◆ どら増田のオリ熱魂!〜第10回・山岡泰輔〜

 オリックスのドラフト1位ルーキー山岡泰輔が、同2位の黒木優太とともに、監督推薦でオールスターに出場した。ドラフト1位と2位のルーキーが同時にオールスターに出場するのは、1999年の上原浩治と二岡智宏(巨人)、2013年の石山泰稚と小川泰弘(ヤクルト)に続いて3例目。パ・リーグでは初の快挙である。

 山岡は14日、ナゴヤドームで行われた初戦の6回にパ・リーグ4番手として登板。マギー(巨人)をセンターフライに打ち取ったものの、続く坂本勇人(巨人)にヒットを許す。その後、筒香嘉智(DeNA)からは空振り三振を奪ったが、その間に坂本が盗塁。続くゲレーロ(中日)に勝ち越しを許すタイムリー二塁打を打たれてしまう。

 味方打線が同点に追いついた直後の7回もマウンドに上がった山岡は、宮崎敏郎(DeNA)のライナーを右太ももに受けてヒヤッとする場面もあったが、セ・リーグ打線を三者凡退に斬ってとる。するとその直後にパ・リーグ打線が3点を取って逆転したため、山岡は初出場ながら勝利投手として名を残すこととなった。

 戦前、オールスターに関して「お祭りですから。なるべく自分のボールがバレないように(笑)話を聞いてみたい選手ですか?(同級生の)二木(ロッテ)にフォークを聞いてみたいくらいで、僕はピッチャーより、野手の皆さんの考え方とかを聞いてみたいですね」と話し、ZOZOマリンスタジアムで行われた2日目に二木康太とのツーショットがSNS上にアップされていた。ベンチでも笑顔で他球団の選手と話す場面がテレビに映し出されていたので、後半戦に向けて良い気分転換になったのではないだろうか。


◆ 同級生バッテリー

 オリックスの鈴木郁洋バッテリーコーチは、山岡と今年の正捕手である若月健矢との関係について次のように話す。

「山岡と若月のバッテリーは凄い。あの2人がベンチで話している会話を聞いていると、俺の現役時代には絶対に話せないようなレベルの高い話をしている。あの若さであそこまで話し合える同い年のバッテリーが、ウチのチームの一軍の試合で組めるというのは、近い将来を見ても大きなことだと思う」

 山岡のオリックス入団が決まった直後から、山岡は若月を、若月は山岡の名前を挙げて「バッテリーを組めたら嬉しいですね」というコメントを残している。春季キャンプの紅白戦や練習試合からバッテリーを組み続けている“同級生バッテリー”だが、どんな経緯を経て「レベルの高い話」が出来るようになったのか、山岡を直撃した。

「若月との会話は…感性の会話ですね。最初は若月のほうがプロとしてのキャリアが長いこともあって、僕は聞く側だったんですけど、若月のリードと僕が投げる球をお互いに知らなきゃいけないと思って、僕からも若月に言うようにしたんです。

この前の西武戦(6月30日メットライフの4回裏)でもメヒアに対して、そろそろインコースを投げてもいけるんじゃないかっていう話をしてたんですけど、僕の目にメヒアがちょっと下がったのが見えたんで、(サインとは違う)外角のカットボールを投げたら大きなファウルを打たれたんです。

投げ終えてベンチに帰ったら、若月と僕の感性を一瞬で伝え合わなきゃいけないので、すぐに説明をしました。そんな僕の考えに対して若月も『あれくらいなら外してもいいよ』とか言ってくれるし、バッテリーを組んでいるうちに理解し合えるようになったので、今はとてもやりやすいですね」


◆ さらなる高みを目指して

 いっぽうの若月も「山岡が投げたときに勝つと嬉しいです」と笑顔で話していた。高校時代から知っている同級生だからこそ、お互いに踏み込んで許される領域があるのだろう。2人は山岡の登板前日には2人でご飯を食べに行くようにしているそうだ。

 前半戦が終了した時点で、12試合、3勝6敗となかなか勝ち星には恵まれないが、防御率は2.54、奪三振率8.10、被打率.210といった成績が目に止まって、オールスターの監督推薦に選ばれたのは言うまでもない。しかし、山岡が「後半戦は全部勝ちたい」と言っているように、この若きバッテリーが目指すところはもっともっと上の世界で勝負することである。

「ファンの皆さんには後半戦も引き続きよろしくお願いしますとお伝えください」

 人懐こい笑顔でファンへのメッセージを話す眼は自信に溢れていた。福良淳一監督が「3月から先発で投げられるピッチャーを」と希望して、数ある1位候補の中からオリックスに単独指名されたゴールデン・ルーキーは、ここまでしっかり首脳陣の期待に応えている。

 3位の西武とは6.0ゲーム差ながら、山岡が後半戦で勝ち星を重ねるようなことがあれば、CS争いもより現実味を帯びてくる。若月との同級生バッテリーで頂点を目指し、とことん登り詰めてもらいたい。


取材・文=どら増田(どらますだ)