◆ ファンからも心配の声

 ショッキングな幕切れだった。

 8月1日、京セラドーム大阪で行われたオリックス−ソフトバンクの一戦。ソフトバンクは9回に3点のビハインドを追いついて延長戦へと持ち込むも、その後は両者決め手を欠く展開で12回へ。

 同点のまま勝利がなくなって迎えた12回裏、チームは守護神のデニス・サファテをマウンドに送る。ところが一死を取った後、ステフェン・ロメロに投じた初球のカーブを完璧に弾き返されると、打球は左中間スタンドへ。5時間11分に及ぶ死闘に敗れた。

 試合後に話題になったのが、サファテがチームの先発陣に奮起を促すようなコメントを残したという報道。確かにサファテはこの日が3連投目で、それも福岡〜東京〜大阪の移動日なしの3連投。ファンの反応としては守護神の悲痛な叫びを支持する声が多かった。


 サファテと言えば先日もチームメイトの千賀滉大にジョークまじりのハッパをかけ、それに奮起した千賀が8回無失点の力投を見せたというエピソードがあった。

 リリーフエースがSOSのサインを出すほどの状況とは一体どれほどなのか…。ここでソフトバンク先発陣の成績を振り返ってみよう。

【チーム別・先発投手の平均投球回数】
6.16回(566.1回/92試) オリックス  28勝38敗(完投9) 防御率3.48
6.05回(526.2回/87試) 楽  天   40勝23敗(完投4) 防御率3.37
5.79回(527.0回/91試) ロッテ    19勝48敗(完投4) 防御率4.39
5.77回(548.2回/95試) ソフトバンク 45勝26敗(完投3) 防御率3.69
5.73回(527.2回/92試) 西  武   43勝27敗(完投3) 防御率3.58
5.41回(503.0回/93試) 日本ハム   21勝47敗(完投3) 防御率4.69

【ソフトバンク・先発投手の平均投球回数】
7.06回(113.0回/16試) 東浜 巨     10勝3敗 防御率2.31
6.32回( 82.1回/13試) 千賀滉大     9勝2敗 防御率2.73
6.04回( 96.2回/16試) バンデンハーク  8勝5敗 防御率3.35
6.00回( 42.0回/ 7試) 石川柊太     4勝1敗 防御率2.14(※先発時に限った成績)
5.18回( 31.1回/ 6試) 武田翔太     3勝1敗 防御率4.02
5.02回( 45.2回/ 9試) 松本裕樹     2勝3敗 防御率5.12(※先発時に限った成績)


 勝ち星はトップの45と好成績だが、平均投球回数はリーグ4番目となっている。

 また、個人に注目してみると勝ち頭の東浜が唯一平均7回を超えているものの、他の投手は6回を超えるのがやっと。先発投手が7回以上を投げた試合数も3・4月は9試合、5月は10試合あったのが、6月は7試合まで落ち込み、7月は20試合中5試合しかなかった。


◆ フル回転のリリーフ陣

 それではリリーフ陣の動員は必須。7月の主なリリーフ陣の登板状況は以下の通り。

【7月ソフトバンク・リリーフ陣の登板】
▼ サファテ
・1日(16球) ・2日(16球) ・5日(12球) ・7日(12球)
・8日(16球) ・11日(19球) ・17日(12球) ・18日(19球)
・19日(15球) ・21日(14球) ・22日(12球) ・30日(17球)
・31日(22球)
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13試(202球)

▼ 岩崎翔
・2日(28球) ・4日(14球) ・5日(10球) ・7日(14球)
・8日(5球) ・11日(25球) ・18日(25球) ・19日(18球)
・21日(11球) ・22日(7球) ・30日(13球) ・31日(14球)
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12試(184球)

▼ 嘉弥真新也
・1日(19球) ・5日(5球) ・7日(8球) ・8日(7球)
・9日(6球) ・11日(17球) ・12日(14球) ・17日(5球)
・21日(18球) ・26球(11球) ・27日(10球) ・30日(3球)
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12試(123球)

▼ 森唯斗
・1日(11球) ・5日(13球) ・8日(18球) ・11日(8球)
・12日(4球) ・18日(14球) ・19日(29球) ・21日(26球)
・22日(10球) ・26日(24球) ・30日(14球)
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11試(202球)

▼ モイネロ
・1日(19球) ・2日(4球) ・4日(8球) ・7日(21球)
・12日(45球) ・19球(33球) ・23日(31球) ・27日(14球)
・29日(17球) ・30日(9球) ・31日(23球)
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11試(224球)


 この5名が月の半数を超える10試合以上に登板しており、登板しなかった日もブルペンで肩を作ったりといったことを考えれば、まさに休む間もないといった状況だ。

 特に同点やビハインドでも競った展開では勝ちパターンの投手でも起用するケースが度々見られ、主要メンバーへの依存度が増加。それに伴って負担も増加しているという流れになっている。

 これからますます戦いが厳しくなってくる中、リリーフ陣が崩壊してしまっては元も子もない。先発陣の奮起はもちろんのこと、「この試合は勝ちパターンは全休」といったような思い切ったマネジメントも必要となってくる。

 守護神の悲痛な叫びは指揮官に届くのか…。勝負の8月戦線、工藤公康監督の采配に注目だ。