今季より“シーズン4”を迎えるワンメイク電動オフロード選手権、エクストリームEに向け、北米から『NO.99 GMCハマーEV・チップ・ガナッシ・レーシング』のエントリー名で参戦した名門チップ・ガナッシ・レーシング(CGR)と、世界的DJのカール・コックス率いるカール・コックス・モータースポーツが、シリーズの水素燃料電池への移行前夜という状況も鑑みての今季“参戦休止”を決断している。

 同じくアメリカを代表するアンドレッティ・アルタウィキラット・エクストリームEと並び、いち早くこのフルBEVオフロード戦に取り組んだCGRは、過去3シーズンはGMCブランドの『GMCハマーEV』を通じてGM(ゼネラルモーターズ)からの支援を受け参戦してきた。

 しかし、来季2025年にも世界初の水素燃料モータースポーツ『Extreme H(エクストリームH)』へと移行するシリーズの将来的な展望と、現在の水素技術に関する分野で長期にわたる開発蓄積を持つGMの商品戦略を含め、チームの将来についてはネガティブな憶測が飛び交う状況となっていた。

 そのプレスリリースにおいて「我々CGRは、チームが2024年シーズンのエクストリームEシリーズに参戦しないことを確認した」と記され、開幕を目前にして憶測が現実のものとなったことを認めた。

「革新的なシリーズの一環として、当社の『GMCハマーEV』のエントリーを歓迎していただいたエクストリームEに心から感謝し、シリーズの成長を見守ることを楽しみにしています」

「このシリーズとその技術パートナーがモータースポーツをさらに前進させ、2025年以降に向け近代化されたオフロード水素駆動レースカーへの移行を推進し続けるのを、我々も注意深く見守っていきます」

 そのCGRは、今季のダカールラリーでステージウインを記録した初のアメリカ人女性となったサラ・プライスと、故カイル・ルデュックのペアで最初の2シーズンを戦い、その後はRJアンダーソンやアマンダ・ソーレンセンらを起用し、連続表彰台を含む6回連続の決勝出場を果たした。また、シリーズのワンメイク車両『オデッセイ21』のダンパーに“FOX Racingshox”の採用を促し、信頼性の底上げにも大きく貢献している。

■FCVレース移行時のカムバックを期待

「チップ・ガナッシ・レーシングとゼネラル・モーターズのシリーズでの3年間に、最大限の感謝を表したい」と語るのは、おなじみシリーズ創設者兼CEOを務めるアレハンドロ・アガグ。

「ゼネラルモーターズは、我々の電動レーシングシリーズの重要な大使だった。 しかし水素燃料電池の未来に向け移行するなかで、彼らが現在の電動モビリティ市場での取り組みに集中するのは論理的な動きだ。我々は彼らの将来の努力が成功することを願っているし、FIAチャンピオンシップとして世界初の水素燃料レースに移行する際には、彼らがシリーズに戻ってくることを期待している」

 同じく2025年のエクストリームH移行を睨み、以前はXITEエナジー・レーシングとして参戦していたエントリー枠を引き継ぎ、ティモ・シャイダーやクリスティーナ・ジャンパオリ・ゾンカ、リア・ブロックらを擁したカール・コックス・モータースポーツも、2024年の活動休止を表明した。

「私は自分には開拓者精神があると思いたい。だからこそ音楽からモータースポーツに至るまで、私はつねにドアを開け、そこへチャレンジしようと自分自身を追い込んできた」と、世界的スターDJでもあるカール・コックス。

「2025年の水素燃料電池による新しい時代に、我々カール・コックス・モータースポーツが参戦するよう招待されたことは、未来への飛躍のように感じる。ここからの12カ月間にわたって、引き続きエクストリームEファミリーと緊密に協力し、画期的な新車でチャンピオンシップのキャンペーンを開始する準備を進めていくつもりだ」

 その新規参戦初年度にエースを務めたシャイダーは、同じく昨季終了直後に撤退を発表したアプト・クプラXEに所属していたクララ・アンダーソンとともに、新チームのサン・ミニミールを立ち上げてエントリーし、一方のブロックはウイリアムズF1の開発ドライバーとしてフルタイムでオープンホイールレースに移行。その一環として、彼女はF1アカデミーにARTグランプリから出場することになる。