日本の2大モータースポーツカテゴリーであるスーパーGTと全日本スーパーフォーミュラ選手権は2023年のスケジュールを終え、ドライバーの宮田莉朋がダブルタイトルを決めた。11月20日には、2024年FIA F2とELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズへの挑戦を発表し、明るいニュースを提供してくれた。

 シーズンが終わればドライバーとチームにとっては束の間の休息と来季に向けての準備が始まるわけだが、2024年のシートが決まっていない者にとっては、これからが最後の大詰めの時期となる。

 14年目のNTTインディカーシ・シリーズのシーズンを終えた佐藤琢磨。今季は名門チップガナッシ・レーシングに移籍してオーバルレースのみの参戦という短いシーズンだったが、インディカーのシーズンを終えてからは日本に戻り、例年のように忙しい日々を過ごしている。

 一年のほとんどを海外で過ごす琢磨にとっては、この時期に日本に戻ってスポンサーに活動報告をし、来季へ向けてのミーティングをおこなうことは最重要課題だ。さらにF1日本GPやスーパーフォーミュラ最終戦のようにホンダ・レーシング・スクールのプリンシパルとしてのプロモーション活動や、若手ドライバーの育成や現地での指導。さらにはスポンサーイベントでファンの前でトークショーに出演したりとまさに東奔西走だ。この時期にしか日本に居られない琢磨にとっては貴重な時間でもある。

 昨年まではコロナ禍の影響で、なかなか開催できなかったイベントも再開されており、数年ぶりの忙しさのようだ。

 HRSのプリンシパルとしては、F1日本GP内で卒業生の岩佐歩夢とともに来季から導入を予定しているスクールカーのデモランを行い、10月3日にはホンダ本社ビル1階のショールーム『Hondaウエルカムプラザ青山』で記者発表にも出席。

 ニューマシンの紹介だけでなく、プリンシパルとしてスクールのカリキュラムや育成の方針なども詳しく説明にあたった。バイス・プリンシパルの中野信治や講師陣とも、うまくコミュケーションを取りながら、過去の卒業生は国内外のレースで活躍しており、HRSの顔としての仕事も板に付いて来た。

 またレーシングドライバーとしても、パーソナルスポンサーのプロモーション業務も同時に並行して進む。東京近郊だけでなく、名古屋、大阪などにも顔を出し、スポンサーへの挨拶と同時に、ファンの前でマイクを握る機会も多い。

 琢磨のパーソナルスポンサーであるスイスの高級腕時計、ブライトリングのブティックにも東京、大阪、名古屋と顔を出しイベントを行っている。それぞれのブティックで招待された顧客とファンを前に今季のレースの報告や子供の頃からの夢なども語って、モータースポーツファンだけでなく一般層にもレースを親しんでもらえるようなトークをしていた。

 今年からジャパン・モビリティ・ショー(JMS)と名称の変わったモーターショーにも、例年のように参加しており、初日からステージに呼ばれた琢磨は、ホンダやブリヂストンなどのステージの他に、パーソナルスポンサーでもあるNTTのステージにも登壇した。

 NTTの川添副社長とトークショーにのぞんだ琢磨は、今年から新しくなったJMSらしく、クルマだけでなく未来志向のテーマ内容で話した。圧倒的なデータソリューションを母体とするNTTが、未来の生活とクルマやモビリティのあり方を予想しつつ、どのようにイノベーションを図って行くかというトークは、モーターショーの世界から一歩も二歩も枠を越える世界観だった。

 さて肝心なのは、琢磨の2024年である。ファンが最も関心を寄せるところだ。現段階では明らかになっていることはない。2023年もチップ・ガナッシ・レーシングに収まった発表はクリスマスを過ぎてから新年の発表となっていた。しかし、チップ・ガナッシのシートを掴むべく水面下ではずっと駆け引きが行われていたわけで、12月になろうとする今の段階でも、同じような駆け引きがどこかで行われているのだろう。ベテランドライバーの動向については、もう少し注目しておくべきだろう。