1月27〜28日に決勝が行われるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦『デイトナ24時間レース』。この一大イベントを1週間後に控えたアメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでは、シリーズの公式テスト『ロア・ビフォア・ザ・ロレックス24』が行われた。ここでは決勝レースのグリッドを決する予選セッションが実施されたテスト3日目、1月21日のパドックから各種トピックをお届けする。

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 ロアテストの最終日に行われた予選では、4つのクラスのうちオーバーオールを含む3つの予選レコードが破られた。

 ピポ・デラーニはアクション・エクスプレス・レーシングの31号車キャデラックVシリーズ.Rをドライブし、DPi時代の2019年にオリバー・ジャービスが打ち立てた予選ラップレコードの1分33秒685を1秒以上、上回った。

 さらに、予選を通過した9台のGTPマシンはすべて、以前のレコードよりも速いタイムを記録している。

 GTD Proのポールを獲得したセブ・プリオールと、同じくGTDのパーカー・トンプソンは、それぞれのクラスのレコードタイムを記録した。

 AOレーシングのポルシェ911 GT3 Rをドライブしたプリオールは、2022年にローレンス・ファントールが記録したレコードをコンマ6秒ほど上回った。

 また、バッサー・サリバンのRC F GT3のアタックを担当したトンプソンは、2019年にマルコス・ゴメスがマークした1分44秒541をコンマ1秒ほど更新している。

■5年連続のポール獲得

 LMP2クラスでは、ユナイテッド・オートスポーツUSAのベン・キーティングが5年連続でデイトナ24時間レースのポールポジションを獲得している。キーティングを除く最新のポール獲得者は、2019年にドラゴンスピードのオレカ07をドライブしたジェームス・アレンとなっている。

 キーティングは今回、GTPクラスにエントリーするJDCミラー・モータースポーツのポルシェ963との、ダブル・エントリーとなっている。12月にデイトナで行われたプライベートテストで初めて963をドライブしたキーティングは、初めてクルマに乗り込む前に、ポルシェ963の膨大なマニュアルを読まなかった、と明かした。

 キーティングはまた、最初のテスト以来、ポルシェ963の乗り心地がかなり良くなったと説明している。

 バッサー・サリバンの12号車レクサスRC F GT3でフランキー・モンテカルボの新しいチームメイトとしてフル参戦するトンプソンは、レクサス・レーシングとTRD、そしてジミー・バッサーとサリー・サリバンが所有するチームに近づくため、インディアナポリスからノース・カロライナへと拠点を移したことを明らかにした。

「時間をかけてチームに溶け込み、オフシーズン中ずっとチームと一緒に過ごし、すべての手順とレクサス RC Fのためにしなければならないことすべてに慣れてきた」とトンプソン。

「そして今日はまさに、それを見せることができたし、楽しかった。だけど、(ロレックスの)時計を得ることができるのはレースだ。それが来週の焦点になるだろう」

■予選でクラッシュした2台の今後

 GT予選で、デビッド・ブルーレの手によりクラッシュしたケリー・モス・ウィズ・ライリーの92号車ポルシェ911 GT3は、シャシーに損傷を負った可能性が高く、チームはスペア・シャシーを使用せざるを得なくなる可能性があるものと考えられている。チーム共同オーナーであるビル・ライリーはSportscar365に対し、イベント前に撤退した91号車ポルシェは現場にあると語っている。

 プロトン・コンペティションの5号車ポルシェ963は、ニール・ジャニの手によって最終セッションでクラッシュし、予選をノータイムで終えたが、その損傷は修復可能なものであると理解されている。

 コルベット・レーシング・バイ・プラット・ミラー・モータースポーツの2台のGTDプロ車両は、土曜日に新しいエンジンを搭載した後、クリーンな予選セッションを過ごした。

 コルベット・レーシングの広報担当者によれば、エンジンの配線に失火の原因となる問題が発見されたため、エンジン交換を決断したとのこと。その後のエンジン自体の検査では損傷の兆候は見られず、チームは今後更なる信頼性の問題は発生しないと確信している。

