11月26日、2023年FIA F2最終戦/第14戦のフィーチャーレース(決勝レース2)が、アブダビのヤス・マリーナ・サーキットで開催され、ジャック・ドゥーハン(インビクタ・ビルトゥジ・レーシング/アルピーヌ育成)がポール・トゥ・ウインで今季3勝目を飾った。

 ドライバーズタイトルはテオ・プルシェール(ARTグランプリ/ザウバー育成)が獲得。5番手スタートの岩佐歩夢(ダムス/レッドブル&ホンダ育成)は4位でチェッカー。最終的にドライバーズランキング4位で激戦の続いた2023年シーズンの戦いを終えた。

 2023年FIA F2最終レースとなる第14戦フィーチャーレースのグリッドは11月24日に行われた予選結果順となり、岩佐から10ポイント差のシリーズランキング4位につけるドゥーハンがポールポジションを獲得。2番グリッドにビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)、2列目3番グリッドにクッシュ・マイニ(カンポス・レーシング/アルピーヌ育成)と、アルピーヌ育成の3名が前方を占めるかたちに。

 4番グリッドにゼイン・マロニー(ロダン・カーリン/レッドブル育成)、そして3列目5番グリッドに岩佐、6番グリッドにデニス・ハウガー(MPモータースポーツ/レッドブル育成)が続いた。スプリントレース(決勝レース1)ウイナーであり、ランキング2位から逆転タイトルに挑むフレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)は9番グリッドから、そしてベスティを16ポイントリードし、ランキングトップにつけるプルシェールは14番手からそれぞれスタートとなる。

 今回のタイヤコンパウンドはプライムタイヤがミディアム(イエロー)、オプションタイヤがソフト(レッド)となるなか、ポールのドゥーハンはソフト、2番グリッドのマルタンスはミディアムと、フロントロウの2台は選択が別れた。

 直前の計測で気温29度、路面温度43度というコンディションのもと、タイヤ交換義務を有する周回数33周のフィーチャーレースはスタートを迎えた。ドゥーハンがホールショットを守る一方、ミディアムスタートのマルタンスはスタートが鈍く、ソフトタイヤを履いたマイニが2番手に浮上。さらに、4番手にはマロニーをかわした岩佐が浮上する。

 ソフトタイヤスタートの岩佐はミディアムのマルタンスの攻略にかかりたいところだが、2周目のターン6飛び込みでマロニーが先行。ただ、岩佐は続くセクター3で再び4番手を取り戻す。上位勢の多くがソフトタイヤスタートだったこともあり、上位勢は1分40秒台のペースをキープ。岩佐もドゥーハンとほぼ同じペースで周回を続ける。

 そうして迎えた7周目、4番手岩佐と12番手プルシェールが真っ先にピットイン。翌8周目には2番手マイニ、9周目にマロニー、10周目にドゥーハンと、上位勢も続々とミディアムへ交換。これでミディアムスタートのマルタンスが首位に浮上する。そんな中、11周目のターン9で岩佐がマイニを攻略。スムーズなオーバーテイクでタイヤ交換組の2番手に浮上する。

 ただ、マイニも岩佐の背後から離れず、DRS圏内でペースをキープ。さらにマイニの背後にはマロニーも接近。3台が数珠繋ぎとなる。しばし均衡状態が続いたが、17周目のターン6でマロニーがマイニを先行する。マロニーは続いて岩佐の背中を追う展開となったが、岩佐とのギャップは1.8秒に達しており、マロニーはDRSを使うことはできない。

 そんな17周目には、オリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)がスローダウン。ベアマンはなんとかピットレーンにマシンを進めるも、自チームの作業エリアまで到達できず、ピットレーン入り口の脇にマシンを止める。これでチームタイトルを争うプレマの1台がレースを終えた。

 逆転タイトルに望みをかけるベスティはミディアムタイヤで周回を続け、21周目時点でマルタンスから3.9秒差に。そんなベスティには「ここから数周0.3秒プッシュしよう」とチームから無線が飛ぶ。その情報を聞いてか、マルタンスがシコベストを更新。さらにドゥーハンもセクター1全体ベストを更新するなど、各車もペースアップ。

 23周目、ベスティがピットイン。ソフトに履き替えコースに復帰すると、ベスティはプルシェールの背後となり、タイトル候補の2台の順位が入れ替わった。24周目にマルタンスがピットに入り、2番手でコース復帰する。

