2023年のスーパーGTのレース中に重大事故が連続したことを受けて、今シーズンはGT500車両のコーナリングにおけるボトムスピードを抑制するため、車両底面のスキッドプレート・マウントへのスペーサー追加が実施された。予選、決勝を通して木製スキッドプレートは最低でも4mmを維持しなければならず(新品状態で厚さ8mm)、これにより最低地上高を実質的に制限している。

 ここに5mmのスペーサーを追加することで、車高を下げることによるダウンフォース獲得をこれまでより制限し、ボトムスピード抑制する。

 GTアソシエイション(GTA)内のGT500テクニカルワーキンググループ(参加各メーカーにより構成)によってこの内容は検討された。鈴鹿サーキットのラップタイムにおいて0.7〜1秒ラップタイムを抑制する効果を発揮すること指標として、1月のセパンテストでその効果を確認した上でスペーサー厚5mmは決定された。

 いっぽう、2024年シーズンは3年と決められたGT500車両開発サイクルの1年目であり、今年の車両では冷熱系を中心とした車両パッケージや開発領域の空力パーツも変更できる。当然のことながら各メーカー開発陣は、規則によって生まれたマイナスを帳消しにするべく、車高追加によるダウンフォース減を取り戻す努力を継続している。

 開幕前最後となった富士公式テストでは降雨に見舞われ、曇りだった2日目午前も低温により濡れた路面がなかなか乾かず、ベストコンディションとは言い難い状況だった。さらに前日がウエット走行となったため、各チームとも貴重なドライのセッションで、第2戦富士を想定したタイヤ選択とセットアップを進めなければならず、アタックが充分にできる状況ではなかった。

 その状況下でのラップタイムであることや、コースサイドで観た感覚からも、早くも『5mm』分の損失は取り返しているように感じた。

 高速コーナーよりも低速コーナーでその影響が大きいとの声もあるが、少なくとも外からそれは分からないレベルで、今季、タイヤがミシュランからブリヂストンに変更されたNiterra MOTUL ZやMOTUL AUTECH Zは、タイヤのたわみ方が変わったことでむしろ低速コーナーでの車体のロール量が減ったようにも見えた。

さらに言えば、基数制限のあるシリーズ中使用するエンジンは各車ともまだ搭載されていない。ということは“本番仕様”エンジンの性能は秘められたままなのだ。

“本番仕様”がテスト仕様よりも出力が落ちるとは考えにくい。予選フォーマットの変更(Q1からQ2、決勝スタートまでドライタイヤ1セット)も予選ラップタイムにはマイナス要因でこれもラップタイム抑制の一環との側面もあるが、それでも各ラウンドでレコードタイムが更新されるかもしれない。

 規則と開発のいたちごっこはトップカテゴリーの宿命でもある。GTAとしては岡山、富士の公式テスト結果を受けて規則変更の効果を検証するという。