金本監督を悩ます若手の打撃不振

 主な若手野手たちの打率を並べてみると一目瞭然だ。7日現在で2年前のドラフト1位・高山俊外野手はスランプに苦しんでいることもあって打率2割5分6厘。昨秋のドラ1・大山悠輔内野手も打率2割3分1厘で、どうひいき目に見ても打線を支えているとは言い難い。
 
 5年目の北條史也内野手に至っては打率1割9分5厘、ここまで84試合に出場している4年目・梅野隆太郎捕手も打率1割9分と散々。いくらなんでもレギュラークラスに打率1割台が2人もいては、金本監督も頭が痛い。
 
 そうした中で7年目の24歳・中谷将大外野手は2日の広島戦でチャンスを生かせないなど2打席連続三振で早々にスタメンを外された。しかし、その翌日3日の広島戦でマルチ安打、4日のヤクルト戦では12号2ランを放ってチームの勝利に大きく貢献。
 
 福留孝介外野手を抜いてチームトップの本塁打数を誇る“未完のスラッガー”は打率こそ2割4分9厘ながらも出場試合でインパクトを残しつつあり、もう1段ステップを踏み上がるための「何か」をつかんだかのような兆しが見えている。おそらく2日の試合であっさりとベンチに下げられたことで闘魂の炎が再点火したのだろう。
 
 ちなみに梅野はリード面や守備面に関して言えばここ最近は、2年目の坂本誠志郎捕手との併用がプラスに働く格好となっている。
 
 7月以降から坂本がスタメンマスクを被る機会が増え、尻に火をつけられた梅野は4日のヤクルト戦でバッテリーを組んだランディ・メッセンジャー投手を巧みなリードと強肩で盗塁を阻止するなどして見事完封へと導いた。
 
 ついでに打撃のほうでもひと皮むけるところを見せて欲しいものだが、まずは指揮官の「ショック療法」が功を奏したと言える。

ロジャース獲得は若手成長の「諸刃の剣」か

 伸び悩んでいる若手は多いものの、チームは好調だ。7月は12勝9敗で勝ち越し、8月に入ってからも黒星スタートとなりながらここまで引き分けを1つ挟んで4連勝中。
 
 好調モードのチームを支えているのが、新加入を果たしたばかりの新4番で一塁手のジェイソン・ロジャース内野手だ。負傷離脱中の糸井嘉男外野手の穴を埋めるような活躍で打線をけん引。しかし、この新外国人獲得は他の若手陣にとっては諸刃の剣となるかもしれない。
 
 ロジャースが存在感を見せれば見せるほどに一塁起用がメインの8年目の25歳・原口文仁捕手や、糸井の復帰と高山の復調によっては一塁へ再コンバートされる可能性も残されている中谷にとっては出場チャンスの幅が狭められることになるからだ。
 
 相当にスローペースな若手の成長をいつまでも待っていられるような余裕は金本監督や球団にはない。ただ、このロジャースの獲得は一見すると「超変革」には逆行する流れかもしれないが、伸び悩む若手のケツを引っぱたく意味ではプラスに作用することも考えられる。
 
 悔しかったら、這い上がってこい。そして自分の力で存在感を見せ、ポジションを奪い取れ――。
 
 金本監督はまだぬるま湯に浸かったままの若手たちに、そのような無言のメッセージを送っていると考える。ロジャースとポジションが被っていない他の若手選手たちも「明日は我が身」ととらえ、さらに向上心を倍化させれば新たな形で「超変革」は実を結ぶことにつながる。
 
 8日からチームは敵地・東京ドームで巨人との3連戦を迎える。相手は4位から何とかAクラス入りを果たそうと2位の阪神叩きに総力で向かってくるだろうが、これを一蹴しなければ終盤戦は厳しくなる。3タテを食らわすぐらいの強い気持ちで伝統の一戦に臨んでほしい。
 
 そのキーパーソンたちは言うまでもなく、若手たちだ。この絶好の機会で彼らがアピールできなければ「超変革」はそれこそ頓挫してしまうだろう。指揮官の熱い思いに応える若虎たちの猛奮起を虎党も待ちわびている。