2009年のF1ワールドチャンピオンであるジェンソン・バトンは、2018/19年“スーパーシーズン”以来初めてのWEC世界耐久選手権キャンペーンにハーツ・チーム・JOTAから通年でコミットし、このカスタマーチームに供給されたポルシェ963のペアのうちの1台をフィル・ハンソンとオリバー・ラスムッセンとシェアする。

 バトンは、スポーツカーによる世界選手権への復帰を控えた今、F1でレースしていた時よりも“全体的に”体の状態がよくなったと信じている。

 トップレベルのレースから数年間遠ざかっていたバトンは、NASCARガレージ56プロジェクトから2023年のル・マン24時間レースに復帰したが、これはフルタイムレース復帰の前兆となると常々主張していた。

 彼はそれ以来、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTPカテゴリーに2度出場し、昨年のプチ・ル・マン(ロード・アトランタ10時間)ではJDCミラー・モータースポーツの一員として走り、その後、ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ(WTRアンドレッティ)の一員として、先月のデイトナ24時間に参戦した。

 チームの表彰台獲得に貢献したデイトナでバトンはSportscar365の取材に応じ、この先のプログラムが落ち着いていることをどれほど楽しみにしているかを強調した。

「私にはまだハングリー精神も欲求があり、自分はまだ速いと思っている」と語った44歳の元F1王者。

「フィジカルに関しては、F1では鍛えられなかった特定の分野、たとえば40代に必要な筋力などに取り組んできた。リアクションワークやボクシングなどをやってきたんだ」

「棒のように痩せていなければならなかったF1の時よりも、オールラウンドな体系になっているし、状態そのものもよくなっていると感じている」

「(WECにフルシーズン参戦のかたちで)戻ってこられて嬉しいよ。 妻は私に出場を許してくれた。彼女は僕がレースに出ているときのほうが、もっといい人間になっていることを知っている。妻は僕がレースを恋しがっていることを知っていた。それが、僕が今年フルタイムで戻ってきた理由だよ。5年後には私もおそらく年をとりすぎているだろうからね」

「スーパーGT、いくつかのGT3、バハなど、さまざまなことに飛び込んでいけたのはよかったけど、クルマにちゃんと適応するには時間が足りなかった」

「今はフルシーズン参戦が待っていることを知っているから、より快適に、自信を持って飛び込むことができると感じているよ」

■勝機はあると信じるバトン

 ハーツ・チーム・JOTAは昨年、第3戦スパの直前にクルマをデリバリーされたばかりにもかかわらず、ポルシェ963を走らせた最初のシーズンで印象的な走りを見せ、ル・マンでは短い時間ながらもレースをリードしてみせた。その後もワークスポルシェ(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)に頻繁に挑戦した。

 来シーズンに向け、イギリスのチームは2台体制にプログラムを拡大したが、バトンはこれでチームの競争力がさらに高まると感じており、優勝争いの見通しについて尋ねられると「LMHとLMDhの間にある程度の同等性がある限りはね」と答えた。
 
「LMDhのクルマとチームとして、彼らは良い仕事をしてくれるだろう」とバトンは続ける。

「2台のマシンを持っている方がいいし、それらのチームが緊密に連携するには少し時間が掛かるけれど、重要なのは同じ屋根の下にいること、同じ報告会に参加することだ」

「昨年、レースの一部をリードしたマシンで総合優勝を狙うのだから、また(同じような)競争力を発揮できる可能性は充分にある」

「(ル・マンでの)スタートはトップクラスに多くのマシンが参戦する素晴らしいものになるだろう。 本当に楽しみだ。でも、それに備えるためにはやるべきことがたくさんある」