JSB1000 ついに野左根が!

この週末はツインリンクもてぎで全日本ロードレース第4戦が行われました。土曜の模様は<[https://www.autoby.jp/_ct/17401563>ココにありますが、その雨の土曜とうって変わって好天に恵まれた日曜日、もてぎではたくさんの名勝負が生まれました。]

JSB1000クラスでは、きのうの雨の赤旗中断→レース成立からの、すっきりしたドライコンディションでの決着レース。ここでは、開幕5連勝の野左根vs絶対王者・中須賀というヤマハファクトリーレーシングのチームメイト同士の戦いに注目が集まりました。
というのも、野左根vs中須賀という世代闘争で、ここまで野左根が5つ勝っているとはいえ、開幕戦レース1では中須賀が転倒、レース2は欠場し、第2戦レース1では赤旗中断からのレース成立、レース2はその野左根と中須賀が接触しての中須賀転倒での野左根優勝と、これまでキッチリ決着がついているとは言い難いのです。

「昨日のレースも赤旗中断からのレース成立で、オレ今シーズンまだチェッカー受けていないんですよ」と中須賀。来シーズンからのWSBK参戦が発表された野左根にしても、スッキリと先輩をやっつけてから海外へ行きたいでしょう!

待望のドライコンディションとなった朝フリーでは、野左根がトップタイム。これで野左根は、木曜〜金曜の事前テスト、土曜の公式予選と決勝、それに日曜朝のフリー走行とすべてトップタイム! もう、乗りに乗っていますね。

決勝レースでも、野左根が好スタートを決めてホールショットを獲ると、野左根は1周目からハイスパート! このペースにはさすがの中須賀も追いつけず、オープニングラップから野左根が中須賀を引き離す展開となりました。さらにこのヤマハ2台が3番手以降を引き離し、3番手争いは土曜に3位表彰台を獲得した加賀山就臣(Team KAGAYAMA)、清成龍一(ケーヒンHonda Dream SIR)、水野涼(MuSASHi RT ハルクプロ)といったオーダー。

レースは野左根を追う中須賀、このトップ2台のヤマハを追う3番手争い、という図式になり、2周目に清成が3番手争い集団のトップへ。ヤマハYZF-R1デュオを追撃するブランニューCBR1000RR-Rという戦いとなり始めました。
野左根のスピードはさすがの中須賀も追いつけないほどで、野左根が独走。レース後半には清成が中須賀との差を詰めるものの、最後まで及ばず、2位以下を10秒以上引き離して野左根が6連勝を達成。中須賀は清成を抑えきって、この3人が表彰台に上がりましたが、レース後に清成のマシンにレギュレーション違反の「キャリパー冷却用エアダクト」が取り付けられていたことで失格となり、3位には繰り上りで水野が入ったレースとなりました。

これで、ついに野左根はドライのレースで走り切って、中須賀を完封。もちろん、中須賀は開幕戦の転倒で負った脱臼癖のある左肩が完治していない(本人は『ケガなんかしてないよ』って言うんです)で、負けは負け、たとえケガしてたって出場している以上は理由にならない、と言います。
「やっとしっかり最後まで走り切って中須賀さんに勝てた、って思いです。もてぎは走りこんでいて得意なホームコースですが、こんなレースができるとは思ってなかった。これで中須賀さんを超えたなんて思ってないし、最終戦もキッチリ勝負できたらいいと思います」と野左根。もちろん、記者会見は中須賀も清成も同席で行なわれますから、勝ったからってドヤ顔するわけにはいかないですからね。野左根って、そういう「弟感」強いライダーですからね。

雨の土曜に続いて、晴れの日曜でも野左根に敗れた中須賀も感慨深いんでしょう。
「コータがこうやってずっと僕を目標にやって来てくれて、目標を達成した、って喜んでる姿を見るのはいいもんですね。もちろん負けて悔しいし、コータが成長している分、僕だってまだまだ成長できる。次はやり返すぞ、って思いです。残りあと2レース、今年はまだ優勝していないから、得意な鈴鹿で、次は簡単に勝たせないよ」

