いよいよ2023年最終戦を迎えたRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップは、今季ともにNASCARカップシリーズ挑戦で話題をさらった王者“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トリプルエイト・レースエンジニアリング/シボレー・カマロZL1)と、選手権首位ブロディ・コステッキ(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロZL1)の一騎打ちが期待されるなか、11月23〜26日開催の『バイロ・アデレード500』はレース1早々に決着を見るドラマティックな展開に。

 金曜から僚友ブロック・フィーニー(トリプルエイト・レースエンジニアリング/シボレー・カマロZL1)の88号車を含めトラブル続きだったレッドブル・アンポル・レーシングは、SVGが緒戦のオープニングラップで今季タイトル戦線に絡んだウィル・ブラウン(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロZL1)と交錯。明けた日曜レース2でもブレーキトラブルでマシンを止め、2013年開幕戦以来の連続DNFを喫してしまう。

 これによりチェッカーを受ければ自動的に王座獲得の条件を整えたコステッキが、スーパーカーの新時代Gen3で初のチャンピオンに輝くとともに、1992年にマーク・スカイフがニッサン・スカイラインで豪州ツーリングカー選手権の栄冠を手にして以来、フォードやホールデンのファクトリー支援を受けないドライバーとして国内シリーズの頂点に立つ初の快挙を達成した。

 前戦10月末のサーファーズ・パラダイス市街地戦では、直前の『Parity Review System(パリティ・レビュー・システム/同等性評価)』で再調整を受けたフォード・マスタング・スーパーカーが息を吹き返し、キャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング)とデビッド・レイノルズ(ペンライト・レーシング)が勝利を飾るなど、フォード陣営が巻き返しを見せる1戦となっていた。

 その勢いを持ち込み、トーマス・ランドル(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)最速で幕を開けた最終戦の週末は、今季よりコカ・コーラ・バイ・エレバスの新体制で挑んできたプライベーターのシボレー陣営2台が初王座への意欲と執念を見せ、直前のプラクティスで首位だったブラウンやレイノルズらを破り、暫定ポールのコステッキが予選トップ10シュートアウトも制していく。

■コステッキが自身と“GMシボレー”の初タイトルを掴む
 しかし迎えたレース1のオープニングラップは波乱の展開となり、アデレード市街地のターン4で4番手争いを展開したブラウンが、他車に弾き出され左90度コーナーのアウト側ウォールにクラッシュ。そこへ6番手からの追撃を期したSVGが激突し、ともに自走不可のダメージを負ってセーフティカー(SC)が導入される。

 この不運なアクシデントがすべてを決定づける重要な瞬間となり、最終的にケン・ブロックのトリビュートカラーで挑んだウォーターズが、前戦に続く連勝で今季3勝目。そして6位でフィニッシュラインに到達したコステッキが、自身と“GMシボレー”の初タイトルを掴む結果となった。

「まだ全然、実感なんて湧いて来ないよ!」と、レース直後には歓喜の渦に放り込まれた新王者。「こんなふうに他の候補者がレースから敗退したときにチャンピオンシップを勝ち獲りたくないものだけど、この一年は目まぐるしい年だったし、僕たちは今日の成果を達成するため一生懸命に努力してきた」と、初優勝を記録したシーズンに王座へと登り詰めたコステッキ。

「そして(代表の)ベティ・クリメンコは13年前にこの事業を始めた。僕自身にとっても、彼女に初のチャンピオンシップをもたらしたことは決して忘れられないことさ」

 そのエレバス・モータースポーツ創業者兼オーナーのクリメンコも、長年シリーズを牛耳ってきたトリプルエイトの強さを前に「こうしてタイトルを獲得してシーズンを終えることができたのは、信じられないような気分」だと主張した。

「バサーストの勝利か、シリーズタイトルを獲得したいか。そのどちらかと人々が尋ねるとき、私はつねに『バサースト』と答えてきました。それは獲得可能なものだからです」と続けたクリメンコ。「私たちはプライベーターなので、タイトル獲得は遠い夢でしたが、今ではそれを達成しました。これはファクトリーサポートを受ける必要がなく、自分たちで成し遂げるのが可能であることを、他のすべての人々に証明したようなものね」

■NASCARカップ挑戦のSVGは惜別の辞を贈る
「彼らは、私たちがタイトルを獲得することはできないと言ったし、虫のように踏み潰されるだろうからV8(現RSC)に挑戦するのは愚かだと言った。でも父、母、兄がみんな上から見守っていて誇りに思っていることを願っているし、私はここにいるみんなの顔を見て『ベティ、よくやった』と感じているわ」

 明けた日曜のレース2では、ポールを奪った新王者の隣からスタートを切った新鋭マット・ペイン(ペンライト・レーシング/フォード・マスタング)が躍動し、浮上してきたフィーニーや先輩のレイノルズらを抑え、デビューイヤー最終戦で“ライト・トゥ・フラッグ”でのシリーズ初勝利を成し遂げた。

「今季は僕らにとって中盤戦で課題に直面する厳しいシーズンだったけど、前戦ではデイブ(レイノルズ)が、そして今回の最終ラウンドでは僕自身が勝利を収めることができ、これ以上うれしいことはないよ」とルーキーイヤーを有終の美で締め括ったペイン。

「トロフィーを手にするのは久しぶりで、約一年ぶり。前回は『クソッ、最近トロフィーを全然獲得していない、最悪だ……』なんて思っていたから、今後はトロフィーキャビネットをいっぱいにしていきたいね」

 そして17年間にわたるキャリアを連続DNFで終えたものの、過去3年間で40勝を挙げ、来季はいよいよ北米最高峰NASCARカップへの挑戦を開始するSVGは、後輩として2位に入った新エースを念頭に「今日の素晴らしい結果を達成したブロックとチームにおめでとう」と惜別の辞を贈った。

「僕らのクルマは調子がいいと思っていたので、彼と一緒に表彰台に上がれればよかったが、残念ながら修正できない問題があった。ブロディ(・コステッキ)にも改めておめでとう。彼は年間を通して最も速い男で、チームもミスをしなかったから両方のチャンピオンシップを獲得するに値した」と続けたSVG。

「僕らは最善を尽くしたし、チームとともに素晴らしい時間を過ごした。この最高の数年間を彼らに感謝したい。とても楽しかったし、いつかまた戻ってくると確信しているよ」