角田裕毅(アルファタウリ)がF1最終戦アブダビGPの予選で6番手を獲得した。角田のF1での予選最高位は、2021年オーストリアGPの7番手だった。今回はそれを上回り、自己ベストの予選結果となった。

 この背景には、アルファタウリがアブダビGPに投入したアップデートがあることは間違いないが、それだけが理由でないことは、チームメイトのダニエル・リカルドが15番手に終わっていることでもわかる。

 リカルドはQ2敗退後、こう語っていた。

「ユウキがQ3へ進出したことを考えれば、このクルマには間違いなく、そのポテンシャルがあるんだけど、コーナーごとにちょっとアンダーステアだったり、オーバーステアがあってね。すごくタイムが接近していたから、そのちょっとした差でQ3進出を逃したという感じなんだ」

 リカルドのQ2のタイムは1分24秒442で、角田は1分24秒207。その差はコンマ2秒だった。

 角田も実は、コーナーでのマシンバランスに苦労していた。

「今回のアップデートは全体のパフォーマンスとしては前進しているんですけど、クルマのバランスに関しては安定していないので、コーナーごとに調整が必要でした」

 そのため、角田は予選中、常にレースエンジニアのマティア・スピニと無線でデフの調整を細かく行っていた。

 マシンバランス以外でも、今回の予選では角田はレースエンジニアとのコミュニケーションを密に取っていた。

「予選前にエンジニアと、ここはトラックポジションが重要だから、気をつけようと話し合っていました。その結果、今回はどのアタックもトラックポジションがいい状態でコースに送り出してくれました」

 さらにQ3では、アタックを新品タイヤの1回で行くか、ユーズドも使用して2回にするかを話し合っていた。通常は2回だが、それを選択した場合、ほかのドライバーとアタックするタイミングが重なる。もし、確実にクリーンなアタックをしたければ、ライバルたちが1回目のアタックを終えた後に、新品タイヤで出ていったほうがいい。

 角田が少し悩んでいると、スピニはこうアドバイスした。

「ユーズドで1回バランスを確認して、リズムをキープした状態で、新品タイヤで2回目のアタックをしたほうがいいと思う」

 そのアドバイスが功を奏し、Q3の2回目のアタックで自己ベストタイムを更新して、6番手を獲得。アタック後、角田が「P7?」と無線で尋ねると、エンジニアは「P6だよ」と返した。

 それを聞いた角田は、こう言ってピットへ向かった。

「やったね、みんなありがとう」

 今回の予選自己最高位は、速さだけでなく、角田というドライバーがいかに成長しているかをよく表した結果だったと言える。