◆ 2019年に生まれた大記録

 2019年も残りわずか。“令和”という新時代を迎えた今年のプロ野球界でも、様々な記録が誕生した。

 なかでも特筆すべき打撃記録といえば、プロ野球の長い歴史の中でたった18人しか達成していない大記録「400本塁打」ではないだろうか。今季は、その大記録に2人の選手が到達した。ひとりは、記録まであと1本としていた巨人の阿部慎之助選手。今季かぎりで現役引退となったが、レギュラーシーズンの最終戦でも本塁打を放つなど、健在ぶりを見せつけた。

 もうひとりは、本塁打王に6度輝いた稀代の“ホームラン・アーチスト”、西武の中村剛也選手だ。何より圧巻なのは、そのペース。13.8打数に1本の割合でホームランを重ねており、400本塁打以上を打っているレジェンドたちの中で中村よりハイペースなのは、王貞治(10.7打数に1本)、田淵幸一(12.4打数に1本)、ローズ(13.5本に1本) の3人だけ。復活を果たした今季は30本塁打を放っており、さらなる記録の更新にも期待がかかる。



◆ 「達成が期待されていた記録」打者編

 今回は阿部や中村の大記録以外にも、2018年シーズンの開幕前に「達成が期待される記録」として注目されたものがどれだけクリアされたのかをまとめてみた。今回は打撃の記録で、過去の達成者が150人未満だったものに絞っている。なお、達成までの数字はシーズン開始前時点のもので、所属チームは2019年シーズンのものだ。


▼ 通算1000得点<過去41人>
あと17得点 鳥谷 敬(阪神)⇒9得点
あと19得点 阿部慎之助(巨人)⇒15得点
あと19得点 福留孝介(阪神)⇒39得点
あと120得点 坂本勇人(巨人)⇒103得点

☆達成者:福留孝介(42人目/1020得点)

 鳥谷、阿部、福留の3選手は射程圏内かと思われていたが、達成者は福留のみ。阿部は残り「4得点」というところで引退。鳥谷はあと「8得点」としているが、来季の所属先が決まらないまま年を越えることになりそうだ。


▼ 通算2000安打<過去52人>
あと192安打 福留孝介(阪神)⇒89安打

☆達成者:なし

 名球界入りの条件にもなっている通算2000安打は、達成者なし。近年は達成者が続いていただけに、久々の「0」だった。来季には現役最年長の43歳となる福留が来季中の達成を実現させるには、万全の状態で試合に出続けることがマストになるだろう。


▼ 1500安打<過去124人>
あと 1安打 松田宣浩(ソフトバンク)⇒139安打
あと40安打 田中賢介(日本ハム)⇒39安打
あと54安打 青木宣親(ヤクルト)⇒145安打
あと100安打 坂口智隆(ヤクルト)⇒8安打
あと175安打 中村剛也(西武)⇒142安打

☆達成者:松田宣浩(125人目/1638安打)
☆達成者:青木宣親(126人目/1591安打)

 残り1本としていた松田と、37歳となったいまも衰え知らずの打棒を見せている青木が1500安打を達成。開幕前に今季限りでの引退を表明していた田中は、あと3本として迎えた最終戦で2本のヒットを放ったが、あと一歩及ばず。「いつもちょっと足りない野球人生だったな」と笑顔を見せた。

 ヤクルト移籍後、3年連続で150安打以上を記録していた坂口は、開幕直後に骨折して離脱し、5月半ばに復帰を果たしたが調子が上がらないままシーズンを終えた。来季の巻き返しに期待がかかる。逆に西武の中村は4シーズンぶりに100安打以上を記録。打点王のタイトルも獲得するなど、来季中の達成は間違いないだろう。


▼ 通算400本塁打<過去18人>
あと 1本 阿部慎之助(巨人)⇒7本
あと15本 中村剛也(西武)⇒30本

☆達成者:阿部慎之助(19人目/406本塁打)
☆達成者:中村剛也(20人目/415本塁打)

 両選手とも400本塁打を意識して迎えたシーズンに見事達成。阿部は今季かぎりでの引退となったが、今季30本塁打の中村は歴代通算本塁打数を着々と伸ばしており、あと22本で秋山幸二氏を抜いて歴代15位タイとなる。今季と同じく30本を放てば、長嶋茂雄氏超えも果たすなど、来季も目が離せない。


▼ 通算300本塁打<過去42人>
あと30本 福留孝介(阪神)⇒10本
あと45本 バレンティン(ヤクルト)⇒33本

☆達成者:なし

 福留はあと20本ながら、日本球界復帰後に20本放ったのは1度だけと、来季中の達成はやや厳しいか。一方のバレンティンは、コンスタントに出れば30本以上が計算できるものの、来季は12球団随一の選手層を誇るソフトバンクでの新シーズン。どこまで出場機会を得られるかがカギになりそうだ。


▼ 通算250本塁打<過去62人>
あと6本 松田宣浩(ソフトバンク)⇒30本

☆達成者:松田宣浩(63人目/274本)

