◆ 注目を集める“因縁の対決”

 7月14日、ナゴヤドームで行われた『2017マイナビオールスターゲーム』の第1戦で印象的な一幕があった。

 セ・リーグが1点を追う4回裏、DeNAの筒香嘉智が西武の菊池雄星の初球を振り抜くと、速球にやや遅れながらも打球はレフトスタンドへ。一時同点となる一発を放った筒香は、「菊池は高校のときから知っている相手。打ててよかった」というコメントを残した。

 この2人、1991年生まれの同世代。高校時代にはともに甲子園を沸かせたスター選手であり、どちらも2009年のドラフト1位指名でプロの門を叩いている。交流戦で激突した時には菊池が156キロの速球で筒香を打ち取るなど、お互いがお互いをバリバリ意識した対決が話題を呼んだ。


 そしてオールスター戦が終わり、リーグ戦再開を迎えた7月21日。横浜スタジアムで行われたDeNA−ヤクルトの一戦では、2015年のドラフト1位同士であるDeNAの今永昇太とヤクルト・原樹理がマッチアップした。

 ともに大卒で入団した同世代の2人は、2015年秋の東都大学リーグ・入れ替え戦で投げ合ったというまさに“因縁の対決”。大学時代は第1戦の投げ合いを駒沢大の今永が制すも、第2戦は原が連投でリリーフ登板して東洋大が1勝1敗のタイに持ち込む。そして迎えた第3戦、再び両者は先発し、最後は原が完投勝利で東洋大を1部残留へと導いた。

 入団2年目でついに実現したプロでの投げ合いは、7回途中無失点の今永に軍配。原は6回まで2失点の力投も、打線の援護に恵まれず敗れた。

 やはりこうしたお互いが意識をしてしまうような対決というのは、ファンの注目をより一層集める。今回は後半戦のカギを握りそうな“ドラフト同期対決”にスポットを当ててみたい。
 

◆ 2012年の新人王を争った3人

 2012年のドラフトで入団した菅野智之(巨人)、小川泰弘(ヤクルト)、藤浪晋太郎(阪神)は2013年セ・リーグの新人王争いを盛り上げた3人である。

 結果は小川が16勝(4敗)で最多勝、最高勝率のタイトルを獲得して新人王を受賞。しかし、菅野も13勝(6敗)で防御率3.12と結果を残せば、藤浪も規定投球回には到達しなかったものの10勝(6敗)、防御率2.75の好成績で両名とも新人特別賞を受賞している。

 4年前に新人王を争ったこの3人は、各チーム後半戦のカギを握ることになりそうだ。

 首位・広島を追いかける阪神は、夏場の厳しい日程を乗り越えるためにも先発の層を厚くしたい。そのためにも、前半戦途中から二軍で調整を続けている藤浪の一軍昇格は欠かせないところ。二軍で危険球を投じてしまうなど苦しんでいる藤浪だが、夏の甲子園を制覇した思い出の夏場に一軍昇格の期待がかかる。

 現在4位に沈む巨人としては、エースの菅野で負けるわけにはいかない。CS圏内進出へ向けて、前半戦以上のフル回転が求められる。また、小川は苦しいチームのなかで一時はストッパー転向が試されるも、後半戦からは再び先発に戻った。まずは最下位脱出を目標に、ローテーションの軸となってもらわなければならない。

 それぞれチーム事情こそ違えども、後半戦でマッチアップする機会も出てくるだろう。かつて新人王を争ったセ・リーグ3チームの“同期対決”に注目だ。


◆ 2010年組の美馬は、柳田と秋山に分が悪い

 一方のパ・リーグでは、楽天が2013年以来となる首位ターン。僅差の2位にソフトバンク、少し離れて西武がそれに続いている。この3球団ともに優勝を争う上でのキーマンが、“2010年ドラフト組”となりそうだ。

 今シーズン好調の楽天は、大黒柱の則本昂大や新加入の岸孝之だけではなく、3番手・美馬学の活躍が光る。

 2010年のドラフト2位でプロ入りを果たした美馬。入団当初は中継ぎだったが、2年目から先発へ転向。今シーズンは故障者との兼ね合いはあれど、初の開幕投手を任されるほどに成長した。

 前半戦で7勝(2敗)、防御率2.46の成績を残してオールスターゲームにも初出場。大舞台でも臆することなく、2回を無失点投球と後半戦へ向けて弾みをつける好投を披露した。

 2009年の岩隈久志(現マリナーズ)、田中将大(現ヤンキース)、永井怜を彷彿させる3本柱で、4年ぶりの日本一を目指す。


 ソフトバンクは柳田悠岐が調子を上げてきた。2010年のドラフト2位で入団後、2014年からレギュラーに定着。2015年にはトリプルスリーの偉業を成し遂げた。

 今季はここまで打率.323、23本塁打、75打点で目下パ・リーグの三冠王。昨シーズンは終盤に故障で戦列を離れただけに、1年間を通してこの勢いを持続させたいところだ。

 また、3位の西武は2010年のドラフト3位・秋山翔吾が打率.322、18本塁打、54打点の好成績をマーク。本塁打はすでにキャリア最多だ。

 2015年にシーズン最多記録となる216安打を放ち、一流の仲間入りを果たした秋山が、本塁打も打てる恐怖の1番打者としてチームを牽引。中軸の浅村栄斗、中村剛也の前で塁に出ることで得点力アップを図っている。

 美馬の対柳田、対秋山のシーズン対戦成績を見てみると、柳田は8打数4安打、秋山は10打数5安打とともに.500という数字。美馬にとっては同期入団の両打者をどう封じるかが、両球団攻略の糸口となりそうだ。


 各選手にとって、もちろんチームの勝利が最優先事項ではあるが、“ドラフト同期”の対決では特に負けるわけにはいかない。

 チームの対決だけではなく、選手たちがいつも以上に闘志を燃やす同期対決に注目し、後半戦もプロ野球を楽しみたい。