岡山国際サーキットと富士スピードウェイでの公式テストを終え、いよいよ開幕までカウントダウンが始まっている2024年のスーパーGT。今季のGT500クラスは3メーカーのドライバー移籍で話題が多く、そのなかでGT300クラスからステップアップしてGT500デビューを迎えるのが、リアライズコーポレーション ADVAN Zの名取鉄平と、Modulo CIVIC TYPE R-GTの大草りきだ。

 ともに1月のマレーシア・セパンテストを皮切りに、メーカーテストや公式テストで精力的に周回を重ねてきた名取と大草。開幕を前にGT500車両に対する印象、ルーキーイヤーでの課題や意気込みを聞いた。

■スーパーフォーミュラテスト経験を活かす名取鉄平。チャンスをくれた近藤真彦監督に恩返しを
 今季は松田次生とのコンビでリアライズコーポレーション ADVAN Zに乗る名取は「GT500車両だからといって、特別何か変わったことはなく、最初から思ったより苦労せず乗ることができました」と語る。

「セパンで初めてテストをしましたけど、乗り始めからそこまで悪くないレベルにいるなということは確認できました」と続け、GT500車両を乗りこなすという点で苦労していることはなさそうだ。

 改めてGT500車両の印象を聞くと「乗ってみて一番感じたことは、スーパーフォーミュラ・ライツのクルマにフィーリングがすごく似ているなと思います」と名取。

 昨年12月にスーパーフォーミュラのルーキーテストに参加し、ハコ車とフォーミュラカーという違いはあれど、GT500に匹敵するハイパフォーマンスマシンを経験した名取。GT500車両にいち早く慣れることができたのも、その経験が少なからず活きているようだ。

「昨年の12月にスーパーフォーミュラのテストにも参加させていただきました。近藤(真彦)監督の『GT500で少しでも結果を残せるように』という思いで(テスト参加の)ステージを用意してくださったので、本当に感謝しています。また、チャンスをくださったからには、自分も今季の結果を残したいという気持ちは強いです」

 リアライズコーポレーション ADVAN Zでチームメイトとなる松田については「すごく優しくて、お父さんみたいな感じです」と名取。

「分からないことがあったら1から10まで丁寧に教えてくれます。僕もGT500にステップアップするにあたり、良い環境でやらさせていただいているので、次生さんをはじめニスモさんやチームの皆さんに感謝です」と、改めて各関係者へ感謝の気持ちを述べていた。

 ここまでは良い雰囲気でテストを進められているようだが、レースをするうえでライバルとの戦いは避けて通れないもの。

「現状ではブリヂストンとの差があるので、その部分をチームとヨコハマタイヤさんと協力し、差を詰められるかが大事になると思います」と、ヨコハマタイヤユーザーの名取としては、ライバルメーカーに追いつき、追い越したい気持ちは大きい様子。

 さらにKONDO RACINGとしては、GT500クラスでは2016年のシーズン2勝を最後に勝利から遠ざかっており「チームが8年優勝がない状況です。(もし勝てば)僕も初優勝ですし、次生さんも最多勝がかかっているので、いろいろな意味で今シーズンはどこかで1勝できたらと思います」と名取。

「僕と次生さん、チームとヨコハマタイヤさんで力を合わせることができれば、必ず結果はついてくると思います。着実にポイントを積み重ねていきたいです」と意気込んだ。

■最速ハコ車に“感覚バグ”の大草りき。懸念点はGT500唯一のダンロップか
 一方、ホンダ陣営からGT500デビューを果たす大草も、1月のセパンテストからGT500マシンのテストに参加している。

「スピードが速くて軽いのですけど、けっこうハコ車感があるなと思いました。本当に“スピードが速いハコ車”という感じです。フォーミュラっぽさがあるわけでもなく、本当にハコ車というジャンルのなかにいる感じですね」と大草はGT500マシンの印象を語る。

「僕はずっとハコ車に乗ってきたので、特に違和感はないのですけど……ハコ車なのにスピードが速すぎるので感覚がバグりますね(笑)。クルマが動くといいますか、ロール(クルマを動かして)でグリップさせる部分もあるので、そこは乗っていて面白いです」と、どちらかというとハコ車のレース経験が多い分、名取とは異なる印象を持っているようだ。

 また大草は、チームメイトとなる伊沢拓也のアドバイスも参考になっていると続ける。

「伊沢さんは細かいところまで教えてくれますし、チームのまとめ方や進め方で勉強になる部分がたくさんあります。その部分は毎回吸収していきたいなと思います」と、テストを経てさまざまな勉強ができている様子だ。

 ただ、課題も明確になってきているとのことで「クルマの動きに対しては慣れてきましたけど、テストをしているとタイヤのキャラクターなどがいろいろと違う部分があり、それに順応するのに時間がかかるという感じでした」と大草。

「やはりGT300との圧倒的な違いが(同じダンロップ勢が)僕たちしかいないことです。僕たちだけで(タイヤ開発を)していかないといけないということは、他社と比べて進むスピードがいろいろと違います。ヨコハマと比べると2分の1、ブリヂストンと比べると13分の1くらい……、そこが大きいですね」と語る。

 それに加えて大草は「タイヤの性能の引き出し方や、それぞれのタイヤでやり方みたいなところが微妙に違っていて、そこがちょっと掴めていないです。GT500で初めてのレースなので『テストでこうだったから、本番ではこうなるだろう』という物差しがまだ分からない状態なので、そこの部分が難しいと思います」と、ダンロップタイヤでのレース経験はGT300で積んでいるものの、GT500では別の難しさがあることを痛感している様子だった。

 4月の開幕戦に向けては「まずは変なミスをしないようにしたいです。いきなり優勝などの高い目標を設定するのではなく、第2戦の富士に繋げられるレースにしたいと思いますと大草。一方で、慎重なコメントをしつつ「チャンスがあれば、しっかりと獲りにいきたい」と上位を目指す貪欲な姿勢は崩していなかった。