11月16日から19日にかけて、愛知県と岐阜県にまたがって開催されたWRC世界ラリー選手権第13戦『ラリージャパン』は、19日(日)に競技4日目“デイ4”のSS17〜22が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が優勝。チームメイトのカッレ・ロバンペラとセバスチャン・オジエのワールドチャンピオン経験者2名を抑えて今季3勝目を飾った。

 TGR-WRT勢は8冠王者のオジエが総合2位、前戦セントラル・ヨーロピアン・ラリー(CER)でシリーズ2連覇を決めたロバンペラが同3位に続き、トヨタの“ホームラリー”で表彰台を独占してみせた。彼らと同じTGR-WRTからのエントリーであるものの非ワークスノミネートとなる4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1をドライブした日本人ドライバー勝田貴元は、金曜日のクラッシュから怒涛の追い上げを見せ最後は総合5位でフィニッシュしている。

■序盤から強さを見せたトヨタ勢

 WRCカレンダー復帰2年目のフォーラムエイト・ラリージャパン2023は、今年も豊田市の豊田スタジアムを拠点に開催された。競技は同スタジアム内に作られた特設ステージで16日(木)夜に実施されたスーパーSSで開幕。ここでは前年のウイナー、ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)がトップタイムを刻み、今大会最初のラリーリーダーとなった。

 木曜の競技初日はSS1のみで終了。翌日は午前中に大雨が降るなかで行われたSS2とSS3でエバンスが連続ベストをマークする。トヨタのドライバーはSS3“イナブダム1”でライバルを突き放し後続のヌービルに26秒差をつけた。

 大雨によって中止されたSS4をスキップして行われたSS5ではヌービルが反撃をみせトップとのギャップを10.5秒に縮めたが、続くSS6のスタート直後にクラッシュの憂き目に遭い大会連覇の夢が潰えてしまう。代わって2番手につけたオジエとエバンスとの間には、この時点で44秒の大きなギャップが生まれていた。

 この日のSS2では勝田とダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)、アドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)がクラッシュを喫した。そしてSS6ではヌービルも姿を消したため、フルデイ初日にして勝田車を除く3台のラリー1カーが上位争いから脱落。ソルドとフルモーに至ってはここでラリーを終えることとなった。

 金曜日をエバンス、オジエ、ロバンペラによるワン・ツー・スリーで終えたトヨタ勢はこれ以降、“ホームラリー”での勝利を確実なものとするべく、クレバーな走りでラリーを進めていく。3年連続“三冠”の最強軍団のドライバーたちはここから一切崩れることなく最終日を迎え、デイ4の計6SSを無事に走り切り見事、日本でのポディウム独占を果たしてみせた。これでエバンスは今季3勝目をマーク。トヨタチームの今季勝利数は「9」となっている。

■怒涛の挽回で5位入賞

 豊田章男TGR-WRT会長の“指令”どおり、日本での忘れ物を取り戻したトヨタ勢の後ろではヒョンデ・シェル・モビスWRTのエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)が総合4位でフィニッシュ。SS2でのクラッシュ後、怒涛の追い上げを見せていた勝田に対するマージンを徐々に失っていたもののデイ4の最後には日本人ドライバーを引き離して順位を守った。

 その勝田はマシンにダメージを負ったその日から2日続けてのの3ステージ連続ベストなど、都合9つのステージ(救済タイムが与えられたSS9を含めると10本)でベストタイムを記録する“鬼神の走り”で一時33番手まで落ちた総合順位を5番手まで押し上げたが、前述のとおり4位にはあと一歩届かず。ラッピとのタイム差は20秒だった。なお勝田は、最終パワーステージでは4番手タイムを記録し、ボーナスポイント2点を追加で獲得している。

 Mスポーツ・フォードWRTでの“ラストラン”となったオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)は、デイ4の午前中に勝田に逆転を許したあと18秒離されて総合6位に。7位には前戦CERで自身2度目のWRC2タイトル獲得を決めたアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2)が入った。

 同クラス2位は「藤原とうふ店(自家用)」の文字をリヤハッチに掲げたマシンをドライブしたニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2)。クラス3位となったカエタン・カエタノビッチ(シュコダ・ファビアRSラリー2)はWRC2チャレンジャークラスのタイトルをこの最終戦で決めている。トップ10リザルトの最後には2020年の全日本ラリー選手権チャンピオンである新井大輝(プジョー208ラリー4)が入っている。