オラクル・レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は、リブランディングの噂がある姉妹チームのスクーデリア・アルファタウリとの連携強化について、“ピンク・メルセデス”の再来にはならないと明確に否定した。

 2023年シーズンの半ば、アルファタウリは既存レギュレーションの範囲内でレッドブル製コンポーネントへの依存度を上げると発表した。しかし、特にレッドブルを母体とするふたつのチームが、どのようなかたちで連携を強化するのかライバルチームは疑念を抱いた。

 アブダビで行われた2023年最後のレースウイークの最中でも、レッドブルがアルファタウリをどこまで支配するのかについて、再び懸念の声があがった。

 ヤス・マリーナ・サーキットにいた“観測筋”の一部は、アルファタウリがシーズン終盤にかけて新パーツを急増させたのは、レッドブルの2024年型マシン“RB20”の開発を手助けしているためだろうという憶測も聞かれた。レッドブルは2021年のバジェットキャップ(予算制限)超過問題で、今シーズンの風洞実験やCFDの利用時間が制限されていたからだ。

 また、アルファタウリがレッドブルの延長チームになるという懸念は、2020年シーズンに起きたある出来事の記憶を呼び覚ますことになる。

 2020年、現在のアストンマーティンの前身であるレーシングポイントが2019年型メルセデスW10のリヤブレーキダクトをコピーしたとして、40万ユーロ(約6400万円)の罰金をFIAに科され、チャンピオンシップポイント15点を剥奪されたのだ。

 この問題は、レーシングポイントRP20のマシン自体も全体的にメルセデスW10に酷似していたので、リバリーの色にちなんで『ピンク・メルセデス』の異名を取るにいたった。

 しかし、アブダビでホーナーは、今回の連携強化には水面下での取引など怪しい部分は一切ないと明確に否定し、レッドブルとアルファタウリの両チームともにレギュレーションの範囲内で活動すると主張した。

「ピンク・メルセデスなど的外れもいいところだ」とホーナーは述べた。

 ホーナーの発言は、レッドブルがアルファタウリに対して今よりも強い影響力を持てば、不当な優位性となる可能性があり、F1における競争力のバランスが崩れかねないという懸念を和らげる目的がある。

 さらにホーナーは、連携強化は既存のルールに従って行われ、両チームともに個別の組織としての主体性を維持すると強調した。

「レギュレーションの範囲内で、譲渡が可能と明記されたコンポーネントがいくつかある。アルファタウリに渡すのはそういったものだ」とホーナーは述べた。

「マシンを見てみれば、アルファタウリのマシンとレッドブルのマシンとでは根本的に異なっている部分がいくつもある。また、ほぼ間違いなくグリッドに並ぶマシンのなかには、アルファタウリのマシンよりもはるかにレッドブルRB19のコンセプトに似ているクルマが存在している」

「アストンマーティンやマクラーレンがその好例だ。マクラーレンのリヤサスペンションまわりを見てみれば、我々のマシンと非常によく似たコンセプトを持っている」

 この連携強化により、アルファタウリはレッドブルの優れたテクノロジーやリソースを利用できるようになることから、来季2024年シーズンのパフォーマンスおよび競争力の向上が期待できる。

「もちろん、現在F1チームにギヤボックス、サスペンション、シミュレーションツール、風洞などを供給しているメルセデスやフェラーリのように、我々が供給できるコンポーネントもある」とホーナーは付け加えた。

「他のチームの提携と変わるところはない。結局のところ、そういったツールをどう活用するかは個々のチームでの問題になる」

「マクラーレンは半年間、ある部分では提供元のメルセデスよりもうまくツールを活用していたようだね」

「レギュレーションの範囲内で許されたものをどう活用していくかは、それぞれのチームが決めることだ」

 また、レッドブルとアルファタウリの連携強化についてコメントを求められたメルセデスF1代表のトト・ウォルフは、この件についてまだ調べていないことを認めた。しかしウォルフは、F1の監査能力と『透明性』に信頼を置いている。

「正直なところ、角田裕毅が(アブダビGPの予選で)6番手につけたところまでしか見ていない。アルファタウリが大きな成果を上げたので、彼らのファンのことを思うと私も喜ばしい気持ちになる」とウォルフは答えた。

「しかし、F1は透明性の高い世界だ。まだ彼らのコンポーネントは見ていないが、他の者が見てくれるだろう。そこから話を進めていけば良いと思う」

「正直なところ、この件についてはまだそれほど考えてはいないんだ」