球界を代表する長距離砲を並べていた以前の巨人打線

 長打力不足。頼れる4番打者の不在。
 
 2017年の…、いや近年の巨人を悩ますワードである。20日現在でチーム本塁打53、288得点はともにリーグ4位。チーム打率.245は同5位。本塁打の出やすい東京ドームで一発のある打者を並べるイメージも今は昔といった雰囲気だ。
 
 菅野智之9勝4敗 防御率2.20、田口麗斗8勝2敗 防御率2.09、マイルズ・マイコラス8勝4敗 防御率2.63と球界屈指の先発三本柱を擁しながら、借金5でリーグ4位に沈んでいる原因の一つが迫力不足の打線にあるのは間違いないだろう。
 
 個人打撃成績を見ても、なんと本塁打ランキング上位10名に巨人からは1人もランクインしていない。
 
 11位に阿部慎之助10本、12位タイに坂本勇人、ケーシー・マギー、長野久義が9本で並んでいる状況だ。
 
 ちなみに昨季は村田修一25本、ギャレット・ジョーンズ24本、坂本23本、阿部12本、ルイス・クルーズと長野が11本。
 
 今季、マギーを獲得したことにより、ポジションの被る村田(今季5本)と外国人枠の関係でギャレット(今季1軍出場なし)が起用できなかったのは長打力という面では痛手だった。
 
 振り返ると、巨人は常に打線の中心には球界を代表するクラスのホームランバッターを置くイメージが強かった。
 
2001年
高橋由伸 打率.302 27本塁打 85打点 OPS.863
松井秀喜 打率.333 36本塁打 104打点 OPS.1.081
清原和博 打率.298 29本塁打 121打点 OPS.942
 
2008年
小笠原道大 打率.310 36本塁打 96打点 OPS.954
ラミレス  打率.319 45本塁打 125打点 OPS.990
阿部慎之助 打率.271 24本塁打 67打点 OPS.852
 
2013年
村田修一  打率.316 25本塁打 87打点 OPS.896
阿部慎之助 打率.296 32本塁打 91打点 OPS.991
ロペス   打率.303 18本塁打 55打点 OPS.836
 
 各年代に名だたる長距離砲がいたことが分かる。ビッグクラブ特有の松井、由伸、阿部といった「生え抜き組」と清原、小笠原、ラミレス、村田といった「補強組」がバランスよく共存するイメージだ。

2017年、広島やDeNAと比較すると寂しい外野手陣

 しかし、現在の主軸を張る坂本や長野はタイプ的に中距離バッターだし、FA補強の陽岱鋼にしても昨季は14本塁打である。そんな今の巨人を象徴するのが最近の外野手のラインナップだ。リーグ上位の広島やDeNAと比較してみよう。
 
巨人
長野久義 打率.276 9本塁打 21打点 OPS.776
陽 岱鋼 打率.290 3本塁打 11打点 OPS.838
中井大介 打率.234 4本塁打 13打点 OPS.627
 
広島
鈴木誠也 打率.304 17本塁打 66打点 OPS.919
丸 佳浩 打率.320 16本塁打 60打点 OPS.958
松山竜平 打率.317 6本塁打 33打点 OPS.859
 
DeNA
筒香嘉智 打率.275 13本塁打 52打点 OPS.869
梶谷隆幸 打率.258 12本塁打 41打点 OPS.760
桑原将志 打率.289 9本塁打 31打点 OPS.820
 
 こうして見ると、やはり広島の外野陣の打撃成績が図抜けている。DeNAも全員20代とまだまだ伸び代があるフレッシュな顔触れだ。巨人は序盤に石川慎吾や立岡宗一郎を我慢強く起用したが、交流戦中に陽が戦列復帰するとセンターに定着。大田泰示も北海道日本ハムファイターズへ移籍し、長距離砲タイプの外野手は皆無と言ってもいい状況が、例えば賛否分かれる3年目の岡本和真のレフト起用へと繋がった。
 
 そして、内野に目を向けると長年チームを支え続けた大黒柱の阿部も38歳。今季の打率.249、10本塁打、42打点、OPS.704は中軸として、打力が期待される一塁手としてはあまりに寂しい数字だ。あと21本に迫った2000安打達成後の起用法にも注目が集まる。
 
 また勝負論とは別に、以前の巨人には「この試合には負けたけどゴジラ松井のホームランを見れたから良かった」「由伸の一発が見れるかもしれないから最後まで球場に残る」という、試合の勝敗を度外視した華のあるホームランバッターがいた。
 
 いつの時代も、広島の鈴木、DeNAの筒香と若きスラッガーの出現はチームの雰囲気をがらりと変えることができる。
 
 果たして巨人にとってそれが岡本か…、それともこれからドラフトで指名するまだ見ぬ誰かか…。
 
 あの頃の松井や由伸のように、球場の雰囲気を一発で変えられる新世代の長距離砲の出現を待ちたい。