◆ 自力優勝は消滅も…

 8月3日、敵地での広島戦。5−2と阪神リードで試合は9回裏へ。ストッパーのドリスを投入して逃げ切りを図ったが、これが誤算だった。

 先頭の新井貴浩に安打を許すと、エルドレッドにも続かれて無死一・二塁。三振で一死を取るも、松山竜平の適時打で1点を返されると、代打の西川龍馬に2点適時打を許して同点に追いつかれた。

 逆転こそ許さなかったものの、勝てる試合を追いつかれての引き分け。自力優勝が消滅したが、明るい材料もあった。

 この日の初回の攻撃。1、2番が倒れるも、3番・福留孝介の二塁打を皮切りにロジャース、中谷将大、鳥谷敬、大和の5連打で一挙4点。特にロジャースが放った適時打は、チーム18戦ぶりの“初回得点”であった。

 7月18日に一軍登録されて以降、ここまで14試合で打率.340をマーク。本塁打も3本、打点も11といずれも後半戦のチームでトップの成績を残している。序盤のチームを引っ張ってきた糸井嘉男の離脱や福留孝介の不調など、ベテラン勢に陰りが見えてきたチームの中で、今や代えのきかない選手となっているのだ。


◆ チャンスに強く、終盤に燃える男

 ロジャースの安定した成績を支えているのが、優れた選球眼である。

 ここまで打率.340に対し、出塁率は.436。一軍昇格後、無安打に終わった試合は14試合中3試合あったが、うち2試合は四球を選んで出塁を記録。全く出塁することができなかったという試合は、7月25日のDeNA戦だけだ。


 また、チャンスに強いというのも好印象を後押ししているポイントのひとつ。

 ここまでの得点圏打率は.545(11−6)という驚異の数字。チームの得点圏打率がリーグワーストの.241(※トップの広島は.305)であることを考えると、まさに頼れる男だ。

 加えて、「終盤になればなるほど強い」という興味深いデータもある。以下はロジャースの『打席別成績』まとめ。

【ロジャース・打席別成績】
第1打席:打率.250(12−3) 本0 点1
第2打席:打率.250(12−3) 本1 点2
第3打席:打率.167(12−2) 本1 点2
第4打席:打率.700(10−7) 本1 点4
第5打席:打率.1000(1−1) 本0 点2

 このように、第3打席までは平凡な数字が並ぶも、4打席目以降になると凄まじい強さを発揮。試合を左右する終盤に活躍を見せるというところも、ファンの心を掴む大きな要素となっている。


◆ 意外な弱点候補…?

 一方、そんなロジャースの成績から“苦しい数字”を探してみると、ある弱点が浮かび上がってきた。『対左』の成績である。

【ロジャース・左右別成績】
対右投手:率.419(31−13) 本3 点11
対左投手:率.188(16−3) 本0 点0

 なんと右打者でありながら、実は右よりも左投手に苦戦している。対戦数も少ないのでまだ断言はできないものの、これだけ数字に開きが出てしまうと、今後は「あえて左投手をぶつけていく」という対策を採るチームが出てくるかもしれない。


 アメリカ時代はチームメイトから「パンダ」のニックネームで呼ばれていたという、愛くるしい笑顔が特徴的な新助っ人。入団会見で上々の“掴み”に成功した男は、バットでもその実力を存分に見せつけている。

 首位追撃のためにも、2位というポジションを死守するためにも、とにかく勝利という結果が求められる阪神。勝負の8月戦線、縦じまを着た“パンダ”にかかる期待は大きい。