今季2024年より満を持して新開発BEV(バッテリーEV)車両による次世代チャンピオンシップに転換するSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権が、初年度に投入される全12台の車両生産と製作が進行するティーザー画像を公開。続く3月29日には、参戦車種最後の1台となる『フォルクスワーゲンID.3』がアンベイルされた。

 すでに全4車種の内訳がアナウンスされている新生STCCだが、シリーズを代表する強豪PWRレーシングは“PWRクプラ・スウェーデン”として新型『クプラ・ボーン』を投入。同じくライバルのブリンク・モータースポーツは『テスラ・モデル3』を走らせ、TCR時代から参画するエクシオン・レーシングは『BMW i4』を、そして当初予定では新興チーム・オートラウンジ・レーシングが走らせる予定ながら、現状参戦チーム未定へと変化した『フォルクスワーゲンID.3』の4車種が新たな電動チャンピオンシップに挑む。

 本来の計画では昨季時点でEVシリーズへの切り替えが為されるはずだったが、世界的なサプライチェーンの混乱や電動コンポーネントの部品供給、生産遅延などの影響を受けスケジュールを延期。改めてシーズンプレミアとなる6月8〜9日の開幕戦は「チャンピオンシップの電動化によって(市街中心部での)復活が可能になった」と、STCCとしては2014年以来のカムバックとなるヨーテボリ市街中心部の特設トラックで開催される。

 いよいよ迫ってきた新時代の幕開けを前に、STCCの最高経営責任者(CEO)を務めるミュッケ・ベルンは3月21日付でリリースを出し「我々は最新のSTCC車両の生産状況と現場を見て、本当に良い気分でヴィクマンシッタンのEPWR社から帰ってきたところだ」と、その進捗に手応えを述べた。

「我々は正しい軌道に乗っており、そのパフォーマンスをトラック上で解き放ちスカンジナビア最高峰レースシリーズとして、気候に配慮したまったく新しい章を書き起こすのに、そう長くは掛からないだろう」

 その電動パワートレイン“キット”の開発を担当したPWRレーシングが運営する研究開発部門『EPWR』社は、最高出力550PS想定のモーターにより0-100km/hが3秒以下、最高速も300km/hをマークする後輪駆動ツーリングカーの生産を担当。その独自規定BEV車両には最大800Vの高電圧を利用する45kWhのリチウムイオンバッテリーが搭載され、このバッテリーやモーターを筆頭にサスペンションなどもすべてワンメイク化される。

■フォルクスワーゲンはSTCCで過去3度の年間タイトルを獲得

「生産はハイペースで進んでいる」と続けるのは、EPWR社のCEOであるミュッケ・ヤンソンだ。「シーズン開幕前にEVレーシングカーをチームに届けるという次の大きなステップを楽しみにしている。これはこの国のモータースポーツにおいて、気候変動に配慮した未来を創造するSTCCとの協力の重要な部分を占めているんだ」

 続く3月29日には、スウェーデン南部に位置する国内第9位の都市、ヨンショーピングにあるエルミア・エキシビション・アンド・コンベンションセンターで開催されたカスタムカーショーにて、最後の車種となる『フォルクスワーゲンID.3』が公開された。

「我々は2024年のSTCCシーズンに先駆け、これで4車種の電動モデルすべてを発表することができた。フォルクスワーゲンID.3がテスラ・モデル3、クプラ・ボーン、そしてBMW i4に加わり、最新の電動モデルによって強力かつ適切なスターティングフィールドが形成される」と前出のベルンCEO。

「フォルクスワーゲンの各モデルは長年にわたってSTCCで成功を収め、合計3度のドライバーズタイトルと38の勝利を収めてきた。そしてこのID.3は世界でもっとも売れている電気自動車のひとつであり、今季シーズン中にスウェーデンのサーキットでその姿を見るのはとても楽しいだろうね」

 新たに開幕ダブルヘッダーを予定するヨーテボリ市街中心部では、すでに“ヘッズ・トゥ・ヘッズ”トラックの新設レイアウトが公開されており、週末は最初のテストセッションを経て予選から準々決勝、準決勝、そしてファイナルたる決勝の順で土曜と日曜の2回のイベントが実施される。

 さらにシーズン中はアトラスコプコ社の気候変動に対応した大規模エネルギー貯蔵システム“ZenergiZe”によって各車両が充電され、同システムは発電機の使用や二酸化炭素の排出、騒音をまったく発生させずに動作するグリーンエネルギーのシステム構成になるという。