FIAのシングルシーター部門担当ディレクターのニコラス・トンバジズは、F1チームがテクニカルレギュレーションの抜け穴を利用したことで、今シーズンのコース上でのショーに悪影響が及んだと認めている。

 2022年に大幅に刷新されたF1のテクニカルレギュレーションでは、グラウンドエフェクトのコンセプトが再導入されたため、マシンのダウンフォースは主にアンダーボディとフロアから生じることになった。このアプローチは、発生する乱気流を大幅に減らすことで、後続車が追いかけやすくなるという目標を果たすのに大きく貢献し、オーバーテイクのチャンスを向上させた。

 しかし空力開発により徐々にマシンのアウトウォッシュや、フロントウイングのトレーリングエッジからの空気量が増加し、それが外側へ向かってマシンのリヤの空気の渦に直接の影響を及ぼしている。結果として、ドライバーたちは接近して追尾することに苦戦しており、必然的にオーバーテイクの機会は減少している。

「接近して追いかけること、気流と言っておくが、間違いなく今年は少々ひどくなった」とニコラス・トンバジスが語ったと『Speedcafe』が報じた。

「開発が少し行われると、多少悪化するだろうとはわかっていた。我々がすぐに閉じることができなかった抜け穴が、マシンの特定の領域に存在した。たとえば、フロントエンドのエンドプレートエリアやホイールファニチャーの一部、ブレーキダクトやフロントホイールの内側にある物は、気流を少々悪化させた」

「我々は学んだので次回はもう少し対応できると思うが、全体的に気流は2022年に比べて悪化した。2021年に比べれば妥当な量ではあるが、近づくという点では悪くなっている」

 トンバジスは、チームが抜け穴を利用したことが乱気流を増加させ、今シーズンにタイヤのデグラデーションの問題を広げた要因だったと述べている。デグラデーションは、2023年には慢性化しており、シーズン前半におけるフェラーリの苦戦の主要な原因として指摘されている。

 マシンが生み出す気流は、基本的には動きの遅い空気であり、後続車のダウンフォースを減らすだけでなく、冷却も妨げるとトンバジスはいう。この組み合わせによって、後続車はグリップが減り、タイヤがオーバーヒートしやすくなるため、接近して前方のクルマを追尾するのがさらに難しくなる。F1の次のレギュレーションサイクルが導入される2026年より前に、F1とFIAが介入する計画はないが、トンバジスは、気流の効果が近い将来悪化することはないだろうと確信している。つまりマシン同士が接近して追尾する能力が大きく落ちることはないはずだという。

「来年さらに大きく悪化するとは考えていない。フロントウイングやその他のところで、他に対処すべき抜け穴があるとは考えていない」

「非常に似た状態が続くと予想している」