1月23日から、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行われているスーパーGTのウインターテストには、多くのGT500ドライバー、またチーム監督、メーカー関係者が訪れているが、そのなかに2023年限りでスーパーGTでの現役生活を終えたばかりの立川祐路の姿があった。現役時代は脇阪寿一や石浦宏明らとともにトヨタのGT500車両の開発を中心になって担ってきたが、今回はどういった立場で参加していたのか、立川に聞いた。

 2023年、その速さを惜しまれながらも、スーパーGTからの引退を発表した立川。2023年第8戦もてぎで長きに渡るキャリアを終え、2024年からはセルモで監督就任、さらに社長にも就任するなど新たなキャリアを踏み出しているが、年明けのセパンウインターテストには、白いTCD(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)のウェアを着て姿をみせた。

 現役時代は、その速さと開発能力を買われ、長年トヨタのGT500車両の開発を担ってきた立川だが、今回はどういった役割を担っているのかセパンで聞くと、「肩書きは決まっているわけじゃないですけど、GRのGT500開発に関するアドバイザーをやっています。GT500車両開発に関するアドバイスや、あとは開発ドライバーの育成というふたつの目的がメインですね」と語った。長年培った車両開発のノウハウ、そして開発ドライバーという役割を引き継いでいくという立場だ。

 今回のセパンウインターテストでは、TCDの開発車両である90号車GRスープラが走行し、長年コンビを組んできた石浦宏明をはじめ、坪井翔や山下健太といったメンバーが中心となってドライブしている。3人の働きぶりについて聞くと「みんな経験があるので、基本的に問題はありません」立川は語った。

「ただ開発なので、現場でセッティングするだけではなく、どういう感覚でやれば良いのか、自分が引き出してあげたいと思っています。まあ、育成という意味では石浦をメインで育てようかなと(笑)」と立川は冗談めかしながら語った。

 とはいえ、これまでは開発テストともなれば、非常に多くの距離を走り込んできた立場でもある。観ているだけの立場に違和感はないのだろうか。

「人が乗っているのを観ているのは少し寂しい気持ちもないわけではないですが、スーパーフォーミュラでも監督として観る側の立場になっていますからね。そういう意味では違和感はないですよ」と立川は語った。

 現役のドライバーたちよりも早くセパン入りするなど、“スタッフ”の立場でウインターテストに臨んでいる立川だが、実はTCDからは装備品(ヘルメットやHANS、シューズやグローブなどドライバーが装備するアイテム)を持ってきてほしい……と伝えられたのだという。

 しかし、基本的にはあくまで念のため。「持ってきてくれと言われたので持ってきていますけど、基本的には乗らないですからね」と立川は言う。「HANSは手持ちで持ってこなければいけないんですが、ホテルに置きっぱなしです(笑)。僕が乗っても仕方ないですし、これからのドライバーが乗った方がいいですから」

 ちなみに、長年その走りに心を動かされてきたファンにとっては少し寂しいところではあるが、何か機会があれば走るつもりはあるという。

「別にまったく止めているわけではないですし、レースは出ないよ、と決めているわけではないですから。楽しめる何かがあればやってもいいかな、と思っています。別に走るのがイヤになったけでもないですからね」