アルゼンチンを代表するFFツーリングカー選手権、TC2000(旧スーパーTC2000)の第11戦が11月3〜5日の週末にアウトドローモ・シウダード・デ・パラナで争われ、アクシオン・エナジー・スポーツTC2000の次世代エース候補と目される18歳の新鋭イグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)がポール・トゥ・ウインを達成。続くレース2ではTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナ(TGRA)の現エースであるジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラTC2000)が今季2勝目を飾った。

 また、兼ねてより“次世代ツーリングカー規定”として導入を予告してきたSUVベースの新型モデルとして、前戦のパドックで先行披露されていた小型クーペSUV『VW Nivus SUV(フォルクスワーゲン・ニーヴァス)』をベースとした“プロトタイプ001”が、レースウイーク明けにシェイクダウンを実施。記念すべき初テストを成功裡に終えている。

 前戦では隣国ブラジルを代表する最高峰ティントップ選手権、SCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”を迎え入れ、カレンダーを代表する祭典『ブエノスアイレス200km』を開催したTC2000だが、このアルゼンチン東部エントレリオスの州都に位置するパラナのサーキットで、通常のレギュラー戦に回帰した。しかし、これも恒例ながらイベント前には盛大なカンファレンスも催され、シリーズを運営するタンゴ・モータースポーツ代表のアレハンドロ・レヴィやレギュラードライバーらが終盤残り2戦への抱負を述べた。

「このパラナのサーキットは非常に挑戦的だ。今週末は天候に恵まれる予定で、我々のカテゴリーを代表するドライバーたちが、その技量を見せつけてくれるはずだ」と語ったレヴィ代表を皮切りに、ドライバーたちも次々にその意見に同調する。

「このサーキットはドライブするのが楽しいし、何よりも美しい。アルゼンチンで最も美しいトラックのひとつで、素晴らしいショーを見せたいね」とTGRのサンテロが語れば、ホンダ陣営YPF Honda RV RacingのシビックTC2000をドライブする元2冠王者のファクンド・アルドゥソも「高速、中速、低速のコーナーが組み合わさった、非常に完成度の高いコース」と続け、このTC2000ではホンダ陣営所属の同僚ながら、TCRの世界ではトヨタ陣営のTTA(TOYOTA Team Argentina)でカローラGRS TCRをドライブするベルナルド・ラヴァー(ホンダ・シビックTC2000)も「パラナという美しい街に、こうした難易度の高いサーキットがあるのは本当に素晴らしいこと」だと週末に向けた意気込みを述べた。

 こうして始まった週末は、幕開けのFP1こそ83号車シビックに乗るアルドゥソが最速タイムを刻んだものの、そこからルノー陣営がセッションを席巻。FP2、FP3ともにルノー・フルーエンスGTのモンテネグロとマリアーノ・ペーニャがトップに立ち、勢いそのままアルドゥソを封じたモンテネグロが今季2度目、キャリア通算4回目の予選ポールポジションを奪った。


■ユニークな“SUVツーリングカー”がテストで順調なスタート

 迎えた25分+1周のレース1でも、現TCRサウスアメリカ・シリーズのポイントリーダーを務めるモンテネグロの勢いは衰えず。プッシュ・トゥ・パスを正確かつ控えめに活用しながらレースペースを維持し、2位浮上のサンテロ、3位後退のアルドゥソを従えてトップチェッカー。ルノー、トヨタ、ホンダの表彰台を完成させると同時に今季3勝目、TC2000では4勝目を達成した。

 続くレース2もこの3台のバトルが繰り広げられ、スタートで83号車のシビックが抜け出すも、ここから68号車のカローラが粘りを見せ、終盤の逆転に成功する。ファイナルラップでふたたびトヨタvsホンダの対決を挑んだアルドゥソだったが、わずかな失速でポジションを失い、最年長王者リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)とモンテネグロに先行を許すことに。

 この結果、スタンディングではペーニャが341ポイントで首位を維持し、サンテロが241ポイント、ファクンド・マルケス(ルノー・フルーエンスGT)が220ポイント、そしてモンテネグロで218ポイントで4位に続く展開となった。

 このレースウイークを終えたシリーズは、現地11月8日水曜に首都ブエノスアイレスに位置するアウトドローモ・デ・サンニコラスに次世代TC2000車両を運び込み、継続してきた開発プログラムの成果として、ユニークな“SUVツーリングカー”のシェイクダウンに漕ぎ着けた。

 今季はオクタノス・コンペティションのフィアット・クロノスTC2000をドライブするマルセロ・チャロッキが代表してステアリングを握った“プロトタイプ001”こと『VW Nivus SUV』は、トラックインから数kmのインスタレーションも無事に走破。そこからタンゴ・モータースポーツの技術チームはシャシーと新エンジンに対する調整と評価に取り組み、合計45周を走破。このトラックでTC2000が記録したポールタイムにも近い1分29秒台を記録した。

「クルマの最初の感触はとても良い。より多くのパワーを感じるし、それが前輪を通じて余すことなく路面に伝わっている。コーナリングのボトムスピードもはるかに上がっていそうだけど、まだ取り組むべき点は多いね」と、テストを担当したチャロッキ。

「今、こうして僕らの目の前にあるクルマは、現在のTC2000とはあまり似ておらず、エンジニアにとっては挑戦になる。それだけに(ノントラブルで終えた)今日の成果は幸運さ。新型SUVは非常に順調なスタートを切り、今日も進化を遂げた。自分で記録したタイムも悪くなかったし、とても勇気付けられるね」

 引き続き、リオ・クアルトでも11月17〜18日の週末にテストを実施する計画の新型SUVだが、来季に向けて製造計画も加速しており、ファクトリー支援を受けるシボレー陣営YPFエライオン・オート・プロ・レーシングも、ロザリオのGMシボレー工場から小型SUV『Tracker(トラッカー)』のホワイトボディを2台引き取ったことを明かしている。