11月4〜5日に栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われた2023スーパーGT最終戦でGT500クラスのシリーズチャンピオンに輝いたau TOM’S GR Supra。ドライバーの坪井翔と宮田莉朋は、坂東正敬監督率いるWedsSport BANDOH出身という共通点がある。教え子の戴冠について“マサ監督”が喜びを語った。

■宮田の喜び表現は「たぶん僕への恩返し」
 坪井と宮田について「もちろんトヨタ育成出身なので良いドライバーです」と話す坂東監督。特に今季の全日本スーパーフォーミュラ選手権とスーパーGTでダブルチャンピオンを獲得した宮田については、GT500本格デビューを果たした2020〜2021年にWedsSport BANDOHに所属していたときから、あることを教えていた。

「僕は、強いときや速いときに自分をアピールするのがすごく必要なことだと散々言っています。ちょっとでも自分が強かったり速かったりしたときに個性を出して『誰でもかかってこい!』くらいの感じでいろということは、ウチでポールポジションを獲ったときから言っていました」

「でも、宮田がスーパーフォーミュラでチャンピオンを獲得したときに『やりました! 日本でいちばん速いでぇーす!』と言って笑いを生んでいましたけど、本当は『BANDOHのおかげでぇーす!』と言ってくれると期待していたんですけどね(笑)」

 WedsSport BANDOHでは、ヨコハマタイヤワークスの一台としてタイヤ開発や走行機会、そして全国各地の販売店でのプロモーション活動など、GT500クラスでのイロハを学び、今やトヨタを代表するエースとして活躍する坪井と宮田。名門トムスに所属してチャンピオンに上り詰めたふたりは、第8戦もてぎのレース後インタビューでともにテンション高めに喜びを表現していたことが印象に残る。

 そのことは坂東監督も感じていたようで、「今はトムスさんに所属しているわけで、BANDOHのキャラクターはトムスさんとは合わないかなと思っています。でも、スーパーフォーミュラのときもそうでしたけど、同じように喜びを表現したことは、たぶん僕への恩返しだと思っています」と感慨深い様子で、将来への期待を続ける。

「ああいったキャラクターが合っているか合っていないか、ファンのみなさんがどういったコメントをするか僕には分かりません。けど、本当に素晴らしいドライバーだからこそ『俺がいちばん速いんだ!』ということを言っていかないと、F1やWECに乗ることはできません」

「これは坪井にも言えることなんですけど、これからはふたりに『俺はどんなクルマでも速いんだ!』というようなキャラクターを強く出して欲しいです。そして、今後は応援してくれるファンが誰よりも多いドライバーになってほしいなと思います」

■予選順位の大切さを痛感したもてぎ。WedsSport ADVAN GR Supraはグリップ不足に悩む
 教え子のふたりが活躍をみせるのに対し、坂東監督が率いるTGR TEAM WedsSport BANDOHの2023年は、第3戦で優勝したとはいえ厳しいシーズンを送っていた。もてぎは2021年の第4戦で予選2番手からSTANLEY NSX-GTとのバトルを繰り広げて2位、2022年も予選2番手を獲得している得意なサーキット。しかし、今年は予選14番手に沈んだ。

「本来だったら得意のもてぎで予選から前にいき、36号車や3号車(Niterra MOTUL Z)、17号車(Astemo NSX-GT)と争える位置にいなければいけませんでしたけど、ちょっとグリップが不足していました」

 グリップ不足に悩まされながらも、変わりやすい天候のなかで行われた決勝で追い上げたWedsSport ADVAN GR Supraは8位で今季ラストレースを終えた。坂東監督は、順位を上げることができたことをポジティブに捉える。

「濡れた路面のなかで他メーカーのタイヤよりもグリップが出せるときがあったので、そういった部分では良いところもありました。予選14番手から8位フィニッシュということで、スープラ勢のなかでも勝負できていたと思います」

 ただ、ストップアンドゴーの連続で追い抜きのし辛いもてぎでは、「本当に予選が重要だと改めて思いました」と予選順位を悔やむ。難しい状況でレースを戦った国本雄資と阪口晴南については、今季の戦いとタイヤ開発の両面から感謝する坂東監督は、すでに来季を見据える。

「ふたりのドライバーがクラッシュせずにチェッカーまでクルマを持って帰ってきてくれたことには感謝しています。また、タイヤに関しても、今年は国本と阪口だからこそできた進化もあります。今後は僕らがやらなければいけないタイヤ開発などをメインにして、来年のシリーズが終わったときには“一番騒いでいる人”になりたいと思います」

 今季は30ポイントのランキング12位でシーズンを終えた爆走坂東組。7年ぶりのGT500優勝を飾った第3戦ではレース後の結果確定のため、表彰台の頂点こそ立てなかったものの存在感を示した。来季は立てなかった表彰台の頂点を再び目指し、ヨコハマタイヤとともに“騒ぎ”を起こすための挑戦が続く。