2024年スーパーGT第1戦『OKAYAMA GT 300km RACE』を前にした4月12日、日産自動車および日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)は、新たなGT500クラス総監督に木賀新一氏が就任したことを発表した。

 木賀氏は、1990年にニッサン入社。主にエンジン開発などのパワートレイン関係の職務に従事し、世界初となる可変圧縮比エンジン『VC-TURBO KR20/15DDT』のチーフエンジニアや商品企画などを経て、2024年4月1日付けでNMC専務執行役員に就任している。

 木賀氏は同日付でNMCモータースポーツ事業部の開発や企画などを統括しているが、今回、スーパーGT GT500クラスに参戦するニッサン系チームの総監督をあわせて務めることになった。

 すでに岡山国際サーキットでは、スーパーGT第1戦の搬入が始まっており、ニスモのピットには前任の松村基宏氏とももに木賀氏も姿をみせている。メディアの囲み会見に応じた木賀新総監督は、スーパーGTを観戦しに来たことはあるものの、仕事としてモータースポーツに携わるのは初めて。

 ただ、もともとはニッサンでパワートレインを設計してこともあり、現NMC代表取締役社長の片桐隆夫氏と松村氏とは先輩後輩の仲だったので、関係があったという。

「仕事としては量産車を担当することが多かったですけど、ニッサンに入社してモータースポーツを担当したいと思っていました。でも、実際に担当できるかどうかは“運”のような要素もあるので……」と木賀総監督。

 そんな木賀総監督がニスモ(NMC)に誘われたのは2023年の夏ごろ。そこから2024年4月1日付けでNMCの専務執行役員に就任し、わずか10日たらずで日本屈指の人気を誇るスーパーGT、さらに自動車メーカーが争うGT500クラスの総指揮を取ることになった。

 改めてニッサン/ニスモでのスーパーGTの位置づけを聞くと「トップカテゴリーレースという位置づけで、ファンの皆さんもたくさんいらっしゃいます」と木賀総監督は語る。

「何より、ニッサンのブランドイメージを高めることついて、こういったレース活動は過去の栄光も相まり、非常に強い力だろうと思っています」

「もちろん良い製品を作ってお客さまに購入していただくという狙いもありますが、まずは『ニッサンが好き』『ニッサンのクルマに乗りたい』という気持ちを高めるためには、レースはふさわしい場所です」

 そう語る木賀総監督は、レースのスペシャリストが集うNMCでは「熱い人が多くて、まったく世界が違いました」と驚いたという。

「ニスモの人たちは、文系理系関係なく、クルマとレースが好きな気持ちを持っています。実際に話をしていてもすごくシンパシーを感じるといいますか、みんなが積極的に何かをやる仲間のような感じで、本当にやりやすいです」

 就任早々、実際に現場でニッサン系GT500チームを率いることになる木賀総監督だが、ここ数日で感じたことがあると続ける。

「レースは開催ペースが早いので、次のレースまでに直さなくてはいけない部分がかなり短いサイクルでクルマが改善されていきます。でも、あまり短いと『本当にそれが正しい策なのか』ということがよく分からず、真の原因を追究できないまま“パッチ当て”ではないですが『とにかくやれることを全部やります』というような改善が多いように感じています」

「もちろんそういったことも必要ですけど、その一方で、例えば僕が『本当は何が起きてて、何が一番最適な策だったのか』を考え、真の対策をしていかないといけないと思っています。そういった部分は少しずつ正していきたいですね」

 エンジン屋出身ということで「エンジンは得意中の得意なので、任せて下さい!」と意気込む木賀総監督。前任の松村氏の対応も踏襲しながら、「ニッサン各チームがパフォーマンス発揮できるようにサポートすることが私の仕事なので、各チームの戦術を妨げるようなものがあれば排除していき、とにかくニスモの2台だけではなく、ニッサン全体で勝てるようにしていきたいです」と4台全車へのサポートを誓った。

 2024年は4台中3台がブリヂストンタイヤを履き、1台はヨコハマタイヤとなるニッサンは、刷新された体制とともに王者奪還を狙う。なお、前任の松村氏はエグゼクティブパートナーとして木賀新総監督をサポートし、サーキットにも足を運ぶということだ。