あと一歩の甲子園、本塁打記録はU-18に持ち越し

 怪物の夏が終わりを告げた。早実が第99回全国高等学校選手権西東京大会決勝戦で東海大菅生に敗退。主将を務めた注目の清宮幸太郎内野手(3年)も涙を飲んだ。
 
 あと一歩に迫りながら夏の甲子園出場を逃し、今大会では単独史上最多記録となる高校通算108号に到達しなかった。9月にカナダ・サンダーベイで行われるU-18ワールドカップの日本代表候補となっていることからメンバー入りすれば記録更新の期待がかかる。
 
 ただし早実のユニホームを着用した上でのプレーは今大会が最後。やはり清宮としては最後の甲子園で自身の本塁打を量産しながらチームを頂点に導き、有終の美を飾りたかったに違いない。
 
 だがグラウンド外の清宮フィーバーは、ここからが号砲だ。果たして高校卒業後の進路をどうするのか――。今後はこの1点に注目が注がれることになる。プロ志望届を提出し、プロ入りを目指すのか。あるいは大学へ進学するのか。各メディアの見解は今のところ分かれている。
 
 ただ筆者が集めた現段階での情報を総合すると、清宮本人や家族、周囲の関係者は大学進学を望んでいる模様だ。

系列の早大か米国か、英語はハイレベルで「ノープロブレム」

 早大、もしくは米国の大学進学を選択肢として思い描いていると聞く。系列校の早大進学は容易に想像が付くが、一方の米国の大学に関しては「想定外」ととらえる人が多いかもしれない。
 
 しかし、これは別に驚くことでもなんでもない。清宮が「メジャーリーグでの本塁打王」を夢として抱いていることを考えれば、米国の大学進学は最良の近道と言える。
 
 米国の大学野球は非常にレベルが高く、メジャーリーガーの「原石」と評せるような潜在能力の高いMLBドラフト候補者たちも数多く存在する。そういうハイレベルな環境下に身を置けば、自身の努力次第で急成長が見込めるだろう。
 
 しかも大学野球では多くの投手が現在のメジャーで主流となっているムービング系のボールを当たり前のように投げる。メジャーを目指す清宮にとってはどれも「見たこともないようなボール」だろうが、それを克服することでジャンプアップが可能となるはずだ。
 
 野球の名門校に入学し、NCAA(全米大学体育協会)主催のリーグ戦で結果を残せるような選手になることでMLB球団スカウトの目に留まり、ドラフトに指名されれば、メジャーリーガーの道への第1歩を踏み出せる。
 
 問題は英語だが、清宮の場合は心配ないようだ。実を言えば清宮は家族の英才教育のもと、すでに小学校時代から本格的な英語を学んでいる。中学時代には英語部の部長を務め、この頃から将来的なメジャーリーグ移籍を想定し始めていたと言われ、当時を知る関係者曰く「英語の野球用語もすべてマスターしていた」というから驚きだ。
 
 これまで参加した国際大会でも欧米人選手と通訳を付けずに「ネイティブのような流暢な英会話」で堂々と話す清宮の姿は多くのチームメートに目撃されている。

「文武両道」の清宮。日本球界は金の卵流出を懸念

 そういう観点から評すると、まさに清宮は「文武両道」。米国の大学に行っても英語で授業を受けることはほとんど問題ないだろうし、海の向こうで野球を続けながらチームメートとコミュニケーションを取ることも十分に可能と見る。
 
 しかも清宮は野球だけでなく、勉強の面でも「吸収力が群を抜いて早い」ともっぱらだ。そうだとすれば、米国の大学以上の好環境は他にあるまい。ムービング系のボールへの対処、そして英語の勉強にもアジャスト(順応)することで、夢のメジャーリーグ入りはグンと近づいて来る。
 
 とはいえ、おそらくNPBも金の卵のメジャー流出をただ黙って指をくわえて見ているわけにもいかないだろう。“田澤ルール”の存在もチラつかせながら清宮にプロ志望届提出を促し、そこに乗じて日本の多くの球団があの手この手で今秋ドラフトでの獲得を狙うに違いない。
 
 若き未完の大砲の決断が注目される。