Q1:ホームラン性のあたりが旗に…

Q1:ホームラン性の飛球が応援団の旗に当たり外野へ。落ちた場合の判定は?
 
 レフトへホームラン性の大飛球。ホームランかフェンス直撃かという状況下で、予期せぬことが…。スタンド最前列に陣取った応援団の旗にボールが直撃し、フェンスの前にポトリ。プレイはそのまま続けられ、打者走者は三塁でストップした。
 
A:旗に当たってもインプレイ。 走者三塁で試合続行。
B:旗に当たった場合でもスタンドインしたと見なされればホームラン。フェンス直撃と見なされれば二塁打。
C:予想外の事態として、このプレイはノーカウントで打ち直し。

正解は…

B:旗に当たった場合でもスタンドインしたと見なされればホームラン。フェンス直撃と見なされれば二塁打。
 

 1995年6月20日、横浜スタジアムで行われた横浜対阪神の10回戦での出来事。9回表、マウンドにはリリーフの佐々木主浩投手、打席には新庄剛志選手。一発出れば同点のしびれる場面で、レフトへの大飛球が阪神応援団が振っていた旗に当たり、フェンス手前にポトリと落ちた。レフトの宮里太選手が慌ててボールを拾い、内野へ返球。そのため、新庄選手は三塁でストップせざるをえなかった。
 
 さて、判定はどうなるのか? 判定の根拠となるのは、公認野球規則3.16である。
 
「打球または送球に対して観衆の妨害があったときは妨害と同時にボールデッドとなり、審判員は、もし妨害がなかったら競技はどのような状態になったかを判断して、ボールデッド後の処置をとる」
 
 旗に当たらなかった場合、ボールはどこまで飛んだのか。ここが、判定のポイントとなる。審判団の協議の結果、「旗に当たらなくても、フェンスは越えなかった。フェンス直撃の二塁打」と判断され、 新庄選手は二塁に戻されることになった。
 
 ただし、明らかにホームランであれば、たとえ旗に当たって外野に落ちたとしても、判定はホームランとなる。新庄選手の当たりは、ホームランかフェンス直撃かという微妙な飛球だった。この一件を機に、横浜スタジアムでは前列での旗振りが禁止になったという話も。
 
 なお、外野手が落下地点に入っていたフライに対して、観衆の妨害によって打球が捕れなかった場合は「アウト」。3. の【付記】が適用される。

Q2:満塁本塁打で打者が一塁走者を追い越したら…

Q2:同点でサヨナラ満塁ホームランも 、打者走者が一塁走者を追い越したときの判定は?
 
 同点の9回裏、2アウト満塁。快音を残した一打はレフトスタンドへのホームラン。打者も走者も歓喜のガッツポーズ。すると、嬉しさのあまり、一塁ベースを回ったところで打者走者と一塁走者が抱き合い、クルリと1回転してしまった。三塁走者はすでにホームインしている。
 
A:打者走者の走者追い越しとなり得点は認められず3アウトチェンジ。
B:ホームランはホームラン。そのまま4点が入る。
C:二人が抱き合ったとき、三塁走者はすでにホームイン。「1点」が認められる。

正解は…

C:打者走者が一塁走者を追い越したとき、三塁走者はホームを踏んでいたため1点が入る。
 

 2004年9月20日、日本ハム対ダイエー。同点で迎えた9回裏2アウト満塁で、打席には新庄剛志選手。初球をとらえたあたりは、レフトスタンドへ一直線。文句なしのサヨナラ満塁弾だった。ところが、一、二塁間で一塁走者の田中幸雄選手と抱き合い、そのままクルリと回転。つまり、新庄選手が前を走っていた田中選手を追い越した形になってしまった。
 
 公認野球規則を確認しよう。
 
7.08「次の場合、走者はアウトになる」の(h)項に、「後位の走者がアウトになっていない前位の走者に先じた場合。(後位の走者がアウトになる)」とある。 さらに【注1】として、「ボールインプレイ中に起きた行為(たとえば悪送球、ホームランまたは柵外に出たフェアヒットなど)の結果、走者に安全進塁権が認められた場合にも、本項は適用される」
 
 以上のことから、新庄選手はアウトになることがわかる。問題は、得点が入るかどうか。ポイントは、三塁走者がいつホームを踏んだか。このときは、新庄選手が追い越す前に、ホームを踏んでいた。
 
4.11(C)の【付記2】に書かれているのが「2アウトの場合で、走者が前位の走者に先じたときに勝ち越し点にあたる走者が本塁に達していなければ、試合は終了せず、追い越すまでの得点だけが認められる」
 
 もし、三塁走者がホームに達していなければ、無得点になっていた。
 
 なお、新庄選手の記録はシングルヒットで打点1。かりに2点ビハインドであれば、サヨナラ満塁ホームランのはずが、1点及ばなかったということになる。

Q3:打順を間違えたら…

Q3:打順を間違えた選手がヒットで出塁。次打者の投球前に守備側が打順の誤りをアピールした場合の判定は?
 
 1回裏、先頭打者に入ったのはこの日は2番打者として登録されていた選手だった。しかし、攻撃側チームは気付かずにプレイを続行。ライト前ヒットを放ったあと、2番打者の投球前に守備側がアピールをした。どのような判定になるのか。
 
A:先頭打者のヒットはそのまま生きて、ノーアウト一塁で再開。
B:「打順の誤り」と判定され、1番打者はアウトになる。
C:全てノーカウントになる、正規の1番打者からやり直す。

正解は…

B:守備側のアピールが認められ、1アウト走者なしから再開される。
 

 2009年5月20日、大リーグのアストロズ対ブリュワーズ戦で打撃順の誤りがあった。アストロズの松井稼頭央選手を2番で起用する予定が、相手チームに提出したオーダー表には「1番」と記していた。
 
 1回裏、1番打者のボーン選手(提出したオーダー表では2番打者)がライト前ヒットを打ったあと、ブリュワーズのモッカ監督からアピールが入った。公認野球規則6.07が適用され、ヒットは無効でアウト。1アウト走者なしで、再びボーン選手が打席に入ることになった。
 
6.07を確認しよう。まず(a)は「打撃順に記載されている打者が、その番のときに打たないで、番でない打者(不正位打者)が打撃を完了した(走者となるか、アウトとなった)後、相手方がこの誤りを発見してアピールすれば、正位打者はアウトを宣告される。ただし、不正位打者の打撃完了前ならば、正位打者は、不正位打者の得たストライクおよびボールのカウントを受け継いで、これに代わって打撃につくことはさしつかえない」
 
 続いて、(b)に「不正位打者が打撃を完了したときに、守備側チームが投手の投球前に球審にアピールすれば、球審は(1)正位打者にアウトを宣告する」。
 
 さらに、(c)には「不正位打者が打撃を完了した後、投手の投球前にアピールがなかった場合には、不正位打者は正位打者として認められ、試合はそのまま続けられる」と記されている。
 
 つまり、不正位打者の打撃完了後、投手が次打者へ1球でも投球すると、アピール権は消滅する。なお、「投手の投球」にはけん制も含まれる。カギはアピールのタイミングとなる。
 

 
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