4月21日、WEC世界耐久選手権第2戦『イモラ6時間』レースが、イタリアのイモラ・サーキットでスタートした。前半3時間が経過した時点では、フェラーリAFコルセの51号車フェラーリ499P(アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョビナッツィ)が総合首位に立っている。

 開幕戦カタールから7週間、WECはヨーロッパラウンド開幕を迎えた。ここイモラでは、ハイパーカークラスに出場するプジョー・トタルエナジーズが、リヤウイングを採用した改良型の9X8を投入。また、カタールとは性格の異なるコースレイアウト、さらにはBoP(性能調整)も大きく変更されたとあり、注目ポイントの多いイベントとなった。

 20日に行われた予選では、50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)のアントニオ・フォコがトップタイムをマークし、昨年ル・マン以来となるポールポジションを奪取。2〜3番手にもフェラーリが続き、これにポルシェ963やトヨタGR010ハイブリッド、BMW Mハイブリッド V8が続くリザルトとなった。

■アルピーヌを起点に多重クラッシュが発生

 現地時間12時55分、気温16度/路面温度28度というドライコンディションで2周のフォーメーションラップが始まる。グリッド上位から順に50号車フェラーリ499Pがニクラス・ニールセン、83号車フェラーリがロバート・クビサ、51号車フェラーリがアントニオ・ジョビナッツィ、6号車ポルシェ963がローレンス・ファントール、5号車ポルシェがフレデリック・マコウィッキ、7号車トヨタGR010ハイブリッドがマイク・コンウェイ、20号車BMW Mハイブリッド V8がレネ・ラスト、8号車トヨタがセバスチャン・ブエミでスタートした。

 13時すぎにローリングスタートが切られると、最初のブレーキングポイントとなるターン2(タンブレロ)で3番手スタートの51号車フェラーリが83号車フェラーリをかわして2番手へ浮上、フェラーリワークスがワン・ツー体制を築く。

 それとほぼ同時に、ハイパーカークラスの車列後方でマルチクラッシュが発生。マシュー・バキシビエールの36号車アルピーヌA424、マルコ・ウィットマンの15号車BMW、ポール・ディ・レスタの94号車プジョー9X8が比較的大きなダメージを追い、それぞれピットにマシンを戻している。のちに36号車アルピーヌには、1分間のストップペナルティが科せられた。


 これによりオープニングラップからセーフティカーが導入されることになり、数分後にリスタートを迎えた。ここで7号車トヨタのコンウェイが5号車ポルシェのマコウィッキをパス、前方の6号車ポルシェへと迫っていった。

 20分経過を前にデブリ回収のための短時間のフルコースイエロー(FCY)が導入され、さらに35分すぎ、LMGT3クラスの54号車フェラーリ296 GT3がスピンからグラベルでストップしたことで、2度目のFCYに。これも比較的短時間で解除となる。

 上位勢のルーティンピットは、1時間1分すぎの35周目、50号車と83号車、2台のフェラーリから。ここで左リヤタイヤ1本交換に出た50号車を、無交換の83号車が逆転して先行する。次の周以降には続々とルーティン作業が行われた。

 首位は51号車フェラーリのジョビナッツィ、それを約2秒差で6号車ポルシェのファントール、さらに約4秒差で7号車トヨタのコンウェイが追う展開となり、83号車フェラーリは4番手、序盤首位を走った50号車フェラーリは5号車ポルシェを挟んで6番手にまで後退する形となった。

 1時間30分経過を前に、4番手の83号車フェラーリにFCY手順違反によるドライブスルーペナルティが科せられ、9番手にまで後退。一方の50号車ニールセンは5号車ポルシェをタンブレロ進入でパスし、4番手へと順位を回復する。

 2時間経過を前に、首位の51号車は後続に19秒ほどのマージンを築く。2番手の6号車ポルシェには7号車トヨタが接近するが、なかなかオーバーテイクには至らず、スタート直後からのこう着状態がなおも続いた。

 1時間55分が経過したところで7号車トヨタと50号車フェラーリが2度目のルーティンピット作業へ。7号車はニック・デ・フリースへドライバー交代。翌周以降、その他のマシンも続々とピット作業を行う。ハーツ・チーム・JOTAの12号車はもっともピットインを引っ張っており、これが終盤にどうメリットになるかも気になるところ。8号車トヨタは平川亮へとバトンタッチした。

