回を重ねる。一方、アロンソを凌ぐ3番手スタートだったストロールは、メルセデスの2台、セルジオ・ペレス(レッドブル)らにかわされて7番手と、序盤は苦しい展開だった。

 しかし新品ソフトのペースは落ちず、ストロールは22周目まで引っ張る間に4番手まで順位を回復。第2スティントのミディアムでも、アロンソとほぼ互角の1分15秒台後半〜16秒台前半のペースを刻んでメルセデスの2台をコース上でかわすなどして5番手に。終盤はカルロス・サインツ(フェラーリ)が背後に迫ったが、ペースはストロールのほうが安定して速く、逆に10秒近いリードを築いて5位で逃げ切った。

 そしてアロンソは、ペースに勝るレッドブルのペレスに70周目にいったんはかわされて4番手に後退。しかし最終周に抜き返して、8月末のオランダGP以来の表彰台に返り咲いた。この壮絶バトルに競り勝ったのは、アロンソ自身のレースクラフト(レースを戦う技量)に依る部分が大きいと思われる。ただこの週末のアストンマーティンは、ストロールも予選、レースともに速さを発揮している。

 アストンマーティンのシーズン中盤以降の不振は、アップデートでライバルに後れを取った部分も確かにあった。しかしそれ以上に、マシンの潜在能力をレース現場で100%引き出すことに手こずっていたのではなかったか。その辺りの課題が、終盤に来てようやく克服され、今回の結果に繋がったと見るべきだろう。