 シーズン早々に250本塁打をクリア。今季も30本塁打を記録しており、来季はチームメイトとなったバレンティンと共に通算300本塁打の達成に期待がかかる。


▼ 通算1000打点<過去45人>
あと 2打点 福留孝介(阪神)⇒47打点
あと65打点 福浦和也(ロッテ)⇒0打点
あと84打点 内川聖一(ソフトバンク)⇒41打点
あと86打点 中島宏之(オリックス)⇒5打点

☆達成者:福留孝介(46人目/1045打点)

 残り「2」としていた福留が到達。内川は来季中の達成に期待がかかるが、バレンティンの加入もあり、まずはポジション確保が重要なミッションとなりそうだ。


▼ 通算300盗塁<過去45人>
あと12盗塁 糸井嘉男(阪神)⇒9盗塁

☆達成者:なし

 阪神加入後、2年連続で20盗塁以上を記録していた糸井だったが、今年は9盗塁にとどまり、わずかに及ばなかった。来季には39歳となるが、超人の超人たる所以を見せてもらいたい。


▼ 通算250盗塁<過去45人>
あと24盗塁 西川遥輝(日本ハム)⇒19盗塁

☆達成者:なし

 2年連続盗塁王で昨季は44盗塁を記録しあ西川がまさかの19盗塁で達成ならず。西川の代名詞とも言える“成功率”も、昨季の93.6%から、今季は79%と苦しんだ。とはいえ、一般的にはまだまだ高い成功率を誇っており、来季中の達成は間違いないだろう。


▼ 通算200盗塁<過去75人>
あと13盗塁 大島洋平(DeNA)⇒30盗塁
あと27盗塁 荻野貴司(ロッテ)⇒28盗塁
あと46盗塁 金子侑司(西武)⇒41盗塁

☆達成者:大島洋平(76人目/217盗塁)
☆達成者:荻野貴司(77人目/201盗塁)

 2年連続盗塁王で昨季は44盗塁を記録しあ西川がまさかの19盗塁で達成ならず。西川の代名詞とも言える“成功率”も、昨季の93.6%から、今季は79%と苦しんだ。とはいえ、一般的にはまだまだ高い成功率を誇っており、来季中の達成は間違いないだろう。


▼ 通算300犠打<過去6人>
あと 6犠打 細川 亨(ロッテ)⇒2犠打
あと 9犠打 今宮健太(ソフトバンク)⇒7犠打
あと50盗塁 菊池涼介(広島)⇒28犠打

☆達成者:なし

 時代の流れと共に減少傾向にある犠打。それでも今宮が残り「2犠打」と目前に迫っており、細川もマスクをかぶる機会が増えれば十分に狙える数字ではある。また、ポスティングシステムを利用してMLB挑戦を試みた菊池の残留が決まったこともあり、来季は菊池にも達成の期待がかかる。


▼ 150死球<過去4人>
あと2死球 阿部慎之助(巨人)⇒4死球

☆達成者:阿部慎之助(5人目/152死球)

 達成者という表現が合っているのかどうかは微妙だが、ある意味で強打者の証であることは事実だろう。今季限りで現役を引退した阿部はデビュー以来、死球を受けないシーズンはなく、今季も4つの死球を受けながら400本塁打という偉業を達成した。


◆ シーズン記録にも注目

 その他にも、シーズン記録に目を向ければ、秋山翔吾(西武)がパ・リーグ初となる5年連続でのフルイニング出場を達成。プロ野球界では、金本、松井、鳥谷の6年連続に次ぐ記録となった。

 また、ロッテの藤原恭大が2013年の大谷翔平以来となるプロ野球史上14人目の「高卒新人野手開幕戦先発出場」を達成し、阪神の近本光司がセ・リーグの「新人シーズン最多安打(154安打)」を更新するなど、新人たちも存在感を示した。

 その他にも、梅野隆太郎(阪神)がプロ野球では69人目(74度目)となるサイクル安打を達成し、坂本勇人(巨人)は「開幕戦から36試合連続出塁」を果たしてリーグ記録を更新した。

 本塁打記録に関しては、中村剛也(西武)が通算20本目の満塁本塁打を放ち、自らが持つ満塁本塁打記録を更新。チームメイトの山川穂高は、「最速100号本塁打」を日本人選手としては最速となる321試合目で達成した。さらに、杉谷拳士(日本ハム)こと、“スギノール”がプロ野球史上19人目となる「左右両打席本塁打」を放っている。

 一風変わったところでは、オリックスが7月16日の楽天戦で「1安打勝利」を成し遂げ、6月23日の広島戦ではパ・リーグ新記録となる「イニング4三塁打」もマーク。「3者連続本塁打」は4度もあり、ヤクルトの青木、山田哲、バレンティンが2回も達成。その他は、ソフトバンク(今宮、松田宣、デスパイネ)と西武(源田、森、中村)が1度ずつ達成した。