ユニークな機構を備えたミドルクラスのクロスオーバー、NC750Xの新型が2021年2月に発売された。スタイリングを一新してエンジンを熟成、フレームも一新したという気合の入ったフルモデルチェンジ、果たしてその走りはどう変わったのか。試乗テストレポートをお送りする。
文:太田安治、木川田ステラ、オートバイ編集部/写真:南 孝幸

ホンダ「NC750X DCT」インプレ・解説(太田安治)

たゆまぬ熟成を重ねて爽快なツアラーに進化

2012年にデビューしたNC700Xの第一印象は、「素晴らしく扱いやすいが操る楽しさは薄い」というものだった。オートバイに爽快さを求める僕にとって、長旅でも疲れないキャラクターが逆に退屈に感じられたのだ。

しかし、2014年の750cc化、2016年のマイナーチェンジでNCのスポーツ性は着実に高まり、今回のフルモデルチェンジでエンジン特性、ハンドリング共に「爽快」さを感じさせる正統派ツアラーへと進化した。

もともと低中回転域での扱いやすさを重視したエンジンだけに、DCTとの相性は抜群。発進加速も大幅に力強くなった。4つのライディングモードのうち、「スタンダード」は3000回転ほどで自動的にシフトアップ。

6速・100km/h時は約3200回転で、振動もなく両足の間でコロコロと回っているような軽いフィーリングだ。「スポーツ」は4000回転以上まで引っ張ってシフトアップ。

2速に入るときは少しショックと作動音があるが、3速以上は実に滑らかにシフトチェンジを行ってくれる。DCTをMTモードにして高回転まで回し込んだ際の加速フィーリングも軽やか。レブリミッター作動回転数も7000回転まで引き上げられたため、初期モデルのようにいきなり加速が止まる不自然さも解消された。

意外だったのは「レイン」モードの好感触。スロットルレスポンスが穏やかになり、加えてスタンダードモードよりも低い回転、つまり早め早めにシフトアップをするので、他のモードよりも2気筒エンジンの鼓動感と力強い排気音を長く楽しめる。

レインモードと聞くとウエット路面専用に感じるが、クルージングモードと捉えてもいいと思う。

アドベンチャー的なルックスだが、乗り味はロードスポーツ。直進安定性重視のハンドリングで、旋回中はフロントタイヤが想定ラインよりも外側を通るアンダーステア感はあるものの、フロントタイヤの接地状態がしっかり伝わってくるから深いバンク角でも不安はなく、ワインディングロードを駆け抜けるアベレージ速度も想像以上に速い。

NCの大きな特長であるラゲッジボックスは23Lに拡大され、ETC2.0とグリップヒーターも標準装備。シート高は800mmに抑えられ、ハンドル切れ角も35度と充分。DCT仕様で99万円という価格も装備内容を考えれば素直に納得できるもの。旅の相棒として実に従順で頼もしい存在だ。

ホンダ「NC750X DCT」ライディングポジション・足つき性

シート高:800mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg

高めのハンドル位置で上体は完全に直立し、肘に余裕がある。ステップ位置は低めで、膝と足首に負担が掛からない。まさに長時間ライディングのために設定されたようなポジション。シート高は800mmで足着き性は上々。

ホンダ「NC750X DCT」 タンデム(2人乗り)チェック

パッセンジャー・木川田ステラの感想

タンデムシートは一段高く、視界はとても良かったです。ステップは少し狭めですが、しっかりニーグリップできますし、タンデムシートも肉厚で程よい弾力。柔らかいサスペンションが生む乗り心地の良さと、DCTのスムーズな加速でとても快適なタンデムでした。

ホンダ「NC750X DCT」各部装備・ディテール解説

ホンダ「NC750X」「NC750X DCT」主なスペック・価格

※《 》内はDCT

全長×全幅×全高 2210×845×1330mm
ホイールベース 1525mm 《1535mm》
最低地上高 140mm
シート高 800mm
車両重量 214kg《224kg》
エンジン形式 水冷4ストOHC4バルブ直列2気筒
総排気量 745cc
ボア×ストローク 77.0×80.0mm
圧縮比 10.7
最高出力 43kW(58PS)/6750rpm
最大トルク 69N・m(7.0kgf・m)/4750rpm
燃料タンク容量 14L
変速機形式 6速リターン
キャスター角 24゜00'
トレール量 110mm
タイヤサイズ(前・後) 120/70ZR17M/C(58W)・160/60ZR17M/C(69W)
ブレーキ形式(前・後) Φ320mmディスク・Φ240mmディスク
メーカー希望小売価格 92万4000円《99万円》(消費税10%込)

文:太田安治、木川田ステラ、オートバイ編集部/写真:南 孝幸

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