スペイン・バレンシアのリカルド・トルモ・サーキットで11月28日に行われた公式テストで、ヤマハのファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)とアレックス・リンス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が、2024年型マシンを走らせた。クアルタラロは、新しいマシンをどう感じたのか。そして、ホンダから移籍のリンスは、ヤマハYZR-M1にどんな感触をつかんだのだろうか。

 ヤマハはクアルタラロと新加入のアレックス・リンス、そしてテストライダーであるカル・クラッチローの3人がテストに参加した。エキゾーストの形状が変更され、長く、そして2本になったほか、フロントカウルの空力デバイス、サイドカウル下部に備えられたダクト、また、テールカウルのウイングなどを変えてテストしていたと見られる。リンスが語ったところによれば、空力デバイスは新しいものが二つ、持ち込まれたということだ。

 テスト後の囲み取材で、クアルタラロは2024年型ヤマハYZR-M1の印象を語った。求め続けてきたエンジンパワーについては、大きな変化はなかったようだ。

「新しいバイクについて、今日、やることはたくさんあった。特に空力デバイス面だ。この部分において、進んだと思う。とてもポジティブだよ。ただ、バイクのバランスが変わったんだ。(天候のせいで)1時間遅れてスタートしたから、時間がなかった」

「バイクのセッティングをアジャストしなくちゃいけないと思う。新しいシャシーを試したけど、あまりよくなかった。エンジンはかなり(今年のものに)似ているね。ちょっとよくなったけど、ちょっとだけだ」

 クアルタラロは「まだ求めているところからはすごく、すごく遠いところにいる」と低い声のトーンで言い、その表情も悩まし気だった。

「(エアロが役立つのは)主にウイリー抑制だ。ただ、旋回性の向上は見られなかった。だから、それがマレーシアで確認する事項の一つだろう。重要なコーナーがいくつかあるからね」

「エアロはとてもいいと思う。ただ、大きなエアロを使うには、もっとパワーが必要なんだ。大きなエアロは、ウイリーを抑える箇所ではうまく機能したけど、それを使うにはパワーが足りないんだ。だから、より大きなパワーと大きなエアロのバランスを見つけなくちゃいけない。それが今、僕たちが取り組んでいることなんだ」

 クアルタラロは、2024年に向けてヤマハのアプローチが変わってきているか、という質問に「そうだと思う」とも答えた。しばしば言及されてきたことだが、日本企業の決定プロセスにかかる時間は、ヨーロッパ企業のそれよりも長い。ただ、クアルタラロの話によれば、ヤマハは考え方が変わりつつあるというのだ。

「メンタリティーを変えたと思うんだ。僕たちは、ヨーロッパのメーカーに近づいてきている。それが、僕たちが本当に求めていることだ。全部がどんどん速くなっているんだ」

「それから、もっと重要なのは、(来年の)2月から7月。この数カ月は、バイクをよくし、ものすごく速いスピードでアップデートするという意味で、とても重要になるだろう。彼らのメンタリティーを確認する、大事な時期になるだろうね」

 では、ホンダからヤマハに移籍したリンスは、初めて走らせたヤマハYZR-M1を、どう感じたのか。こちらはクアルタラロとは対照的で、明るい表情を浮かべ、語る内容も前向きだった。リンスにとってはまだ初日だが、少なくとも、ホンダからの乗り換えに苦労した様子はなかった。

「すごくよかったよ。とても気持ちよくバイクを走らせた。今日は、午前中にファビオがレースで使ったセッティングのバイクで走って走って、バイクを理解し、ハンドルやフットペダルなどのポジションを確認した。それから午後は、タイムを出して、新しいフェアリングを試したんだ」

「ヤマハは二つのフェアリングを持ち込んだ。僕が考える限りでは、二つのうち一つは、スタンダードのものよりもうまく機能している。今日のテストには、全体的に満足しているよ」