2月14〜15日、岡山国際サーキットで2024年のスーパーGT GT300クラスに参戦する7台の車両が参加し、GT3特別スポーツ走行が行われた。そのうち今回初登場となったのが、2024年からスーパーGTに復帰することになったD'station Racingだ。初めてのスーパーGT用のダンロップタイヤを履き、初日午後にはトップタイムを記録するなど速さをみせ、2024年の開幕に向けた準備をスタートさせた。

 WEC世界耐久選手権やアジアン・ル・マン、GTワールドチャレンジ・アジア、スーパー耐久など世界中で幅広い活動を行っているD'station Racingは、2024年からスーパーGT GT300クラスに復帰。1月11日には、藤井誠暢とマルコ・ソーレンセンのコンビ、さらに新型アストンマーティンGT3とダンロップタイヤの組み合わせを発表していた。

 そんなチームにとって、スーパーGT復帰に向けた初テストとなったのが2月14日から岡山で行われたGT3特別スポーツ走行だ。その直前の2月12日には、アストンマーティンから新型バンテージGT3エボが発表されたが、今回岡山に登場したのは、2023年までGTワールドチャレンジ・アジア用に使用していたバンテージAMR GT3。これにダンロップを装着した。

 すでにチームの御殿場工場には新型バンテージGT3エボが到着しているというが、今回従来型のバンテージAMR GT3を使用したのは理由がふたつある。この特別スポーツ走行の前週まで、D'station Racingはドバイとアブダビでアジアン・ル・マン・シリーズを2週間連続で戦っており、ファクトリーで新型バンテージGT3エボを準備するための期間がとれなかったことがまずひとつ。チームスタッフは2班に分かれ、先行組がアブダビから直接関西国際空港に飛び、そこから直接岡山に入るタイトスケジュールだった。

 そしてもうひとつの理由は、さまざまなシリーズでセットアップを熟知しているバンテージAMR GT3にダンロップを装着させることで、タイヤの違いを明確にすることだ。今回ひとりでドライブした藤井、そしてチームは、もちろんバンテージAMR GT3の隅々まで熟知している。今回の特別スポーツ走行では、まずはGTワールドチャレンジ・アジアの岡山ラウンドで使っていたセットアップから走行スタート。スーパーGT復帰に向け、タイヤの特性の違いにフォーカスして作業ができるという論理的な理由だ。

 また、藤井はすでにイギリスで新型バンテージGT3エボをテストしており、新旧の違いも分かっている。走行初日、ダンロップを履き走行をスタートさせた藤井は、少しずつスーパーGT用のハイグリップタイヤにセットアップを合わせ、その上で新型の特徴をダンロップ側に説明するなど、ベテランらしい手腕で開幕に向けた準備をスタートさせた。しかも午後にはトップタイムを記録し、スピードもみせているから楽しみが増すところだろう。

 今後、チームは新型バンテージGT3エボを月内にシェイクダウン予定だという。またチームメイトのソーレンセンは3月の公式テストからの合流になるというが、初走行となる岡山に対してもまったく問題はないという。それというのも、藤井が都内で運営する会員制ドライビングラボ『simdrive』があるからだ。ほぼ実車に近い状態にあるバンテージのMODに、藤井自らが調整を施せば、事前に誰にも邪魔されず岡山を走り込める。世界基準の準備を進めることができるというわけだ。

 そして2月14日の特別スポーツ走行には、興味深い人物がD'station Racingのピットで走行を見守った。2023年途中まで、監督としてMax Racingを率いていた田中哲也だ。

 藤井によれば、D'station Racingは田中に“スーパーバイザー”という役柄をオファーしているという。藤井にとっても田中は長年ニッサン/ニスモでともに過ごした尊敬すべき先輩であり、ドライバーとして、さらにチームを率いる立場を熟知している人物でもある。また星野敏チームオーナーのインストラクターを務めたこともあるという。

 D'station Racingは今回のスーパーGT復帰に向けて長期的な参戦計画を発表しているが、田中の存在は今後藤井、ソーレンセンにとっても、チームにとっても大きな支えとなるはずだ。もちろん、田中はダンロップタイヤとの関係も長い。

 2024年の復帰に向け、強力な体制を構築しつつあるD'station Racing。その最初のテストとなった岡山での特別スポーツ走行は、ダンロップタイヤの感触も含め、着実な手ごたえを得てのテストとなったようだった。