シーズンオフとなった2023年10月22日、「ライダーを引退します」と発表していた榎戸育寛。しかし、全日本ロードレース選手権第2戦もてぎとFIM世界耐久選手権(EWC)第1戦ル・マン24時間のエントリーリストに名前があった。「引退撤回ではない」という榎戸だが、どのような流れで再びレースに出場することになったのだろうか。

 全日本ロード第2戦もてぎではTOHO Racingから8耐トライアウトも兼ねての参戦となるが、清成龍一が第1戦鈴鹿2&4レースのテストで怪我を負い、第2戦の出場が危ぶまれたからエントリーとなった(その後清成は欠場を発表)。EWC第1戦ル・マン24時間にはTeam Étoile(チームエトワール)から出場するが、こちらは第1戦鈴鹿2&4レースの転倒で負傷した渡辺一樹の代役となる。

「昨年の鈴鹿8耐での(失格で)悔しい思いがあり、やり残した部分がありました。モヤモヤをしているなかで、ありがたいことに引退発表してからもオファーを頂いていたので、求めて頂けている以上は走りたいという気持ちがありました」と榎戸。

 この2戦への参戦は引退撤回ではなく、今後もフル参戦はしないようだが「ライダーが怪我をしたので、TOHO RacingからもTeam Étoileからも急遽の話ではありました。引退したのに、それでも尚オファーしてくれるのは相当求めてくださってるんだなとすごく感じましたし、本当ありがたいことです」という。

「引退は自分なりの思いがあって、区切りをつけた気持ちではありました。それは間違いありませんが、走る以上はしっかり責任を持って走りたいので、上位を目指したいです」

 第2戦もてぎのJSB1000 レース1は8耐トライアウトでもあった。参戦権獲得チームの正式発表は後日となるが、10位に入りTOHO Racingの鈴鹿8耐参戦は確定となるだろう。

「とりあえずは15ラップのレースをゴールできたので、ひとまずホッとしています。レース2はやるだけやっていこうと思うので、メラメラ燃えています」

■耐久レースへの未練

 また、表彰台を獲得したにも関わらず失格となってしまった昨年の鈴鹿8耐には「悔しい思いがずっと残っていました。モヤモヤしていて、これで引退していいのかという気持ちもありましたけど……」と榎戸はいい、ル・マン24時間レースへの想いも以下のように語った。

「それ以上に耐久レースが好きなんです。団結して戦うレースが好きなので、そこに対しての気持ちが強く、またできたらいいなと思っていました。24時間レースは一昨年くらいからずっと出たくて、何かしらの形で関わりたいなと思っていました。それがまさかこういう形で来ると思わなかったです」

「そしてル・マンじゃないですか。代表的なサーキットで24時間レースを走れるなんて本当夢みたいで、本当にありがたいです。自分ができる限りできることを全力でやって、チームに貢献して少しでも上の順位でゴールできればいいなと思っています」

 全日本ロード第2戦もてぎ、EWC第1戦ル・マン24時間への参戦が決まった榎戸。鈴鹿8耐への参戦もあるかもしれないが、彼が国内の最高峰レースや世界選手権で戦う姿は今年で最後となりそうだ。

 コース上を走る彼の姿を見るのは残り少なくなるが、心のモヤモヤを晴らすために図らずも叶えられることになった最後の夢を追いかけて欲しい。