◆ メジャーの新人王を振り返る

 今季のメジャー新人王争いは、ア・リーグがヤンキースのアーロン・ジャッジ、ナ・リーグではドジャースのコーディ・ベリンジャーが長打力を武器に他のルーキーを圧倒している。

 ジャッジが新人王に輝けば、ヤンキースからは1996年のデレク・ジーター以来、実に21年ぶり。ベリンジャーは、ドジャースの選手として去年のコリー・シーガーに続く新人王を狙う。2年連続で同一チームから新人王が出れば、2004年〜05年のアスレチックス(ボビー・クロスビーとヒューストン・ストリート)以来。その前は、2000年〜01年のマリナーズ(佐々木主浩とイチロー)が2年連続で新人王を輩出している。

 さらにさかのぼり1990年代にはなんと、5年連続で新人王を輩出したチームがあった。1992年〜1996年のドジャースだ。92年から順に紹介すると、エリック・キャロス、マイク・ピアザ、ラウル・モンデシー、野茂英雄、トッド・ホランズワースという面々。野茂を除く4人が打者であり、90年代のドジャースでいずれも中軸を担った強打者たちだ。

 当時のドジャースは、屈指の育成力で若手が次々と台頭した時期ではあったが、90年代の地区優勝は1995年のみ。ワイルドカードでのプレーオフ進出も96年の1回だけだった。今季はシーガー、ベリンジャーの若手2人がチームを久々のワールドシリーズに導くことができるのだろうか。

 そのドジャースは、現在の30チームで最も多くの新人王を輩出しているチームでもある。その数はブルックリン時代も含め17人。2番目に多いヤンキースの8人に2倍以上の差をつけている。

 逆に新人王が一人も生まれていない球団も存在する。ダイヤモンドバックスは、1998年の球団創設から新人王を受賞した選手が一人もいない。最も歴史が浅いため仕方がない部分もあるが、“同学年”のレイズは19シーズンで3人が新人王に輝いている。

 1993年に誕生したロッキーズは、打者の活躍が目立つが、新人王に輝いた打者はこれまでいない。投手のジェイソン・ジェニングス(2002年)が唯一の受賞者である。

 8年ぶりのプレーオフ進出を狙う今季のロッキーズは、新人投手が一挙に頭角を現した。ルーキーの4人(カイル・フリーランド、アントニオ・センザテラ、エルメン・マルケス、ジェフ・ホフマン)がすでに6勝以上を挙げているが、新人投手で6勝以上しているのは、メジャー全体でもこの4人以外にジョーダン・モントゴメリー(ヤンキース)とタイ・ブラック(ジャイアンツ)の2人のみ。残り2か月の活躍次第で、フリーランドあたりがベリンジャーと激しい新人王争いを演じる可能性も十分あるだろう。

 残り2か月で筋書きのないドラマは生まれるのだろうか。

文=八木遊(やぎ・ゆう)