今季2024年もNASCARカップシリーズ開幕前のエキシビジョン戦として、第3回を迎えた『ブッシュ・ライト・クラッシュ・アット・ザL.A.コロシアム』が実施され、本来2月4日の予定だった決勝は、悪天候の予報により急きょ前倒しの土曜“ワンデー”とする異例のスケジュールで決行されることに。

 そんな波乱にも動じず、予選最速を記録したデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が、最終的にポール・トゥ・ウインでロサンゼルス・ラウンドを初制覇。まだ2カ月前に受けた肩の手術による影響も残るなか、トヨタの新型モデルにデビューウインを捧げる“エキシビジョン通算4勝目”を飾った。

 早くも幕を開ける2024年のカップシリーズでは、今季よりNext-Gen規定モデル3車種のうち2車種がボディ形状を刷新。フォード陣営は第7世代の最強モデルに君臨するフォード・マスタング“Dark Horse(ダークホース)”"カップカーを投入し、トヨタは通算11代目のフェイスリフト版たる『トヨタ・カムリXSEレースカー』をデビューさせた。

 その初戦となるオリンピック・スタジアムだったが、開催3年目のレースウイークが近づくにつれ、ロサンゼルス近郊は日曜から月曜に掛け「高い水害の危険性をもたらす可能性がある沿岸暴風雨」に備えるよう警告が出され、地元ニュースでは「今季カリフォルニアにおける“最強の嵐”が襲来する」との予報を繰り返し報じる状況となった。

 これを受けNASCARの運営側は放映局とも協議のうえ、土日のスケジュール変更を決断。公式練習から予選を経てヒートレースを実施する計画だった土曜に本戦も移動させ、ハーフウェイ・コンサートなども取り止める判断を下した。

「素晴らしい決断。彼らがそれを達成できたことをうれしく思う(カイル・ラーソン)」「もちろん、NFLのように平日は柔軟に活動する機会が得られるようなシステムになればいいが、雨による遅れを待つよりは確実に良いと思う(ウイリアム・バイロン)」「これは業界として、おそらくこれまでで最も論理的な決定のひとつ(チェイス・エリオット)」など、パドックではヘンドリック・モータースポーツの面々からも称賛と支持の声が上がるなか、同じく「明日のチケットが使えないことに腹を立てている人もいるだろうが、今夜は成功だと考えるべき」と語ったハムリンが、このコロシアム初年度を制したジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)を従え、まずはポールを奪う。

■僚友タイ・ギブスが最多84周をリードするが……

「あちこちで短いランをしただけで、このコロシアムでは絶対的な走行距離を稼ぐことは難しい。だからこそクルマの基礎的な強さが浮き彫りになる。これまでのところ、この真新しい“Sport Clips Toyota”にはかなり満足している」と、新型カムリを評価したハムリン。

 煌々と輝く照明のもと、土曜の閑散としたスタンドの前で始まった決勝は、オープニングこそロガーノの22号車“ダークホース”に先行を許したものの、ハムリンの11号車カムリXSEは最初の50周中47周でリードを記録していく。

 レース距離3分の1を終えた時点で、主役の座は2列目3番手発進だったハムリンの僚友タイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が務める展開へと変わり、この日のレースハイとなる84周をリードする。しかし54号車の“モンスターエナジー・トヨタ”はレース最終盤、残りわずか10周のリスタートで首位を譲ると、ファイナルラップでラーソンと接触し無念のスピン。この瞬間、ギブスの悲願はターン4で潰えてしまう。

 これで主導権を奪還したハムリンは、かつてのチームメイトで5番手スタートだったカイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)や、最後尾23番手から奇跡のカムバックを披露した新チャンピオンのライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)らを従え、オーバータイムのスプリントも制してロサンゼルス初勝利を手にした。

「今日のアクションの多くは、僕の目の前で54番(ギブス)と22番(ロガーノ)に起こった。そこでは何がどうなるかはまったく分からなかった。でも、ターン2からは本当にいい走りができてポジションを掴み、そこから粘り続けることができた」と喜びを語ったハムリン。

 昨季11月下旬に右肩の関節鏡手術を受けていたハムリンだが「クルマに乗り込むとアドレナリンが分泌され、痛みはそれほど気にならなかった」と明かす。

「この(短距離トラックとなる)サーキットでどれだけホイールをクランキングしなければならないかを考えると、全体的には思ったよりも良い感じだ。レース自体も少し疲れるくらいの短さだったし(開幕戦の)デイトナに着いたらさらに元気で強くなるつもりさ」