マカオ市街地のギア・サーキットで4年ぶりに開催されているFIA GTワールドカップは11月16日、走行が始まった。コロナ禍を経て復活したこの大会は、文字どおり“GT使い”世界一を決める場ともなり、メルセデスAMGやBMW、アウディがワークス格のチームをエントリーさせており、ドライバーとしても2019年ウイナーのラファエル・マルチェッロをはじめとした歴代ウイナーたちが参戦している。

 ここではレースウイークに先立ち、マカオのパドックから各種トピックスをお届けする。

■週末の走行スケジュールと映像配信

 FIA F3ワールドカップなどと併載される形となるGTワールドカップは、木曜日に30分間の練習セッションが2回行われた。また、金曜日に30分間の予選が行われ、土曜日に12周の予選レース、日曜に16周の決勝レース(ワールドカップレース)が行われるスケジュールとなっている。日曜のワールドカップレースのグリッドは、予選レースのフィニッシュ順によって決定される。

 なお、セッションはFIAのYouTubeチャンネルにて中継される。

 チームは週末に利用可能なスリックタイヤとして、ピレリPゼロ・DHFを5セット保持している。使用される可能性は低いものの、必要に応じてレインタイヤも3セット用意される。

■エントリーが1台減。アウアーの参戦ならず

 FIA GTワールドカップには、計20台のGT3車両がエントリーしている。先月発表された暫定エントリーリストと比べると1台減少しているが、メルセデスAMGカスタマー・レーシング責任者のステファン・ウェンドルによると、クライマックス・レーシングの96号車メルセデスAMG GT3 Evoは、ルーカス・アウアーをマシンに乗せるという試みが実現しなかったため、撤退したという。

 アウアーは2023年1月のIMSA開幕戦デイトナ24時間レースでクラッシュし重度の骨折を負ったが、5月には回復し、DTMドイツ・ツーリングカー選手権に参戦していた。

 これにより、マカオでのレースには4名のメルセデスAMGファクトリードライバーが参加することになった。その中には7年間の大成功を収めたメルセデスAMGでの最後のレースを迎えるマルチェッロも含まれる。

 マルチェッロがドライブするメルセデスAMG・チームランドグラフでは、リードエンジニアのアレックス・ゼクリングをはじめ、マルチェッロのメルセデスAMGでの最初のレースであった2017年のGTワールドチャレンジ・アジア・セパン戦に参戦した何人かのクルーが、今週末も参加している。

 まだ発表されていないものの、マルチェッロは来季、WEC世界耐久選手権でチームWRTのファクトリーBMWプログラムの一員としてLMDhへ移行、BMW Mハイブリッド V8をハイパーカークラスでドライブするとの見方が濃厚だ。

■“錚々たる”ルーキードライバーたち

 ギア・サーキットで開催される4年ぶりのGTワールドカップである今週末のイベントでは、ジュール・グーノン、シェルドン・ファン・デル・リンデ、トーマス・プライニング、マッテオ ・カイローリ、ダニエル・セラなど、マカオを初走行するドライバーも多い。

 セラは、シルバードライバーのウェイアン・チェンとの2台体制となるハーモニー・レーシングから参戦し、このレースで唯一となるフェラーリ296 GT3をドライブする。

 なお、ドイツ以外のGT3メーカーは、まだGTワールドカップを制したことがない。

 また、マカオの週末には、アウディスポーツ・カスタマー レーシングの責任者であるクリス・ラインケ、メルセデスAMGのウェンドル、フェラーリの耐久部門グローバル責任者のアントネッロ・コレッタ、BMW Mモータースポーツ・ディレクターのアンドレアス・ルース、そしてポルシェ911 GT3 Rプロジェクトマネジャーのセバスチャン・ゴルツという、GT3 メーカー5社すべてからトップクラスのメンバーが出席している。

 SROモータースポーツ・グループの創設者兼CEOのステファン・ラテルも、同社のGT ワールドカップイベントのマネージメント役として参加している。

■国際格式への復帰を歓迎

 クラフト・バンブー・レーシングのチームディレクター、ダリル・オヤングは、FIAのマカオGPイベントへの復帰を歓迎しており、とりわけジャッジの一貫性が高まったことを指摘した。新型コロナウイルスの影響を受けた過去3年間、このイベントは地元のスチュワードによって運営されていた。

 これについてアブソリュート・レーシングのチームディレクターであるインゴ・マターは、2022年のGTカップ予選レースでエドアルド・モルターラに科せられた物議を醸すペナルティについて言及している。「昨年のことはもう、“タラ・レバ”だよ」。

■マカオの“特殊”事情

 ポルシェのゴルツによると、ポルシェは先週末のリージョナルGTカップレースに参加した1台のタイプ992ポルシェ911 GT3 Rからもたらされたデータを活かし、木曜のFP1に臨んだという。

 ゴルツによれば、ポルシェ911の2023年新型モデルが出場した数少ない公道サーキットのひとつである(IMSAの)ロングビーチは、マカオ・ギア・サーキットの高速性には「匹敵しない」ため、結果的にはデータが重なる部分はないという。

■2024年に向けた動きも

 アブソリュート・レーシングのマターによれば、既報のとおりアウディからのファクトリーサポートが打ち切られるにも関わらず、彼らは来年、GTワールドチャレンジ・アジアを含むアジアの複数のシリーズで引き続き アウディR8 LMS GT3 Evo II を走らせる予定だという。

 一方、クラフト・バンブーのメルセデスAMGの1台は、2月のバサースト12 時間レースに再び参加するため、オーストラリアに海上輸送される予定だ。

 オヤングは、香港籍の同チームがスパ24時間レースへの出場の可能性も検討しているが、来年のインターコンチネンタルGTチャレンジのカレンダーに追加されるニュルブルクリンク24時間への出場は除外していることを示唆している。

 オヤングはまた、チームは主にスーパー耐久シリーズでの活動のために日本に拠点を設立する予定であると述べた。クラフト・バンブーはこれまで、マレーシア・セパンに位置する主要拠点のみでアジアでのプログラムを運営してきた。