 この2度目のルーティン作業でもフェラーリの3台はドライバー交代を行わず、スタートから3スティント連続走行に入っていった。首位は51号車のジョビナッツィ、2番手には僚友50号車のニールセンがポジションを回復。3番手にはピット作業でポルシェの前に出た7号車トヨタ、そのうしろにはアンドレ・ロッテラーへと代わった6号車ポルシェ、8号車トヨタの平川、5号車ポルシェのミカエル・クリステンセンと続く上位勢のオーダーとなった。

 2時間15分が経過する頃、8番手を走行していた12号車カラム・アイロットがターン7(トサ)を直進。バリアに軽くノーズをヒットさせた後、コースへと戻ったが、11番手まで順位を下げた。2番手の50号車フェラーリには、2時間半経過を前にプッシュおよび背後のトヨタ7号車を封じ込めろとの指令が下る。2台のギャップは約3秒ほどだ。

 2時間50分経過を前に、50号車フェラーリ、7号車トヨタが3度目のルーティンピットへ。50号車はミゲル・モリーナへとドライバー交代する。次の周には首位51号車フェラーリがジェームス・カラドへとドライバーチェンジし、右側2輪を交換する。8号車トヨタも同タイミングでピット作業を行うが、コースへ復帰すると5号車ポルシェに先行を許してしまう。ここでも、ハーツ・チーム・JOTAの2台はスティントを伸ばしている。

 ピット作業を終えたフェラーリワークスの2台はコース上で急接近するが、カラドがモリーナをなんとか封じ込め、その後引き離した。これで4スティント目もフェラーリのワン・ツーが続いていくことになりそうだが、背後には7号車トヨタのデ・フリースがつけており、勝負の行方はまだ分からない状態だ。

■LMGT3:首位ポルシェにバレンティーノ・ロッシが続く

 LMGT3クラスでは、92号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイ・ピュアレクシング)がポールポジションを獲得、27号車アストンマーティン・バンテージGT3(ハート・オブ・レーシングチーム)、46号車BMW M4 GT3(チームWRT)が続く予選結果となった。

 日本勢ではDステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージGT3が12番手、小泉洋史の82号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)が13番手、佐藤万璃音の95号車マクラーレン720S GT3が15番手、そしてセンサーエラーにより全ラップタイムが抹消された木村武史の87号車レクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)が最後尾となる18番手から、決勝に臨んだ。82号車シボレーでは、小泉がスタートドライバーを務めている。

 スタートでは混乱があり、91号車ポルシェが左側のウォールへとヒットし、フロントを破損しピットへと戻る。この際、91号車はアイアン・デイムスの85号車ランボルギーニ・ウラカンGT3にヒットしており、のちにペナルティが科せられた。85号車ランボルギーニは、ガレージで修復を行ったが、電気系のトラブルも発生したようで、のちにリタイアを選択している。

 リスタート後は、ポールスタートの92号車が隊列をリード。これに2台のBMWが続く。最後尾スタートとなった87号車レクサスはエステバン・マッソンのドライブにより、みるみると順位を上げていき、30分経過時点で6番手にまで進出する。

 1時間経過を前に、各車は1回目のルーティンストップへ。ここでは大きな順位変動はなかったが、2スティント目に入って55号車フェラーリが31号車BMWをパス、3番手へと浮上してくる。87号車レクサスは、木村へとドライバー交代を行った。

 2度目のルーティンピット後には、55号車フェラーリのフランソワ・エリオーが首位に立つが、ほどなくして92号車ポルシェのジョエル・シュトームがコース上でトップを奪い返す。これに、バレンティーノ・ロッシの46号車BMWが続いた。

 82号車シボレーの小泉は序盤にコースオフする場面も見られたが、2.5スティントほど(64周)の連続走行ののち、マシンをセバスチャン・バウドに託した。一方、木村の87号車レクサスはマッソン乗車時にFCY手順違反があったとしてドライブスルーペナルティを受けた。

 3時間経過時点では92号車ポルシェが首位、46号車BMWのロッシ、55号車フェラーリと続く上位陣のオーダーとなっている。

 レースはこのあと、現地時間19時(日本時間26時)にフィニッシュを迎える予定。降雨予報もあり、各車のギャップが近いことも相まって、緊張感の続くレース後半戦となりそうだ。