2023年F1第22戦ラスベガスGP。アメリカで今シーズン3回目となるグランプリ開催で、舞台はラスベガス・ストリップ・サーキット。予選では頭ひとつ抜けた速さを見せたシャルル・ルクレールがポールポジションを獲得した。しかしルクレールはスタート直後に押し出されてその順位を失ったり、後方ではクラッシュが起きるなど、41年ぶりのラスベガスでのレースは波乱のスタートを迎えたのだった。ラスベガスGPを無線とともに振り返る。

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 約40年ぶりに開催されたラスベガスGPは、スタート直後から大波乱の展開となった。ポールシッターのシャルル・ルクレール(フェラーリ)にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が並ぶと、ターン1で2台がコースオフ。フェルスタッペンはそのまま首位を奪って、立ち上がっていった。

ジャンピエロ・ランビアーゼ(→フェルスタッペン):入って行った時に前だったから、そのままでいい

 それに対してルクレールの見解は、当然真逆だった。

ルクレール:すぐに訴えるべきだ。エイペックスで(フェルスタッペンは)僕の前にいなかったし、押し出していった。このままの順位で済んだら、ジョークだよ

 後方ではフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が単独スピン。真後ろのバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)と接触し、さらにルイス・ハミルトン(メルセデス)、セルジオ・ペレス(レッドブル)らも被害に遭う多重クラッシュが発生した。アロンソのスピンは、ドライバーズパレードの際に漏れたオイルが原因のようだった。

アロンソ:フロントウイングにダメージだ
クリス・クローニン:了解。すぐにボックスだ

ボッタス:目の前でアロンソがスピンして、さらに誰かもぶつかってきた
ハミルトン:ぶつけられて、順位を大きく失った

 3周目、今度はランド・ノリス(マクラーレン)が単独スピンし、クラッシュ。セーフティカー(SC)が導入された。

ウィル・ジョゼフ:ランド、大丈夫か?
ノリス:すべてOKだ

 と返すノリスだったが、息遣いはかなり荒かった。レース再開直後で、タイヤ内圧が下がっていたことによるボトミングでコントロールを失ったようだった。

ハミルトン:ノリスがコースオフして、デブリがフロントウィングを直撃した
ピーター・ボニントン:チェックする

6周目
ランビアーゼ(→フェルスタッペン):一応、情報を上げておく。1周目のターン1だけど、スチュワードが協議中だ。でも順位は変えなくていいようだ

 しかしすぐに、5秒ペナルティが科された。それでもフェルスタッペンのレースペースはルクレールを凌ぎ、陣営に焦る様子はない。

9周目
ランビアーゼ:5秒ペナルティを科されたけど、すでに2秒リードを築いてる
フェルスタッペン:大丈夫だ。彼らによろしく言ってくれ

 ペナルティ消化で9番手まで順位を下げたフェルスタッペンだったが、スチュワードに皮肉を言うほど余裕たっぷりだった。しかし5番手まで上がった25周目、ジョージ・ラッセル(メルセデス)へのターン12の飛び込みで接触。路面にデブリが散乱し、2度目のSC導入となった。

25周目
フェルスタッペン:僕に被せてきた。タイヤをチェックしてくれ! フロントウイングも!
ランビアーゼ:タイヤは大丈夫。ステイアウトだ

 一部の空力パーツを失っていたが、フェルスタッペンのペースは落ちることなく、すぐに3番手に浮上した。

ランビアーゼ:事故は審議中だ
フェルスタッペン:全然見てないように寄せてきた

 フェルスタッペンの言い分が通り、ラッセルに5秒ペナルティが科された。

 36周目、フェルスタッペンはペレスを抜き、2番手に立った

フェルスタッペン:一緒にやろう。ふたりで(ルクレールを)やっつけよう

 44周目、メルセデスのトト・ウォルフ代表が無線に入ってきた。

ウォルフ代表:ジョージ、まだP4行けるぞ

 単に励ましたのか、あるいはラッセルの追い上げに熱くなるあまり、5秒ペナルティを失念していたのか。ラッセルは最終周にオコンを抜いて確かに4番手には上がったが、5秒加算で8位完走となった。

 37周目に首位に立ったフェルスタッペン。後方ではいったん2番手に上がったペレスが、ルクレールに迫られていた。ランビアーゼから、ペレスにスリップストリームを使わせるように指示が出た。

ランビアーゼ:2秒5までチェコとの間隔を詰めろ
フェルスタッペン:わかった。やってみる

 しかし最終周、ルクレールがターン14のフルブレーキングでインを差し、2位を奪還した。

 チェッカー後のフェルスタッペンは、いつも以上に上機嫌だった。

フェルスタッペン:ビバ〜ラスベガス♪
クリスチャン・ホーナー代表:楽しんでるね。よくやった!
フェルスタッペン:めちゃくちゃ、楽しかったよ! 最終周、やれることはやったけど、残念だった。申し訳ない
ランビアーゼ:大丈夫だ。気にするな

ルクレール:なんとか2位だ。ほんとは、勝ちたかったけどね。なんてレースだったんだ。やり切ったよ。何も残ってない

ペレス:(ルクレールが来るのウィ)予想してなかった。ストレートで遅すぎた。くそっ!
ホーナー代表:いや、チェコ、偉大な表彰台だ。選手権2位を確定したしね。後方グリッドから、よく挽回した
ペレス:みんなの努力のおかげだ。ストレートがとにかく遅かった
ヒュー・バード:2位を確定した。それが一番大事だ

 終わってみればフェルスタッペンの完勝。しかしフェラーリも最後まで食い下がり、大いに盛り上がったラスベガスGPだった。