◆ 昨季ファーム日本一を経験

 春季キャンプ真っ盛りのプロ野球界。今季は5人の監督が入れ替わったが、そのなかでも注目を集めているのは、初の大役を任された阪神の矢野燿大監督だろう。

 現役時代は巧みなリードで投手陣を引っ張り、2度のリーグ優勝に大きく貢献。Bクラスが指定席となっていた阪神を変えた中心選手としてファンからも厚い信頼を受け、2016年にかつてのチームメイトである金本知憲が監督に就任するのにあわせて現場復帰した。

 昨季は二軍監督として若虎たちを率い、ファーム日本選手権を制覇。チームを12年ぶりのファーム日本一に導いている。

 そんな手腕が評価され、今季から一軍の監督に就任することになった。プロ野球界では名将が多いとされる“捕手出身”の監督ということもあって、「昨季は最下位に沈んだチームを変えるのでは……」と期待される一方、一軍監督は初めてということもあり、経験値の面を不安視する声もある。

 ということで、ここでは過去の捕手出身監督の“1年目”に注目。その成績をまとめてみた。


◆ 弱小チームを変える特効薬に!

 今回検証したのは、過去50シーズン(1969年〜2018年)に監督を務めた捕手出身者の初年度成績。まずは、近鉄を含めたパ・リーグの7球団を見ていく。(※球団名は当時のものを明記)


▼ 野村克也(1970年・南海)
就任初年度成績:69勝57敗4分=2位
前年成績:50勝76敗4分=6位
※兼任監督

▼ 上田利治(1974年・阪急)
就任初年度成績:69勝51敗10分=2位
前年成績:77勝48敗5分=2位

▼ 森 祇晶(1986年・西武)
就任初年度成績:68勝49敗13分=1位(日本一)
前年成績:79勝45敗6分=1位

▼ 田淵幸一(1990年・ダイエー)
就任初年度成績:41勝85敗4分=6位
前年成績:59勝64敗7分=4位

▼ 梨田昌孝(2000年・近鉄)
就任初年度成績:58勝75敗2分=6位
前年成績:54勝77敗4分=6位

▼ 伊東 勤(2004年・西武)
就任初年度成績:74勝58敗1分=2位(日本一)
前年成績:77勝61敗2分=2位

▼ 大久保博元(2015年・楽天)
就任初年度成績:57勝83敗3分=6位
前年成績:64勝80敗=6位


 過去に7人が指揮を執り、約半数となる3人が前年より順位を上げた一方、順位を落としたのはわずかひとりだった。

 就任初年度から西武を日本一に導いた森祇晶や伊東勤も素晴らしいが、印象深いのは南海時代の野村克也だろう。4番打者、正捕手に加えて監督という3つの重責を抱えながらも前年最下位のチームをいきなり2位に押し上げ、名将の片鱗を見せた。選手としてもリーグ2位の42本塁打を放つ活躍ぶりは圧巻だ。


◆ パ・リーグとはうって変わり…?

 続いてセ・リーグ各チームの捕手出身監督の初年度成績を見ていく。


▼ 土井 淳(1980年・大洋)
就任初年度成績:59勝62敗9分=4位
前年成績:59勝54敗17分=2位

▼ 大矢明彦(1996年・横浜)
就任初年度成績:55勝75敗=5位
前年成績:66勝64敗=4位

▼ 達川晃豊(1999年・広島)
就任初年度成績:57勝78敗=5位
前年成績:60勝75敗=5位

▼ 古田敦也(2006年・ヤクルト)
就任初年度成績:70勝73敗3分=3位
前年成績:71勝73敗2分=4位
※兼任監督

▼ 谷繫元信(2014年・中日)
就任初年度成績:67勝73敗4分=4位
前年成績:64勝77敗3分=4位
※兼任監督


 パ・リーグとはうって変わり、セ・リーグで前年から順位を上げた監督は古田敦也のみといまひとつな印象。前年Bクラスのチームを引き継ぐケースが多かったとはいえ、成績的にはさほど変わらないケースが目立つ。

 果たして、矢野燿大が指揮を執る阪神は、今季どんな成績を残すだろうか。


文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)