◆ 支配下登録

 「まずは一軍に帯同して、オープン戦と出させてもらって、結果を出さないと支配下はないと思う。今年が3年目の勝負の年なので、今年はしっかり結果にこだわってやっていきたいと思います」。

 今季初の対外試合となった2月8日の楽天モンキーズ戦で、本塁打を放った試合後にこのように話していたロッテの和田康士朗が、“有言実行”で支配下選手登録を掴み取った。新背番号は「63」に決まった。

◆ 磨いてきた走塁技術

 「まずは守備、走塁をしっかりしないと支配下になれないと思う。バッティングよりは守備、走塁を100%、ミスなしでできること。100%目指してやっていきたい」(19年3月2日取材)

 「一番は盗塁の成功率を上げなくちゃいけない。体重ももちろんそうですけど、一番は盗塁の技術をあげていきたい」(19年10月2日取材)

 「一軍に帯同しているのも足だと思うので、結果を残さないと支配下になれないと思う」(20年3月1日取材)

 和田は支配下選手登録選手になるために必要なことについて、常に“走塁”、“盗塁”の向上をあげ、武器である“足”を生かすために、走塁技術、盗塁技術を磨いてきた。

 振り返れば、1年目の18年はファームで6盗塁を決めたが、失敗は7個だった。同年秋のキャンプで大塚明コーチからスタートとスライディングを教わり、その年のオフに行われた「2018アジア・ウインターリーグ・ベースボール(AWB)」で8度の盗塁機会で失敗は「0」と活躍。その後、「二軍のときはでたらめというか、何も根拠なく走っていた。大塚さんにも根拠をもって走れと言われたので、台湾ではそれが出せたと思います」と振り返っていた。

 シーズンでも昨季は、ファームでチームトップの23盗塁。シーズン中には「スタートの構えのところで、ちょっと揺れてみたりとか、反応しやすい姿勢を探しています」と試行錯誤していたが、失敗数は「8」と、前年よりも盗塁の成功率をあげた。

 スタートに関しては「前半に比べたら全然良くなってきている。前半よりも後半の方が、失敗が少なかった。盗塁はかなり進歩しているのかなと思います」と好感触を得た。

 秋のキャンプでは再び大塚コーチ、伊志嶺翔大コーチから盗塁の技術を教わり、1月の自主トレでは「スタートが遅いので、少しでも速く正面に向けるようにというか。今はそういう構えの練習です」と、盗塁のスタートの練習を繰り返していた。

◆ 春季キャンプは二軍スタートも…

 春季キャンプは二軍スタートも、2月8日の楽天モンキーズとの国際交流試合でライトスタンドへ飛び込む特大の本塁打を放つと、2月11日の第3クールから一軍に合流し、那覇の一軍遠征の切符も掴み取った。

 代走で出場した2月14日の広島との練習試合では、相手が前進守備を敷く中、藤原恭大が放ったセカンドへのゴロで、三塁走者の和田は好スタートを切りホームイン。2月20日の韓国・サムスンとの練習試合でも代走で出場し2盗塁をマークすれば、2月22日の西武との練習試合でも盗塁を決めた。

 ファームでも代走で出場することが多いが、一軍と二軍では「雰囲気もそうですけど、一軍のキャッチャーは全部二塁へドンピシャの送球をしてきます」と一軍の舞台を経験するなかで、その違いを肌で感じている。

 1年目の秋季キャンプから継続して練習を行っている盗塁のスタートについては、「悪かったり、良かったりとばらつきがある感じです」と納得はいっていない部分はあるが、「スタートを一番練習していたので、その成果が出ているかなと思います」と2月末の時点でこう自己評価していた。

◆ ここからが本当の勝負

 “走塁”、“盗塁”技術を磨き、支配下選手登録をつかんだ和田。背番号が2桁となり、本当の勝負はここからだ。「自分のアピールポイントは足だと思うので、まずは足でチームに貢献をしたいと思っています」。

 井口資仁監督も「彼の一番の魅力は足。十分に一軍戦力として貢献してもらえると思っていますし、だからこそ、この開幕前の時期に支配下選手契約にしてもらいました。打撃も豪快で非常に面白い。6月2日から始まる練習試合でアピールをして次は開幕一軍の切符を手に入れて欲しいです」と期待を寄せる。

 盗塁数アップを目指すチームにとって、和田の“足”というのはひとつの武器となることだろう。ロッテ浦和球場の二軍戦では、ワイルドピッチで二塁から一気にホームインしたり、相手が前進守備を敷く中、内野ゴロで三塁走者の和田が好スタートを切りホームに生還するなど、何度も素晴らしい走塁を見せてきた。今度は一軍の舞台で、ファンがワクワクするような走塁を数多く披露して欲しいところだ。

文=岩下雄太