 ケビン・エストーレによれば、わずかにアップデートされた2024年仕様のポルシェ963をドライブしても、昨年と比べて違いは感じないと語った。

 ポルシェLMDhファクトリー・ディレクターのウルス・クラトルによれば、ポルシェ963には現在、パフォーマンスに関係のない、マイナーなアップデートのみが施されている。さらに彼らはクランクシャフトのアップデートの可能性を追求しており、IMSAとACOの承認が得られればシーズン中に投入される可能性がある。

■“アメリカのレース村”における存在感拡大

 マルチマチックはノース・カロライナ州ムーアズビルでの存在感を拡大し、フォード・パフォーマンス、メルセデスAMG、ポルシェ963のカスタマーサポートプログラムのための専用施設を併設した。

 ラリー・ホルトは「我々のオフィスの前には、ジョークとしてスイス国旗が掲げられている。中立地域だからね」と、3つのマニュファクチャラーのプログラムを分離するという同社の高い基準について言及している。

 また、プロトン・コンペティションは、以前はマルチマチックの最初のショップにアメリカの拠点を置き、フォード・マスタングGT3プログラムの構築と運営に専念していたが、(ムーアズビル内で多くのファクトリーが集まるストリートである)レースウェイ・ドライブの新しいショップへと移転した。

■2025年はマスタングGT3使用チームが増える?

 フォード・パフォーマンスのグローバル・モータースポーツ・ディレクター、マーク・ラッシュブルックは、彼らのファクトリーGTDプロ・プログラムが「複数年」契約であることを認めたが、その正確な期間については詳細に言及することを拒否している。

 ただし、開始前にあらかじめ4年間と決められていた『フォードGT』におけるGTEでの取り組みのような期間は設定されていないと、ラッシュブルックは述べている。

 またラッシュブルックは、2025年にGTDプロとGTDの両方でマスタングGT3を走らせるカスタマーを「間違いなく望んでいる」と語った。 Sportscar365は、既存のGTDプロチームのうち1チームが、2025年にフォードへの切り替えを計画しているものと理解している。

 一方で将来のプロトタイプ・プログラムの可能性についてのフォードの立場は、ここ数カ月と変わっていないようだ。ラッシュブルックによれば、「適切な時期に適切な場所に適合する可能性がある」というスタンスである。

「その(GTP)クラスは素晴らしいと思うし、我々がレースしているGTだけでなく、プロトタイプレベルも含めて、スポーツカーレース全体が健全であると思う」とラッシュブルック。

「このスポーツにとって、素晴らしい時代だ。それが意味があるかどうか、そしてそれがいつ意味を持つようになるかだけが問題だ」

■“WECプログラム”の可能性は? HRC USのスタンス

 先週報じられたHRC渡辺康治社長による、F1が同社にとっての最優先事項であり、それが落ち着いた後にのみWECプログラムが検討される、との主旨の発言について、HRC USの立場と合致するものかと問われたデビッド・ソルターズ社長は「我々は現在F1に参戦しているので、それを確実に考慮する必要がある。見てみよう。こういったものはすべて評価される」と述べた。

「我々(HRC US)の第一の責任は北米、つまりアメリカン・ホンダとアキュラである」とソルターズ。

「だが、その後、より多くの可能性が開かれている。我々の非常に才能のあるスタッフの何人かは、必要に応じてF1関連の仕事を手伝うことができる。我々ははいま、少しずつ取り組んでいるところだ」

「さらなる何かも、あるかもしれない。見てみよう。それはまた別の機会だ」

「もしWECが検討のテーブルに上がれば、それを考慮する権限が与えられる。そしてそれは、グローバルな活動になることを意味する。常に問われ、議論されているように、これはグローバルなものであるため、日本国内における非常にハイレベルな決定となる」

「我々はそれをうまくできるだろうか、そしてそれは意味があることなのか? 我々はそれらの問いを続け、検討し続ける」

■カラーリングの一致は「まったくの偶然」

 AOレーシングがLMP2にエントリーさせている99号車オレカの『スパイク』カラーリングは、1990年代のビデオゲームに登場するドラゴン『スパイロ』の色と一致しているが、チームによれば「まったくの偶然」だという。

 チームメンバーの多くは、カラーリングをソーシャルメディアで発信した後に初めて『スパイロ』を認識したという。

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 レースウイークのウェザーテック選手権のトラックアクションは1月25日木曜日に再開される。この日は3つのプラクティス・セッションが予定されている。