F1第5戦中国GPの2日目。前日のスプリント予選に続いて、土曜日の公式予選でも角田裕毅(RB)は19番手に終わり、Q1で敗退した。

 今シーズンここまで4戦すべてでQ2以上に進出していた角田にとって、予選19番手という成績は最悪の結果である。しかし、それ以上に角田はこの結果に驚いていたようだった。なぜなら、この日の午前中に行われたスプリントの後、角田とチームは予選に向けてセットアップを変更していたからだった。

「スプリントの後、金曜日のスプリント予選と今日のスプリントで走ったデータを見て、金曜日に感じていたグリップ不足を改善しようとエンジニアといろいろとセットアップを見直しました」

 そう語った角田は、予選に向けてセットアップを変更した。

「そのセットアップ変更で問題は大きく解決されるはずでした」

 にもかかわらず、「予選ではグリップ不足は依然として残っていて、アタックはかなり妥協を強いられた」という角田は、最後のアタックでミスをしたわけでもないのにタイムが伸びずに19番手に終わった。

「金曜日のスプリント予選は確かに自分のミスも関係していたけど、今日はいいアタックでした。それでも、18番手(ルイス・ハミルトン/メルセデス)との差がコンマ2秒もあるなんて……ちょっと信じられないです」

 日本GPの予選でQ3に進出した角田が、なぜ2週間後の中国GPではQ1で敗退したのか。考えられる要因は、今回の中国GPはグラウンドエフェクトカーになってから初めて開催されることと、それがスプリント・フォーマットで行われたこと、さらに上海インターナショナル・サーキットがほかのサーキットとは異なるフロント・リミテッドの独特なレイアウトのため、セットアップも大きく異なるということだ。

 グラウンドエフェクトカーでの走行データがないため、本来であれば、練習走行を重ねたいところだったが、スプリント・フォーマットでフリー走行は1回だけとなった。そこで今回はセットアップに関してチームとしてきちんとした正解を出す時間がないため、いつものグランプリ以上にドライバーとその担当エンジニアにある程度、セットアップを任せていた可能性がある。

 たとえば、角田同様に予選Q1で敗退したハミルトンは、予選後にこう語っている。

「今日の午前中までは、ジョージ(・ラッセル)と僕はとても似たようなクルマだったんだけど、午後は違うセットアップを試してみることにした。僕はこっちの方向性で、ジョージはもう一方の方向性という感じでね。結果的に僕はうまくいかなかったけど、いまの僕らにはそうするしかなかった。セットアップを変更したときは、『これ以上悪くなることはないだろう』と思っていたけど、もっと悪くなってしまった。でも、セットアップではそういうこともあるよ」

 セットアップを煮詰める時間がないので、2台で方向性を分けたため、一方のドライバーが沈んだというのはメルセデスだけではない。角田もこう語っている。

「スプリントの後、スプリントで走ったデータを見て、エンジニアといろいろとセットアップを見直しました。もちろんダニエル(・リカルド)とは少し違った方向でした。でも、それがチームとしては最善の解決策だと思っていました。それでも、予選ではグリップ不足は依然として残っていて、アタックはかなり妥協を強いられました。ほかのマシンと比べると、すべてのコーナーで滑りまくっていたように思います」

 このようなケースはメルセデスやRBだけではない。通常、予選Q1で敗退するチームはパフォーマンスが低い下位の1、2チームに集中するケースが多いが、今回の中国GPではQ1で敗退した5台はすべて異なるチームだった。これはチーム力というよりも、限られた時間のなかで行ったセットアップの当たり外れが大きかったためだと考えられる。

 予選を終えたいま、マシンはパルクフェルメ状態となっているため、もうセットアップの変更は基本的にできない。したがって、角田にとって初の中国GPの決勝レースは厳しいものになるだろう。しかし、中国GPは来年もある。チームのためにも、自分の将来のためにも、しっかりと走り切ってほしい。