マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がラスベガス・ストリップ・サーキットで初めて開催されたラスベガスGPを制した。年間勝利記録をさらに伸ばし、今シーズン18勝目を挙げた。また、この勝利でフェルスタッペンは通算53勝目となり、セバスチャン・ベッテルの歴代3位の記録に並んだ。

 しかし、この日の勝利は、これまでのようにライバルを圧倒するペースで勝ち取ったものではなかった。この週末のレッドブルはフェラーリに対して、予選で後塵を拝してしまっただけでなく、レースでも拮抗した戦いを強いられた。

 そのことを如実に物語っていたのが、16周目にフェルスタッペンがバックストレートエンドでシャルル・ルクレール(フェラーリ)にオーバーテイクされたことだ。クリスチャン・ホーナー代表はこう説明した。

「今日の我々はミディアムタイヤではフェラーリほどの競争力がなかった」

 オーバーテイクされたフェルスタッペンは、この周でピットに向かう。ピットインしたフェルスタッペンは、スタート直後にルクレールを追し出したとして、スチュワードから科せられていた5秒ペナルティを消化するとともに、ミディアムからハードタイヤに交換した。

 一方、トップに立ったルクレールは、その後もステイアウトし続け、21周目にピットイン。ハードタイヤに交換した。ピレリの予測では、1ストップ作戦を成功させるためにはミディアムタイヤでスタートした場合、18周目まで走らなければならない。つまり、この時点でフェルスタッペンは2ストップ、ルクレールは1ストップ作戦でレースを進行した。

 フェルスタッペンが2ストップ作戦でルクレールを逆転するためには、次のピットストップまでにルクレールに約20秒の差をつけなければならないのだが、ふたりが1回目のピットストップを終えた段階で、前を走っていたのはルクレールで、フェルスタッペンはその後方を走っていた。

 しかも、25周目にはジョージ・ラッセル(メルセデス)と接触してしまった。これで万事休すかと思われた26周目にセーフティカーが導入される。このタイミングを利用して、レッドブル陣営はフェルスタッペンをピットインさせる。これでフェルスタッペンはピットストップロスを最小限に済ませただけでなく、1ストップのルクレールよりも新しいタイヤでセーフティカー後のレースを待つこととなる。

 果たして、フェルスタッペンはそのチャンスを見事につかみ、37周目にルクレールをオーバーテイクし、逆転優勝を飾った。

 このようにラスベガスGPのフェルスタッペンの優勝には、運も味方していたことは間違いない。しかし、その運をものにする力がなければ、勝つことはできない。それもまた、実力なのである。