 24周目、ターン6でマロニーが3番手岩佐を攻略するが、ターン9で岩佐がポジションを取り戻す。ただ、3番手岩佐、4番手マロニー、5番手プルシェール、6番手ベスティ、7番手マイニの集団は大混戦。激しいサイド・バイ・サイドの中、特にプルシェールとベスティはコース上でも直接対決を繰り広げる。

 また、岩佐はマロニーと3番手争いが続いた。しかし、28周目のターン9でマロニーが3番手に浮上。さらに岩佐の背後にはソフトタイヤを履いたベスティが接近する。最も早いタイミングでミディアムタイヤに変えた岩佐とはタイヤコンディションがまったく違うベスティは一気に岩佐との間合いを縮め、30周目のターン6でベスティが4番手に浮上する。

 その直後、ジョシュア・メイソン(PHMレーシング・バイ・チャロウズ)がコースサイドにマシンを止め、31周目にバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入。約半周のスロー走行ののち、残り2周弱でレースは再開。その時点で5番手岩佐の2秒後方にプルシェールが近づく。しかし、プルシェールも決して無理はせず。

 33周目、ドゥーハンがトップチェッカーを受け、ポール。トゥ・ウインで今季3勝目を飾った。2位にマルタンスが続いた。

 そして3位争いはまさかの展開に。ファイナルラップのターン9立ち上がりでベスティとマロニーが接触。ベスティは3位でチェッカーも、マロニーはマシンを止めることに。

 これで岩佐は4位でチェッカー。5位にプルシェール、6位にハウガー、7位にアーサー・ルクレール(ダムス/フェラーリ育成)、8位にアイザック・ハジャル(ハイテック・パルスエイト/レッドブル育成)、9位にマイニ、10位にジャック・クロフォード(ハイテック・パルスエイト/レッドブル育成)が続いた。

 ドライバーズタイトルは合計203ポイントとなったプルシェールが獲得。チェッカー後の無線では号泣する様子も。また、チームタイトルはプルシェール、マルタンスを要したARTグランプリが獲得している。ドライバーズランキング2位は192ポイントのベスティ、そしてランキング3位には今回の優勝で合計168ポイント獲得となったドゥーハンが浮上した。岩佐は165ポイントでランキング4位でシーズンを終えた。なお、FIA F2ルーキー最上位は150ポイントを獲得し、ランキング5位となったマルタンスとなった。

 激戦が続いた2023年シーズンのFIA F2は幕を閉じた。なお、レースウイーク明けの11月29〜12月1日にはヤス・マリーナ・サーキットでFIA F2プレシーズンテストが開催され、日本からは2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権、そしてスーパーGT GT500王者の宮田莉朋が参加する。2024年シーズンもF1直下の戦いに注目したい。

■2023年FIA F2第14戦ヤス・マリーナ
フィーチャーレース(決勝レース2)暫定結果
Pos.No.DriverTeamTime/Gap114J.ドゥーハンインビクタ・ビルトゥジ・レーシング56'03.87926V.マルタンスARTグランプリ3.87437F.ベスティプレマ・レーシング22.485411岩佐歩夢ダムス26.28355T.プルシェールARTグランプリ27.668612A.ルクレールダムス28.33671D.ハウガーMPモータースポーツ29.079810I.ハジャルハイテック・パルスエイト30.090924K.マイニカンポス・レーシング33.113109J.クロフォードハイテック・パルスエイト36.2231116R.ニッサニーPHMレーシング・バイ・チャロウズ38.9961220R.スタネトライデント43.6881323J.コレアファン・アメルスフォールト・レーシング48.348144E.フィッティパルディロダン・カーリン49.6781525R.ボシュングカンポス・レーシング54.8291615A.コルデールインビクタ・ビルトゥジ・レーシング1'05.468173Z.マロニーロダン・カーリン1Lap1821P.アーロントライデント1Lap-17J.メイソンPHMレーシング・バイ・チャロウズDNF-22R.フェルシュフォーファン・アメルスフォールト・レーシングDNF-8O.ベアマンプレマ・レーシングDNF-2F.コラピントMPモータースポーツDNF
ファステストラップ:ビクトール・マルタンス 1分38秒319(33/33)