可愛い後輩が自分を乗り越えようとしている――。レーシングライダーとして悔しい、けれど野左根の先輩としてはうれしいし、って心境なのかもしれませんね。
最終戦・鈴鹿は、中須賀が得意としているコースで、野左根はJSBではまだ未勝利。ここで野左根が中須賀を破るようなことがあったら、この世代交代劇は本物なんでしょうね。

JSB1000 レース2正式結果
①野左根航汰 ヤマハファクトリーレーシング
②中須賀克行 ヤマハファクトリーレーシング
③水野 涼  MuSASHi RT ハルクプロ
④渡辺一馬  ケーヒンHonda Dream SIR
⑤濱原颯道  Honda Dream RT 桜井ホンダ
⑥加賀山就臣 Team KAGAYAMA

J-GP3は若手とベテランの読み合い

オープニングレースのJ-GP3クラスでは、村瀬健琉(ミクニVISION2023)が好スタート、そこに古里太陽(Taiyo with BATTLE FACTORY)や鈴木大空翔(BATTLE FACTORY)、成田彬人(Team P.mu 7C MIKUNI)、そこに小室旭(Sunny moto Planning AKR)、徳留真紀(マルマエMTR)が加わり、ヤングタイガーとベテランががっぷり。

レースはいつものように10台近くがトップ集団を形成し、スタートからトップに立った村瀬をかわして、4周目には成田、7周目には古里、8周目に小室とめまぐるしくトップが変わり、レースが後半に差し掛かると、トップ争いは小室、村瀬、徳留、古里、成田の5台へ。
レース終盤に展開を読んでトップに立ったのが小室。しかし、ここから逃げきれずに古里、徳留の先行を許して最終ラップを迎え、古里を刺しに徳留、小室が動くものの、古里が逃げ切って全日本初優勝をあげました! ヤングライオンがベテランを抑えきりました!

「金曜の事前テストで転んでバイクを大破させてしまって、あんまり自信はなかったんですが、思ったよりストレートが速くてブレーキングでもパッシングができた。1勝できてホッとしています」と古里が言えば「本当は序盤から(古里)太陽と一緒に前に出てトップ争いの台数を減らしてレースしたかったんだけどね」と徳留。
3位に入った小室も「中盤にレースペースが上がらなくて前に出たけど逃げ切る力はなかったですね。僕はチャンピオン争いをしている村瀬君の前でチェッカーを受けて、間に何人か挟めたらいいな、と思っていた。最後は優勝まで持っていけなかったね」と、目の前のレースを勝つこと、レース展開を利用して前に出ること、そしてチャンピオン争いの1戦として捉えること、と狙いはそれぞれ。これが若手とベテランの争いですね。

J-GP3クラス レース正式結果
①古里太陽  Taiyo with BATTLE FACTORY
②徳留真紀  マルマエMTR
③小室 旭  Sunny moto Planning AKR
④成田彬人  Team P.mu 7C MIKUNI
⑤村瀬健琉  ミクニVISION2023
⑥鈴木大空翔 BATTLE FACTORY

ST600は岡本裕生がシリーズをリード

ここまで岡本裕生(51ガレージNitroレーシング)、小山良知(日本郵便Honda Dream TP)とふたりのウィナーを生んでいるST600クラス。18年のチャンピオン岡本と19年のチャンピオン小山が20年のチャンピオンを短期決戦で争っている――そんな図式ですね。
スタートを獲ったのは長尾健吾(NCXXレーシング&善光会TEAMけんけん)でしたが、オープニングラップのうちに岡本がトップに浮上。2周目には小山が3番手に浮上し、岡本と長尾のトップ争い、その後方に小山がつけるポジション。

この展開で、レース後半に岡本がじりじりと長尾との差を広げ始め、その長尾に小山が追いついて、レース終盤に小山が2番手に浮上。小山はそのまま岡本を追うものの、岡本はマージンをもってトップをキープし、逃げ切って今シーズン2勝目。小山→長尾の順で表彰台に上がったレースとなりました。

「前の週にスポーツ走行に来ることができて、金曜の事前テストからいい走りができていました。予選は雨でフロントローにいればいいかな、と思って、ドライになった決勝も自信もって行けました。余力があったわけじゃないんですが、小山さんが迫ってきたらもうひとつペースアップする覚悟はありましたね」(岡本)
「ウィーク始まってから、岡本くんには適わないかな、って。予選も9番手から1〜2周目にどれだけ追い上げられるかって走りで、マシンも自分の限界も超えてやることはやれました。チャンピオン争いは、もう無理かな。ゼッケン1だからやられっぱなしはだめでしょう。最終戦の鈴鹿は楽しくクリーンなバトルがしたいです」(小山)

