11月25日、MotoGP第20戦バレンシアGPのスプリントレースがリカルド・トルモ・サーキットで行われ、ホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)が優勝を飾った。タイトルを争うフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)は5位でフィニッシュしたため、両者のポイント差は14となり、チャンピオン決定は日曜日の決勝レースへ持ち越しとなった。

 まず、ジョアン・ミル(レプソル・ホンダ・チーム)は初日のFP1の8コーナーで転倒を喫した際に背中を強打し、その後、病院で検査を受けた。幸い大きな怪我はなかったようだが、首の痛みがあることから土曜日のセッションから欠場となっており、火曜日のテストへの参加を目指す。

 予選前に行われたFP2は、マルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)がトップタイムをマーク。2番手にはアレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)、3番手にはバニャイアがつけ、マルティンは6番手で終えた。

 予選Q1は気温19度、路面温度16度のドライコンディションでスタート。タイトル争いを展開中のバニャイアは、前日に行われたプラクティスで15番手に沈み、予選Q1からのアタックとなった。Q1で真っ先にトップタイムをマークしたバニャイアは、その後1分29秒498まで縮めたが、アレックス・マルケスがわずかに上回り2番手につける。

 終盤に差し掛かり、ライダー達がセカンドアタックに入ると、バニャイアが連続でタイムを更新。金曜日のプラクティスでマーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)が塗り替えたオールタイムラップ・レコードを上回る1分29秒054を叩き出してトップ通過を決めた。2番手にはアレックス・マルケスが並び、予選Q2進出を獲得した。

 予選Q2の序盤では、ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が先頭に立ち、2番手にマルティン、3番手にジャック・ミラー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)がつける状況だった。バニャイアはタイミングをずらしてセカンドアタックを試みると、Q1で叩き出した自身のタイムを塗り替える1分29秒023を叩き出して首位に立つ。

 しかし、その直後に初日のプラクティスをトップで終えたビニャーレスが脅威の1分28秒931をマーク。その後、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)、アレックス・マルケスの転倒が相次いだことで、イエローフラッグが掲示。そのため、以降はトップタイムを更新するライダーは現れず、ビニャーレスがレコードブレイクで堂々のポールポジションを獲得した。

 バニャイアは2番手でフロントロウ、ザルコは3番手につけた。4、5番手にはレッドブルKTMファクトリー・レーシングのジャック・ミラーと終盤に転倒があったビンダーが並び、チャンピオンを争うマルティンは6番手で、スプリントではバニャイアを追う展開となる。マルク・マルケスは9番手、ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)はQ2進出ならず15番手、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は16番手だった。

 迎えたスプリントレースは気温18度、路面温度25度のドライコンディションで始まった。バニャイアが抜群のスタートを行ってホールショットを奪うも、直後にビニャーレスに交わされて2番手につける。ビンダーも好スタートを切るが、マルティンが交わして3番手に続いた。

 マルティンはバニャイアに積極的にパッシングしていくが、接触があったのか、ふたりともややはらんでポジションを落としてしまう。それによりビンダーが2番手、マルク・マルケスが3番手に浮上するが、マルティンはすぐさま挽回して3番手につける。

 トップのビニャーレスがややギャップを広げつつあったが、ビンダーが徐々に詰めていく。そのなか、5周目には6番手まで順位を上げていたクアルタラロが6コーナーでバニャイアをオーバーテイクしようとした際に転倒を喫してしまう。バニャイアの前での転倒となり、少しひやっとする場面でもあった。

 6周目にはトップ3が一気に縮まり、さらに後ろにはマルク・マルケスが迫っていた。5番手のバニャイアとのギャップは1秒以上広がるなか、四つどもえの優勝争いがヒートアップ。7周目にはビンダーがビニャーレスを捉えて先頭に躍り出ると、翌周にはマルティンとマルク・マルケスもビニャーレスを捉えて前に出る。

 マルティンの勢いは止まることを知らず、さらにビンダーを交わして一気に首位に上り詰める。ビンダーはすぐ後ろに迫っていたが、3番手のマルク・マルケスとのギャップは0.5秒ほどに広がっていた。ビニャーレスの後方、バニャイアは前方と0.7秒ほどの差があり、後ろからファビオ・ディ・ジャンアントニオ(グレシーニ・レーシングMotoGP)に追われる展開となった。

 そしてファイナルラップ、プレッシャーを跳ね除けたマルティンが安定した走りを展開してトップチェッカーを受けた。2位にはビンダー、ホンダラストレースとなるマルク・マルケスが3位を獲得。ポールシッターのビニャーレスは4位で終えている。

 ランキング首位のバニャイアは5位で終える結果となったため、優勝を飾ったマルティンが自力で王座決定を日曜日の決勝レースへと持ち込み、バニャイアとのポイント差を14に縮めた。日曜日の現地時間15時から行われる決勝で、2023年シーズンのワールドチャンピオンが決まることになる。

 また、日本勢の中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)はややスタートで出遅れて18位フィニッシュ、好スタートを決めたクアルタラロは転倒リタイアで終える厳しいレースとなった。