11月16〜19日、マカオ市街地のギア・サーキットを舞台に開催された第70回マカオグランプリにて、2019年以来4年ぶりにFIA F3ワールドカップが開催され、ウイリアムズ育成のルーク・ブラウニング(ハイテック・パルスエイト)が予選、予選レース、決勝レースを制し、伝統のマカオGPを完全制覇した。

 マカオグランプリは2018年までは各地のF3選手権の有力選手が集う一戦として、2019年はFIA F3マシンによる一戦として開催されたFIA F3ワールドカップをメインイベントとし、FIA GTワールドカップやWTCR世界ツーリングカーカップ、マカオ・モーターサイクル・グランプリといったレースを開催。世界各地からドライバー、ライダー、そして多くの観光客が訪れるマカオのビッグイベントとして開催されてきた。

 ただ、2020年からの新型コロナ禍により、2020年〜2022年度大会ではFIA F3ワールドカップとFIA GTワールドカップはともに開催されず、マカオ、香港、そして中国本土のドライバーを中心とした中国F4レースがメインレースとして開催された。2023年は渡航制限が明けFIA F3ワールドカップ、そしてFIA GTワールドカップが復活し、FIA F3ワールドカップには今季FIA F3参戦ドライバーを中心に多くの有力ドライバーが集結した。

 予選、予選レース、決勝と進むなか、予選から他を圧倒したのはウイリアムズF1の若手育成プログラム『ウイリアムズ・アカデミー』のメンバーであり、2022年のGB3選手権王者のブラウニングだった。FIA F3ワールドカップでは、2度の予選セッションが行われ、そのうち速い方のタイムが予選レースのグリッドに採用される。予選1回目ではアルピーヌ育成のガブリエレ・ミニ(SJMセオドール・プレマ・レーシング)が2分05秒521をマークしてトップとなるも、予選2回目でブラウニングが2分05秒435をマーク。ミニも予選2回目で2分05秒441と自己ベストを更新するも、0.006秒差でブラウニングが予選レースのポールシッターとなった。

 18日に行われた10周の予選レースでは、オープニングラップのマンダリン・オリエンタル・ベンドでミニがブラウニングに並びかけるが、続くリスボア・ベンドでブラウニングがトップの座を死守。ブラウニングはそこから一気に後続とのギャップを広げ、1.8秒のギャップを築いて2周目に入った。しかし、リスボア・ベンドで後続のダン・ティクトゥム(ロダン・カーリン)とウーゴ・ウゴチュク(トライデント・モータースポーツ)がクラッシュし、バーチャル・セーフティカー(VSC)が導入され、そのままセーフティカー(SC)に切り替えられた。

 レースは5周目に再開。2番手ミニにとっては最大のチャンスとなったが、リスボア・ベンド手前でブラウニング、ミニ、そして3番手につけていたアレックス・ダン(ハイテック・パルスエイト)が3ワイドとなり、アウト側にポジションを取ったミニに変わり、イン側に入ったダンが2番手に浮上する。今季GB3でランキング2位となったダンは6番グリッドからFIA F3初レースに臨んだが、早々に優勝も狙えるポジションに。

 ただ、ブラウニングは最後までトップの座を譲らず予選レースを制し、2.097秒差の2位にダン、4.441秒差の3位にミニが続いた。フェラーリ育成のディーノ・ベガノビッチ(SJMセオドール・プレマ・レーシング)は4位、FIA F2参戦中のレッドブル育成デニス・ハウガー(MPモータースポーツ)は5位で予選レースを終えた。

 19日に行われた決勝レースは15周。引き続き、快晴のもとでスタートが切られた。ブラウニングがトップを守る一方、スタートで3番手スタートのミニがダンをかわし2番手に浮上。ダンは2番手の座を取り戻そうとするが右直角のリスボア・ベンドでタイヤバリアに突き刺さりレースを終えることに。これでベガノビッチが3番手となる。短いVSCを経てオープニングラップ終盤より再びグリーンフラッグが振られると、ブラウニングが後続を引き離すなか、2番手ミニ、3番手ベガノビッチ、4番手メルセデス育成のポール・アーロン(SJMセオドール・プレマ・レーシング)、5番手ハウガーの4台が数珠繋ぎとなる。

 3周目、リスボア・ベンドへの飛び込みでベガノビッチがブレーキング勝負に出た。しかし、ベガノビッチはリスボアを曲がりきれず、オープニングラップのダンを再現するかのようにタイヤバリアに突き刺さりここでレースを終えた。これでアーロンが3番手に浮上するが、4周目のストレートでアーロンのスリップに入ったハウガーが先行する。アーロンは5周目にマリ・ボヤ(MPモータースポーツ)にかわされ5番手に後退する。

 そんななか、7周目の山側区間のS字、ソリチュード・エセスでアーロンがクラッシュ。アーロンは即座にコックピットを降りたが、マシンからは黒い煙とともに炎が上がり、SCを経て8周目を迎えた段階でレースは赤旗中断となった。バリア改修や破片回収のため、赤旗は長時間に及んだ。

 レースはSC先導で再開され、12周目より残り4周というところでグリーンフラッグを迎えた。リスタートのマンダリン・オリエンタル・ベンドでハウガーがミニをかわし2番手に浮上。さらに、リスボア・ベンド飛び込みでハウガーはブラウニングに並ぶも、ここはブラウニングが死守する。ハウガーのペースは悪くはなく、ハウガーにとっては最大のチャンスを迎えた。

 ただ、12周目のフィシャーマンズ・ベンドでアルピーヌ育成のニコラ・ツォロフ(ARTグランプリ)がクラッシュし、再び13周目にSCが導入される。そのまま4年ぶりのF3ワールドカップはSC先導のままチェッカーとなり、予選、予選レース、決勝と他の追随を許さなかったブラウニングが両レースともにファステストラップもマークしFIA F3ワールドカップを完全制覇した。

 2位ハウガー、3位のミニまでが表彰台に登壇。4位にボヤ、5位にジョセップ・マリア・マルティ(カンポス・レーシング/レッドブル育成)が続き、6位にリチャード・フェルシュフォー(トライデント)、7位にアイザック・ハジャル(ハイテック・パルスエイト/レッドブル育成)、8位にゼイン・マロニー(ロダン・カーリン/レッドブル育成)と、現役FIA F2ドライバーが続いた。