◆ 今年も“地味にスゴイ”記録に注目

 ワールドシリーズ終了から約2週間…。メジャーリーグの2017年シーズンが終わり、本格的なオフシーズンが到来した。

 今年も印象に残る激闘が繰り広げられ、また多くの記録が生まれたメジャーリーグだったが、今回はその中でも“地味にスゴイ”記録に注目。5つを厳選した。


◆ 打球速度190キロ超え=打率.933


 皆さんは『Exit Velocity(EV)』という数値をご存じだろうか。打者がボールをバットに当てた際の“打球の初速”のことだ。この数値が高ければ高いほど、より「強烈な打球」ということになる。

 今季のレギュラーシーズンで『EV』が118マイル(約190キロ)を超えた“強烈な打球”は15球。そのうち11球はジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)とアーロン・ジャッジ(ヤンキース)という2人の怪力スラッガーによって記録されたものだったが、内訳は単打が4、二塁打が3、そして本塁打が本数近い7。残る1本は遊ゴロだった。15打数14安打は打率にして.933、ほぼヒットだったのだ。

 強い打球なのだから当然だと思われるかもしれないが、完ぺきにとらえた打球ほど野手の正面を突いたりするのが野球の不思議なところ。実際に昨年はというと、『EV』が118マイルを超えた打球の打率は10打数6安打で打率.600に留まり、本塁打は1本も生まれていない。ちなみに、直近3年で最も早かった打球は2016年にデビッド・フリースが記録した123.4マイル(約198キロ)だったが、結果は併殺打だった。


◆ アストロズ世界一の要因は“守備力”?

 今年のワールドシリーズを制したチームと言えば、ヒューストン・アストロズ。下馬評ではドジャース有利の見方が多かった中、最終戦までもつれた激闘を制して初のワールドチャンピオンに輝いた。

 アストロズといえば、メジャートップのチーム打率.282を誇る強力打線が最大の強みで、むしろ守備面は課題とされていた部分。チームの守備率.983はメジャー全体で21番目という成績で、盗塁に至っては企図された116回のうち阻止したのはわずか14回だけ。阻止率12.1%はメジャーワーストだった。

 ところが、ポストシーズンに入ると守備力が大幅に改善。期間中の守備率.991は出場12チーム中2位という好成績で、盗塁阻止率も50%だった。派手な攻撃力に注目が行きがちだが、守備での集中力も初の世界一を引き寄せた大きな要因となったに違いない。


◆ グランドスラムが4発も!

 今季のメジャーは開幕から本塁打が乱れ飛び、投手にとっては苦しいシーズンに。合計6105本は2000年の5693本塁打を大きく上回る新記録で、シーズン30発以上を記録した打者は実に41人にものぼった。

 そんな中、今回注目するのはレッズのスクーター・ジェネット。今季は自己最多となる27本塁打を放ち、6月には史上17人目の1試合4本塁打を記録したことでも話題になった選手だ。

 このジェネット、なんと27本塁打のうち4本が満塁弾だった。ちなみに、両リーグの本塁打王であるスタントンとジャッジは2人あわせても満塁弾は1本だけである。


◆ ルーキー4人が2ケタ勝利、うち3人は…

 今年の新人王はア・リーグがアーロン・ジャッジ、ナ・リーグはコディー・ベリンジャー(ドジャース)が受賞。彗星の如く現れたスラッガーが“満票”で文句なしの選出となった。

 打者の活躍が目立った一方、投手では4人のルーキーが2ケタ勝利を達成。それもカイル・フリーランド(11勝)、エルメン・マルケス(11勝)、そしてアントニオ・センザテラ(10勝)の3人はいずれもロッキーズの所属という点で話題になった。

 ロッキーズの本拠地であるデンバーのクアーズ・フィールドといえば、標高1マイル(約1600メートル)の地点にあるため気圧が低く、空気が乾燥していることから打球が伸びることで知られている。“打者天国”と呼ばれるような球場を本拠地にしながら、3人ものルーキーが10勝以上を記録したというのは快挙と言っていいだろう。


◆ 43歳で136試合に出場

 最後の記録は、去就に注目が集まるイチローだ。

 レギュラー外野手3人がシーズンを通じて好調を維持し、また故障も少なかったことから代打がメインだった2017年。それでも終わってみれば136試合に出場し、オールスター以降は打率.299と存在感を示した。

 なお、136試合という出場試合数は、43歳以上の選手としては史上最多の記録である。10月22日に44歳を迎えた男は、どこで来季の開幕を迎えるのか。今後の動向に注目が集まる。


文=八木遊(やぎ・ゆう)