ST600クラス レース正式結果
①岡本裕生  51ガレージNitroレーシング
②小山良知  日本郵便Honda Dream TP
③長尾健吾  NCXXレーシング&善光会TEAMけんけん
④南本宗一郎 AKENO-SPEEDヤマハ
⑤阿部恵斗  WeBike チームノリックヤマハ
⑥荒川晃大  MOTO BUM ホンダ

ST1000は高橋の連勝ストップ!

今シーズンからスタートしたストッククラスST1000は、高橋裕紀(日本郵便Honda Dream TP)が開幕から2連勝。全日本GP125からMotoGP世界選手権まで経験したキャリアをもつ高橋の経験とスキルには誰も対抗できない――と思われたものの、BMW S1000RRが高いポテンシャルを見せたり、高橋と同じブランニューマシンCBR1000RR-Rをライディングする名越哲平(MuSASHi RTハルクプロ)が第2戦オートポリスで快走したり、というシーズンです。
そしてこのもてぎ大会では、BMW S1000RRをライディングする渥美心(TONE RT SYNCEDGE4413BMW)が好スタートからホールショットを獲得! 渥美は、開幕戦・菅生大会で2位に入った星野知也が負傷したための代役参戦。いきなりのもてぎ入りで高い順応性を見せましたね。

しかし、オープニングラップのうちに名越がトップに立ち、その後方に高橋がつける展開。渥美、榎戸育寛(SDG Mistresa RTハルクプロ)、作本輝介(ケーヒンHondaDreamSIR)も続きますが、この3番手争いから作本が抜け出し、名越×高橋、その後方に作本、というトップ3。高橋はずっと名越の背後につけるものの、パッシングすることはなく周回を消化していきます。
結局、このままレースは終盤を迎え、最終ラップに高橋が名越にアタック! コース後半、ダウンヒルストレートからの90度コーナーで勝負をかけるものの、クロスラインで再び抜き返され、名越がST1000クラス初優勝をあげたレースとなりました!

「こうやって負けて、やっと余裕ないってわかってくれました? 今日だって抜かなかったわけじゃなくて抜けなかったんです。悔しいけど完敗」と高橋。勝った名越は「とにかく前に出て逃げようと。それで捕まったらそれまでだと思って走りました。ずっと後につかれて、どこかで仕掛けてくるとは思っていましたが、対策なんてないし、全開で攻めるだけでした。今日は優勝できて本当に、とてもうれしい」と喜びをかみしめていました。

ST1000クラス レース正式結果
①名越哲平  MuSASHi RTハルクプロ
②高橋裕紀  日本郵便Honda Dream TP
③作本輝介  ケーヒンHondaDreamSIR
④渥美 心  TONE RT SYNCEDGE4413BMW
⑤國川浩道  TOHOレーシング
⑥山口辰也  Team T2y with NOBLESSE FAMILY

これで全日本ロードは最終戦へ

新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、全5戦……でも第2戦岡山大会が台風接近で中止になったことで、4戦で行なわれることとなった全日本ロードレースは、これで最終戦MFJグランプリを残すのみ。
JSB1000クラスだけは1戦2レース制のために8レースあるものの、他クラスは全4レースと短期決戦だけに、1戦のミスも許されない2020年シーズンのチャンピオン争い。全日本ロードレースの歴史の中でも珍しいケースとなりましたが、それでもライダーもチームも全力でシリーズを戦っています。
JSB1000クラスでは、野左根がキッパリと中須賀超えを果たすか、ST1000クラスの初代王者はだれか、そしてST600では岡本がチャンピオン奪回をするか、J-GP3クラスではヤングタイガーとベテランのどちらに軍配が上がるか――そんなテーマの最終戦MFJグランプリは、鈴鹿8耐が行なわれる予定だった10/31〜11/1に行なわれます!

写真/木立 治 柴田直行 後藤 純 中村浩史 文責/中村浩史