合同会社沖縄グローカルBASEの代表社員、小濱拓朗氏は、沖縄県でティーボールの普及を通じて「野球の楽しさ」を広める活動を続けている。



――どういう活動をしているのですか?

「本業は、米軍基地の中の小学校の事務職です。夕方からティーボール教室をやっています。法人を作って教室を運営しています。今は『沖縄キャンパーズ』と言うチーム名でティーボールをしていますが、5歳から11歳までの子供が20人くらいいます」

――どんなルールでティーボールをしていますか?

「ティーボールは簡単に言うと“投手なしの野球”ですが、初めてやる子にとってはルールは複雑でなかなか溶け込んでいけません。最初から本格的なルールにすると戸惑う子も多いので、初めはティーボール協会が作った“どかてんティーボール”と言うルールでやります。これは一塁を踏めば1点、二塁で2点、3塁で3点、ホームに帰ってくれば4点が入ります。どかんと点が入るから“どかてん”ですね。守備はボールを捕球したらホームに返球します。返球が確保されるまでの間にランナーがどこまで行けるかというルールですね。守備側は外野が捕球すれば内野に連携して投げてもいいし、そのまま送球してもいい。打者走者は捕手にボールが返ってくるまでに、どこまで行けるか、ということです」

――そのルールだと点が入りやすいですし、わかりやすいですね

「今日は2周やろうね、みたいなルールも決めます。そうなると最高で8点も取れますから、子供たちは盛り上がります。よく走るので運動量も確保できます。また、だんだん複雑なルールに慣れるために、1、2回は“どかてん”、3回からは普通のルール、みたいなこともしています。リード、盗塁はありません、また一塁だけでなく、すべての塁で駆け抜けOKです」

――ティーボール教室を始めたきかっけは?

「5年前に友人と立ち上げたときは、“野球人口が減っているから”ということでした。その目的は変わりませんが、当時、地域の少年野球を見に行った時に、指導者がすごい罵声を浴びせていたんです。特にミスをしたときにすごかった。これはまずいなと思いました。
僕は、浦添商時代に本格的に野球をやり、九州の大学でも硬式野球、途中から準硬式野球をしていました。浦添商時代は100人も部員がいて、厳しい環境でした。でも、そこへ進むまでは野球の楽しさも体験していました。
本格的に野球をすることになれば、厳しくなるのは仕方がありませんが、そこへ進むためにも小さい頃は野球を楽しまないと続かないと思うんです。本来の野球の楽しさを忘れてしまってはダメだと思うんです。ティーボールは、子供たちに野球の楽しさを実感させるうえで最適だと思ったので、教室を始めました」





――「野球好き」を作ることが目的なんですね

「そうですね。僕らの活動が認知され始めて、学童野球のチームから“ティーボールを教えてくれ”と言われるようになりましたが、そういう中には、単に選手数を増やしたいからティーボールを利用しよう、という意図が感じられる指導者もいます。それには違和感がありますね。
バッティングにしても、ティーボールでは“思い切り打て”と指導します。止まっているボールを『フライボール革命』でいう『バレル』で飛ばすように指導しています。
でも学童野球では“ダウンスイングでたたきつけなさい”と指導されています。もう、時代遅れだと思うのですが、いまだにそういう指導者が多いんです。そういうチームに進んでしまうと子供たちは戸惑ってしまいます。
僕らにしてみれば、もっと深い部分で野球を楽しんでほしいと思うのですが、次のステップのチームが、ガツガツ勝利を求めると、野球が嫌いになってしまうのではないかと思います。
少なくとも小学校の時代は、『野球を楽しむ』ことを第一にしてほしいですね。個人的には中学もそれでいいと思いますが」



――今後はどういう活動をしたいと思いますか?

「ティーボールは、文部科学省が定める『ベースボール型授業』に準拠しています。授業で取り入れていただければと思います。
今、運動生理学や動作学について勉強していますが、子供の間は一つの運動ばかり集中するのではなく、いろんなスポーツをするほうがいいんです。そこでティーボールだけでなく鬼ごっこやドッヂボール、サッカーなども体験させています。
子供たちの成長を見ながらいろんなスポーツを体験させて、その中で“野球の楽しさ”を実感してもらえたら、と思いますね」(取材・写真:濱岡章文)