3月30日(土)、WRC世界ラリー選手権第3戦『サファリ・ラリー・ケニア』のデイ3が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位に立っている。TGR-WRTのレギュラーである日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、首位と2分08秒9差の総合2番手で大会三日目を終えている。

 大会も折り返しを迎えるデイ3は、サービスパークがあるナイバシャから北へすこし離れたエレメンタイタ湖周辺を舞台に、計6本のスペシャルステージ(SS)が行われた。デイ3からは出走順が各クラスの降順となり、昨日デイリタイヤを喫していたエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)が先頭走者だ。

■午前からパンク頻発の荒れ模様

 この日最初のステージは、現地時間8時より行われた『ソイサンブ』。草木もまばらな平地が舞台となるこのステージは、パンクのリスクが高いとされるが、早くも総合2番手のエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)の左リヤタイヤがパンクに見舞われた。
 
 ほかにも、ラッピやグレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)もタイヤトラブルを起こし、ミュンスターはサスペンションにもダメージがおよびデイリタイアとなってしまった。


 そんななか、晴々したケニアの朝を制したのは総合3番手の勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)だ。今大会最初のステージウインをあげた勝田は、総合2番手へポジションアップに成功する。

 続いて行われたのは、湖畔地帯が舞台となるSS9『エレメンタイタ』。砂地よりも色の濃い土や岩石も目立つようなこのステージでは、ポイントランキング首位のティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)がペースアップし、今大会2度目のステージウインをあげた。2番手タイムにはチームメイトのラッピも続き、ヒョンデ勢も反撃を開始する。

 午前最後のステージとなるのは、今大会最長の36.08kmを誇るSS10『スリーピングウォーリアー』だ。こちらは、通り雨の跡だろうか水たまりのあるダート路面や、シマウマが出る場面もあるサバンナらしいのステージとなる。

 ハイスピードな点も特徴のこのステージだが、ここではロバンペラが今大会一貫して披露している速さでトップタイムをマーク。24.8秒差の2番手にはヌービルがつけ、勝田を逆転し総合2番手へとポジションを上げる。

 一方、首位から1分24秒6差の6番手タイムとなった勝田は、右側の両タイヤにアクシデントが発生。右フロントがバースト、右リヤのサイド部が裂けるなか、なんとかステージを走り抜けて総合3番手に踏みとどまった。

 走行後には、「岩にぶつかって、大きな衝撃を受けてしまいました。今回は見えずらい箇所が多く、レッキの時にはなかった岩が隠れてしまっていました。」と公式インタビューに語っている。

 チームメイトのエバンスも、ステージ後半に右リヤタイヤのバースト。この日2度目のタイヤトラブルに見舞われてしまったが、何とか走り切る踏ん張りを見せた。


■午後はフェシュフェシュの驚異が増大

 昼にはサービスパーク付近にスコールが降り、徐々に雨季のケニアは天候が崩れ始めた。ただ、SS11の舞台となる『ソイサンブ』付近は辛うじて好天のドライ路面。そんなチグハグが空への不安を募らせるなか、午後の再走ステージは開始となった。

 そしてこの日は、午後もアクシデントが止む気配はない。総合2番手に浮上していたヌービルが、突然のペースダウン。ステージ中盤にある森の中に溜まっていたフェシュフェシュ(パウダー状の砂)を吸ったのか、エンジンパワーを失ってしまいモーター駆動のみでステージを走破する事態となった。

 そんななか勝田が復調を見せ、午前中から続いて『ソイサンブ』を首位タイムで通過。総合順位もふたたび2番手へポジションアップを果たした。総合3番手には、堅実な走りを続けてきたMスポーツ・フォードWRTのアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)が浮上している。

 続くSS12は、午前から少し落ち着いた戦いが見られた『エレメンタイタ』の再走ステージだ。先ほどエンジントラブルを起こしたヌービルはこのステージからシュノーケルを装着し、チームメイトの他2台も同様に装備を開始。ヌービルはステージ中盤からエンジンの駆動力が回復し始めた様子で走行する。

 そして、ここではトヨタのエバンスが今大会初のトップタイムをマーク。そこにオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)、フルモーと続き、各車午前のステージからペースが向上している模様で、午前とは異なる顔ぶれのトップ3となった。

 この日最後のステージとなるSS13は、午前から猛威を振るっていた『スリーピングウォーリアー』だ。

 先頭走者のラッピは、何か大きな物体に衝突した様子でフロントガラスに大きくダメージを受けてしまった。さらにフルモーも右フロントタイヤのバーストに見舞われ、エバンスもふたたびのタイヤパンクでタイムロスを喫するなど、またもこのロングステージが猛威を振るったかたちとなった。そのなかで、先ほどのステージから好調なタナクがトップタイムをマーク。こちらも今大会最初のステージウインとなった。

 多くのドライバーをトラブルが襲ったデイ3終了時点での総合順位は、堅実な走りでリードをさらに広げたロバンペラが首位、2分08秒9差の2番手にはタイヤパンクでのロスを最低限に抑えた勝田がつけ、さらに1分04秒4差の3番手はフォードのフルモーがキープしている。

 2024年シーズンからはあらたなポイントシステムが導入されており、土曜日時点の総合順位と日曜日のみの総合順位とで別々にポイントを付与するレギュレーションとなった。土曜日終了時点のトップ3で見ると、総合首位に立つロバンペラには18ポイント、2番手の勝田には15ポイント、総合3番手のフルモーには13ポイントが与えられることとなる。以下10番手までは順位に応じたポイントを得るが、付与を確定させるためには日曜日のステージも完走することが不可欠となるため油断は許されない。

 WRC2クラスは、ガス・グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2)が2分17秒1のリードを保ってデイ3を終えた。大会開幕からクラス首位をキープしつづけているグリーンスミスも、この日はSS10でウインドウウォッシャーのノズルがあらぬ方向を向いてしまうトラブルに見舞われるなど、所々手負い状態での健闘となっている。2番手にはこの日4度のステージウインをあげたオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)がつける。3番手は、SS9で岩との衝突からステアリングセンターが曲がってしまったと嘆いていたカエタン・カエタノビッチ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が続いている。

 ラリーの最終日となる大会四日目は、SS14〜19の6本で争われる。今大会は多くのドライバーにアクシデントが発生しているため、日曜日のみの順位で競う“スーパーサンデー”のポイント争いも各ドライバーの挽回の場として熾烈なものになりそうだ。デイ4最初のSS14は、現地時間30日(土)7時02分(日本時間13時02分)に開始される予定だ。