F1第5戦中国GPの決勝レースは、2度のセーフティカーが導入されたにも関わらず、マックス・フェルスタッペンが危なげない走りでポール・トゥ・ウインを飾った。

 第3戦オーストラリアGP後、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はこう語っていた。

「フロント・リミテッド(フロントタイヤに厳しく、アンダーステアになりやすい)のサーキットでは、フェラーリが特に強い。昨年のラスベガスGPやこのオーストラリアGPで彼らが強かったのも偶然ではない。次の鈴鹿は確かに我々のほうが得意なコースだが、その次の中国GPはフロント・リミテッドだから、まだチャンピオンシップ争いはまだわからない」

 しかし、その中国GPでレッドブル・ホンダRBPTとフェルスタッペンは土曜日のスプリントに続いて、日曜日の決勝レースも制して、週末を圧勝した。序盤戦の山場とも思えた中国GPをフェルスタッペンが制したことで、フェルスタッペンが今後、チャンピオンシップ争いを有利に進めることができるのは間違いないだろう。

 ただし、現時点でレッドブルのRB20が2023年のRB19ほどライバルたちを圧倒しているかと言えば、必ずしもそうとは言い切れないことも、今回の中国GPで垣間見えたのも確かだ。それを物語っているのは、チームメイトのセルジオ・ペレスの走りだ。

 ペレスは昨年までと異なり、今年はフェルスタッペンのセットアップを見習い、かつレースでも落ち着いて、ここまで5戦中4度表彰台に上がり、安定した成績を残している。つまり、非常にいいシーズンを送っている。

 ところが、この日のレースではスタート直後に前に出られたフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)をかわしてからも、フェルスタッペンのペースに追いついていけず、序盤にフェルスタッペンに大きく水を開けられた。

 そして、このことがレース中盤に導入されたセーフティカーでランド・ノリス(マクラーレン)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)に逆転される遠因となる。その後、ペレスはルクレールを抜くのに手間取り、ノリスを攻略できずに3位でチェッカーフラッグを受けた。

 ホーナーが指摘していたようにRB20には弱点があり、それが露呈しやすいサーキットでは、ライバルとの差は縮まることが今後も予想される。

 では、そんな中国GPでフェルスタッペンが変わらぬ強さを発揮できたのは、なぜか? それは5年ぶりに開催された中国GPの舞台である上海インターナショナル・サーキットの路面が特殊な加工によって、滑りやすくなっていたことが考えられる。

 かつてチームのあるスタッフがフェルスタッペンの強さについて、こう語っていたことがある。

「初開催となったサウジアラビアGPは、会場が直前まで工事していたため、路面の状態がかなり悪かったが、最初のフリー走行でマックスだけが異次元の走りをしていた」

 ウェットコンディションでフェルスタッペンが速い理由も同様だ。つまり、フェルスタッペンは悪コンディションに強い。滑りやすい路面になったことで、フェルスタッペンは自らのドライビングでRB20の弱点を消した。上海でのポール・トゥ・ウインは、フェルスタッペンというドライバーのすごさが改めて際立った一勝だった。