ウエットコンディションで行われた2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕前公式合同テスト1日目。昨年末のテストではルーキーながら上位に食い込む走りをみせて注目を集めたFIA F2王者のテオ・プルシェール(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と岩佐歩夢(TEAM MUGEN)には、今回も走り出しから大きな注目が集まったが、ある意味で明暗が分かれるテスト1日目となった。

■プルシェールのスピンは「ドライバーの問題ではない」と星野監督

 プルシェールは朝のセッション1、ピットアウトして早々にNIPPOコーナーで挙動を乱し、スピンをする形でコースオフ。グラベル上にマシンを止めて、赤旗中断の原因となった。幸いマシンにダメージはなく、約30分後に再びコースインを果たした。トラフィックの影響もあって満足にタイムを出すことはできなかったものの、トップから2.2秒差の1分55秒748で15番手となった。

 午後のセッションも雨量が変化する不安定なコンディションとなったが、トップとのタイム差を1.9秒まで縮め、1分56秒461で14番手タイム。初日の総合16番手という結果になった。

「スーパーフォーミュラでは初めてのウエットコンディションでグリップレベルも低い状態だった。すごく難しい状況で小さなミスではあったけど、幸いクルマにダメージはなかったし、走行も再開することができた」と、スピンの状況について振り返ったプルシェール。

 いずれにしても、この結果は納得できていない様子で「本当に難しい1日だった。トップタイムから大きな差がついてしまった。改善のために取り組まないといけないところが多い」と、表情は少し曇り気味だった。

 なかでも、タイヤへの理解に苦しんでいた様子で「タイヤの違いが個人的にはすごく大きかった」とプルシェールは語る。

「グリップはそこまで悪いという印象はないのだけど、ウォームアップをさせるのが大変だった。F2で使われているピレリタイヤのウエットとは異なる方向性だと感じた。僕自身、ヨーロッパでレースをしてきて、F4、F3、F2とピレリタイヤを履いてレースをしてきたから、(ヨコハマタイヤの特性に)合わせる必要があるが、簡単なことではない」

 あまりポジティブな内容でなかった1日ではあるものの「この経験からいろいろなことが学べたと思うし、特にドライビングサイドではいろいろな進歩につながるものを得られた。それだけではなくて、クルマのセットアップの部分でも学ぶことはあった」とプルシェール。

「いずれにしても、チーム全員が満足できなかった1日だと思う。ドライバーもエンジニアもメカニックも……とにかく、ここから改善をして明日は少しでも良い1日にしたい」と意気込みを語っていた。

 プルシェールが所属するITOCHU ENEX TEAM IMPULの星野一樹監督は、セッション1序盤でのスピンについて「自分たちがセットアップやタイヤプレッシャーのところを含めて、完全な状態で送り出してあげられなかったところが大きくて、ミスしやすい状態を招いてしまいました。ドライバーの問題というわけではないです」とコメント。チームとして、このコンディションでマシンのパフォーマンスを充分に引き出せていないことを課題として挙げた。

「今回のコンディションに対して、僕たちが速いクルマを作れていないというところの問題です。だから、テオには申し訳ないなと思っています」と一樹監督。

「クルマ側でも彼が思っている理想にもう少し近づけてあげないといけないと思っています。その辺はチームの中でも情報共有しやすいようにいろいろ工夫して、その成果も少しずつ出ている部分もありますが、それがもっと形になって現れるように、頑張っていかないといけないです。今のところは力を出しきれていないですが、一晩(修正する時間が)あるので、明日見ていてください」とプルシェールと同様に、明日の挽回を誓った。

■タイムは求めていないものの、「すごくポジティブ」と岩佐

 意気消沈だったプルシェールとは対照的に、ルーキー勢で速さをみせたのが岩佐だ。両セッションともに力強い走りを見せ、1日合計48周を走破。セッション1では1分54秒197で3番手、セッション2は1分54秒544で2番手タイムとなった。

「序盤はかなり慎重に行っていたので、あまりタイムは求めていませんでした。とにかく、このタイヤとマシンのコンビネーションを知るということに集中していたので、流れとしては想定の範囲内でした。後半はしっかりとタイムを上げて、マシン的にも詰めていくことができたので、すごくポジティブに捉えています」と岩佐。

 午前中はチームメイトの野尻智紀に0.6秒の差をつけられていたが、午後は岩佐の方が好タイムを記録するという結果になり、セッション2トップの牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)に迫るタイムもマークしていた。

 ただ、岩佐本人は「新品タイヤを投入しているタイミングやアタックのタイミングが全然違うので、ラップタイムは比較していないです。野尻選手とも(タイムは)特に比較はしていないですし、15号車サイドのプログラムがあったので、進めていたという感じです」と、淡々とウエットコンディションでのプログラムを消化していったと強調した。

「もちろん、トップとの差は比べていましたけど、それが誰かは見ていませんでしたし、そこに対してどれだけ詰めていかないといけないという考え方にはなっていなかったです。開幕戦に向けては良いテストになったのではないかなと思います」と、ポジティブに捉えているのが印象的だった。