フェラーリとカルロス・サインツは、来る2024年シーズンと新型F1マシン『SF-24』についてのみ語りたがっていただろうが、スペイン人ドライバーは自身の将来について質問攻めに遭うことを避けられなかった。なぜなら、ルイス・ハミルトンが2025年の初めにスクーデリアに加入して、彼のシートにおさまることがすでに発表されていたからだ。

 来年のシートがまだ空いている他のトップチーム、とくにメルセデスとレッドブルからのオファーを引きつけることを期待し、他のチームに自分の価値を証明するという決意でシーズンをスタートするのかと尋ねられたサインツは、そのようなアプローチを一蹴し、自身の実績を能力の証拠として指摘した。

「正直なところ、それを証明したり、誰かに示したりするために新しいシーズンは必要ないと思う」とサインツ。

「自分ができていることは、F1に9年間いることだと思う。9年が経ち、とくにフェラーリのようなチームに所属している直近の3年間は、多かれ少なかれ僕ができることを誰もが目にしてきたと思う」

 サインツのようなレベルのドライバーが市場に出ていれば、2025年に空席のあるチームができるだけ早く彼にアプローチしていたことは明らかだ。彼はいかなる名前も挙げずにそのことを認め、次のように続けた。「もちろん、とくにここ数週間、僕の電話は混み合っている」

「まず、この数週間にたくさんの応援と素晴らしいメッセージを受け取った。大きな支えとなり、力強く励ましてくれたF1の世界と故郷の友人たちに深く感謝したい。それとは別に、僕は新車発表会と最初のレースに向け、エンジニアたちと準備に忙しくしていた」

 彼は昨年の大半で、2025年の契約を2024年シーズンが始まる前に締結したいと主張していたが、スペイン人ドライバーが認めたように、その筋書きは今や変わった。また、今では急いで決断を下すことはないと彼は明言している。

「僕は最初のレースの前に自分の将来を整理したいと言ったが、想像されているとおり、今ではシナリオがかなり変わった。僕の前にはもっと長いプロセスが待ち受けているだろう。これからの3年から4年は、おそらく僕のキャリアでもっとも重要な時期になる。確実に正しいタイミングで正しい場所にいるようにしたいし、次に正しい目的地を選ぶようにしたい」

「だから時間をかけて考え、すべての選択肢に耳を傾けて検討したい。そうして充分な情報を得て、充分な時間を自分に与えれば、決断を下すときに冷静でいられるはずだ」

 そしてフェラーリでの日々を振り返ったサインツは、自分の経験について良いことのみを語った。「まず、フェラーリの一員でいることをとても光栄に思っているし、まだ1年先がある。スクーデリア・フェラーリのドライバーとして合計4年間だ」

「フェラーリのドライバーになれば、フェラーリにいたということで今からならどのチームにも行けると思う。グリッド上のどのドライバーにとってもそれは良いことだと思うよ」

「それに加えて、フェラーリでレースに勝ったこと、ポールポジションを獲得したこと、表彰台を獲得したこと、このチームがグリッドを上がってより優れたチームになるのを手助けしたと考えていること、こうした事実を加えれば、この4年間に対する全体的な僕の気持ちは間違いなくポジティブなものだ。良いことが起きると確信しているので、自分の将来がどうなるか見るのが待ちきれない」

■『SF-24』のカギを握るリヤ

 フェラーリは現在、リヤサスペンションにプルロッドシステムを採用している唯一のF1チームであるため、シャシー担当テクニカルディレクターを務めるエンリコ・カルディレが最初に尋ねられたのは、必然的に彼のマシンのこの特殊性についての質問だった。

 結局のところ他の多くのエンジニアは、とくにタイヤマネジメントに関して、過去2年にわたりレッドブルを非常に強くした重要な要素のひとつとしてリヤサスペンションの効果を挙げている。そのためフェラーリが、他が見捨てたシステムにこだわっていることには説明が必要だった。

 カルディレは次のように充分な説明をすることを余儀なくされた。「このマシンの開発中に、我々の目標とフロー管理に対してさまざまなサスペンションレイアウトを検討したが、現在のサスペンションのレイアウトに相応の妥協点が見つかった」

「妥協点については、空力性能、重量、サスペンションのコンプライアンスなどの組み合わせについての話になる」

「はっきりさせておくと、今シーズンにサスペンションのレイアウトを変更する予定はない。そうして開発を通して何を学ぶことになるか、様子を見ていくとしよう。しかしこれまでのところ、この構成には満足している」

 シャルル・ルクレールとカルロス・サインツが昨年訴えていた主な問題のひとつに、『SF-23』のドライバビリティがあった。2024年型も同じリヤサスペンションのレイアウトを維持するなか、このイタリア人技術者と彼のチームは他の領域で状況の改善に取り組んだ、とカルディレは説明している。

「ドライバビリティの項目については、マップを作り、空力のある側面を他の側面よりも優先させることで達成した」

「シーズン中にこの新しいプラットフォームがどうなるか、レースペースに合わせて予選ペースを妥協するという点については、コースに出るときに様子を見ていく。過去のマシンがそうだったように、予選よりもレースフォーマットの方で競争力が高まるという話をするのは時期尚早だ」

 しかしカルディレは、リヤサスペンションのコンセプトは同じものにしておく一方で、今年のデザインにはマシンのパフォーマンスとタイヤマネジメントに影響を与える重要なチャンスがあると付け加えた。「昨年のマシンとの主な違いはリヤにある」と同氏。

「ギヤボックス内のインボードサスペンションの位置が前年型とら変更されている。また、これは異なるコンセプトでもあり、少なくとも我々にとっては革新的だった」

「なぜなら、これまでとは違ったインボードサスペンションの管理方法だからだ。フロント部分はコンセプト的には昨年とほとんど変わりはないので、リヤサスペンションの性能にポジティブな前進が見られることを期待している」